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【ミンキー】ドッキリ

今日はミノが新たな恋愛ドラマの撮影をするらしい。

あの生真面目なミノのことだ、リアルな演技を求めてその女と深く関わろうとするだろう。
正直この16年でミノへの恋心は諦めているつもりだけれど、ミノが女と……など、考えたくはなかった。

皮肉にも今日は予定がひとつも無く、テミニは日本にいて、ジンギヒョンもMVの撮影があるらしく気軽には呼び出せない。

いや、ジンギヒョンなら優しく寄り添ってくれるだろう。しかしMVの撮影で疲れきったヒョンにそんなこと頼めるはずがない。

そうして途方に暮れていると玄関のインターホンが鳴った。

「はーい」と応えながら玄関に向かおうと立ち上がったのだが、何かにぶつかってしまったようで体がよろけ、その途端に目の前が真っ暗になってしまった_



そうして目を覚ましたぼくは、気を失ってしまったんだと即座に気がついた。そしてその後に目に入った光景に、ぼくは言葉を失った。

「み、ミノ!?な、なんで」

ミノの顔が近くに………なんで?!?今日は恋愛ドラマの撮影じゃ…

未だ頭が回らないままで前を見ると、何かを構えている顔馴染みのスタッフさん達がいた。

いまいち状況が理解できずにいると

「ソユン…目を閉じて」

ミノの顔が近付いてくる。にしても…ソユンって?ミノは僕を誰かと勘違いしてる?僕だって一応ミノとチームメイトなのに…間違えることなんてある!?!?というかドラマの撮影で人を間違えたりしないよね!?

そんなことが僕の頭の中でぐるぐる回って、僕はどんどん混乱していくばかりだった

そんなことを考えているうちに、ミノの唇と僕の唇が重なった。

「ん……、ふ…ぁ、っ」

思わず声が漏れる。
頭はどんどん混乱していくのに、体はミノを求めてしまう。

「ね、ミノ…っ……」

「み、みの……?こ、れ、なに…っ?」

力を振り絞って放った言葉はすぐに2度目のキスで塗り替えられた。

「み、の……っ」

段々頭が回らなくなってくる。好きな人と会えるだけでも幸せなのに、キスまでされるなんて……

どこまで都合のいい夢なんだろう。
そうだ、これは夢なんだ。
ミノが僕にそんなことをしてくるわけがない。ミノは女が好きなんだ…

そう考えている内に、いつの間にか泣いてしまっていたようだ。
ミノの顔が曇っている、あぁミノ、せっかくこんないい夢を見れたんだから、そんな顔しないでよ。

そんなことを考えながら、ミノの顔に手を伸ばす。するとその感触があまりにもリアルで、これが現実だったらいいのに…と考えざるを得なかった。

そしてとある物が書いてある板を持って、前からスタッフさんが気まずそうに歩いてくる。
その板に書いてある内容を見て、僕はまた気を失ってしまうかと思った。


その内容は、
「ドッキリ大成功!」
……

はぁ!?!?!?ドッキリ!?!??!

顎が落ちてしまいそうだ。どうやら「恋愛ドラマに急に参加させられた時のぼくの反応」を見るためのドッキリだったらしい。

ドッキリということは、さっきの僕の痴態も撮られてるということだし、
……ミノを求めている僕も撮られているということ。

鳩が豆鉄砲を食らったかのようにぼーっとするミノの頭を思いっきり叩いて、

「おい!みのやー!!!お、お前なにしてんだよ…!!!!ほんとばっかみたい!!!!」

とできる限りいつも通りの‘SHINeeのキー’として振る舞おうとした。しかしミノは未だ固まっている。

なんでお前が固まるんだよ!という気持ちを抑え、必死にトークを繋げようとする。

しかし、言葉が出てこない。まあでも、この撮影データは放送事故として処理されるだろう。

そう思っていたけれど、スタッフさんがぼくに耳打ちする。

「す、すみません…これ、生放送なんです」

先程の希望が打ち砕かれた。最悪だ。
全て見られている、ぼくたちのことを応援してくれているファンにも、全部。

その事実に、更に顔が熱くなる。
そして今まで固まっていたミンホが、

「ま、まあ!これは放送事故ということで…!
し、SHINeeミンホでした!また次の放送を楽しみにしていてください!それでは!」

そう無理矢理締めくくり、番組は‘無事’終了した。


楽屋では頭を抱えるぼくと、気まずそうに目をそらすミノが居た。

「なあキボマ、もしかして俺の事_」
「うるさい!!!ミノは黙ってて」

ミノはぼくがミノのことを好きなのかが気になっているようだけど、ぼくは世間の反応の方が気になっていた。

あのSHINeeキーがゲイだなんて世間に知られたらどうなってしまうのだろう。袋叩きにでもあってしまうのだろうか?

そう考えながら震える手で反応を見ようとSNSを開くと、そこには予想もしてなかった光景が広がっていた。

「ミンキーはやっぱりガチだったんだ!!」
「元々やりとりが完全夫婦だったし、やっぱガチだったんだよ」
「ミンキー尊いㅠㅠこの時代を生きれて幸せだㅠㅠㅠㅠㅠ」

予想もしてなかった祝福の言葉の数に、スマホを投げてしまう。受け入れられるとは思っていなかった。

こんなことがバレたら…とも考えたことがあるくらい、ぼくはこの事について悩んでいた。

スマホに表示された文字を見たミノが口を開いた。

「なぁキボマ、キボマってさ
……俺の事好きなの?」

一瞬空気が凍る。もうどうにでもなってしまえと考えたぼくは前のぼくなら想像もできないことを口走っていた。

「あぁ好きだよ!めちゃくちゃすき!悪いか!!?きらいか!?もういい!!みのなんて嫌い!!!!!」

我ながら支離滅裂だと思う。

でもそれを聞いたミノの頬が緩んでいることをぼくは疑問に感じた。
引かないの?なんで?という疑問がぼくの中でぐるぐる回る。

「俺も好きだよ、キボマの事。」

また予想もしてなかった言葉で思考が停止する。みのが?ぼくを?すき?理解が追いつかない。

「え、みの、ぼくの事?ぼ、ぼくのこと言ってるの?え、っ、本気?」

といつものぼくには似つかわしくない口調でミノに近づく。

「うん、好きだよ、キボマの事。
でも正直キボマは俺のこと好きじゃないと思ってた」

これは夢なのだろうか。好きな人から言われたかった言葉が、実際にその好きな人から放たれている。
その事実を受け止めきることができない。そう思っているとミノが続けた。

「こんな形で伝えることになってごめん…
で、でも、キボマのことが好きなのは、本当だから。」

そう真っ直ぐな瞳で見つめられると、嬉しい以外の言葉が出てこない。我ながら単純だと思う。でも、今だけはこの幸せを噛み締めていたい。


「ほかの女の名前呼びながらキスしたの、まだ根に持ってるから…」

「かわいいな…
じゃあ上書きしてやるよ。」

「ほら、キボマ。目を閉じて……」

END
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