【3】転生少女は、植物の御方と邂逅しました
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夏祭りから三日後…
舞香は、優月の家に一人でいた。
「舞香ちゃん、夕食はポトフでいい?」
「よろしくお願いします」
両親が急遽仕事が舞い込んできたため、呪術師関係の施設へ向かった。
「ホテルでいるのは退屈でしょう? 優月さんの家で過ごしたら」と母から提案されて一人で来た。
兄の和広というと…何故かホテルの一室から出ようとしない。
「舞香、お前だけ叔母さんの所に行くんだ。
今日は魔の十三日…あいつがとうとうやってくる!
だから、お前だけでも逃げるんだ!」
「…ほわい?」
兄は戦々恐々とした面持ちで「ホテルの部屋で過ごす」と宣言するや、自分に叔母の家へ逃げるように促した。
…誰が訪れるのだろうか?
そもそも、今日は十三日ではなくて二十八日である。
ジェイソンでないのは確実だ。
「お手伝いします」
「ありがとう」
テーブルに食器を並べていく。
手際よく包丁で野菜を切っていく優月を見ながら、舞香はある違和感に気付いた。
(…叔母さんの中から、妙なオーラが漂っている?)
叔母が宿す呪力とは別に、異質な力が時折顔を出すように放出されている。
(範囲は小さい…でも、力は強い)
優月は反転術式の使い手であるはずだが、彼女は気付いているのだろうか…。
「叔母さん、身体の具合どうですか?」
「うん? 大丈夫だよ」
姪から身体の調子を聞かれ、優月は不思議そうに答える。
…表情から我慢している様子はない。
(でも、心配だな…)
健康の状態が続いても、いつ急変してしまうか分からない。
優月の身体を診察できたらいいのだけれど…
(あの術が使えるか…やってみよう)
舞香は、調理中の優月に視線を向ける。
「見通す力よ…【インスペクトアイ】」
目を軽く閉じて、呪文を小声で唱えながら…薄らと目を開けた。
眼前に、ぱっとパソコンのデータ画面が浮かび上がる。
この術式は、対象者の明確な情報を調べ上げる効果がある。
術の使用者のレベルが高ければ高いほど、より緻密な詳細が画面に表示されるのだ。
==============
本宮優月 5月21日生まれ
本宮家当主 本宮慶一の末娘。
……(省略)……
京都呪術高等専門学校から途中、東京の医大へ編入。
理由は…■■■■■
現在、香川県高松市にてクリニックを運営している。
==============
(今の私はまだレベルが低いから、簡単な情報しか映らないか。
途中で黒塗りの部分が出ているのは、レベルが高くならないと見れない証拠だし…
…ん? これって…)
舞香が画面に目を通していると、ある一覧の箇所に目が留まった。
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《ステータス》
◇生命力 3450
◇術力 5570
《異常・負荷》
◇縛り
■■■■■との間で交わされた縛りのもと、対象者は■■■■■■■■■へ■■■■■■■■■■■■。
その対価として■■■■■は、対象者の■■■■■
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ステータスの一覧に書かれている文面に、舞香はぎょっとした。
【縛り】という単語を目にして、舞香の脳裏にある記憶がよぎった。
*** ***** ***
『【縛り】というのは、制約を作る事で術式の効果を高める方法なんだよ』
夏休みが始まる前の土曜日。
藤基家に遊びに行っていた時に、智彦が呪術の知識を教えてくれた。
『【縛り】にも種類があるんだ』
『どんなものがあるんですか?』
『一つ目は、自分に対する縛り。
能力や行動を制限する事で、能力を向上させる方法』
『守らなかったら、どうなるんですか?』
『能力は落ちてしまうね。
重たい縛りをすればする程、パワーアップしても、破ってしまえばその分罰は重くなってしまう』
『他の種類は…?』
『他人との間で交わす縛りがある。
簡単に言うと、約束を交わす事かな。
分かりやすく言うとね…』
智彦が台所を借りて、調理している和広に目を向ける。
『この間、和広君は闘也に算数で分からない問題を教えてほしいと頼みました。
闘也はその報酬として、和広君が作る絶品ラーメンを求めました。
お互いに契約を交わして、守る事でメリットを生み出す…という感じかな』
ほんわかと笑って解説する智彦に、舞香は「なるほど…」と頷きながら納得した。
ちょうど、チャーシュー多めのラーメンが完成して、和広と闘也が食べている最中だ。
すると、智彦が真面目な表情で注意を付け加えた。
『でも、その契約を破った場合は当然罰を受けてしまう。
その事はしっかりと記憶に留めておいてね、舞香ちゃん…』
*** ***** ***
(叔母さんは、過去に誰かと縛りを交わしたんだ…)
その人物は、黒塗りで名前が分からない。
判明している事は…舞香よりもレベルの高い実力者である事。
(どういう経緯があったのかしら…)
悶々と思考しつつ、舞香はテーブルクロスを並べていく。
その時、近くの棚に置いてある花瓶に飾られている花々が視界に映った。
「(三日前はなかったよね…)叔母さん、あのお花、どこかで買ったものですか?」
「それ? 頂いたものよ」
「知り合いの人?」
「うん、昔からのね…」
そう答える叔母の表情を見ながら、舞香は「そうですか…」と返した。
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