【第24章〜歓迎会〜】
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――そんなトラブルを越えた2人は、ぐったりとした様子で廊下を歩いていた。結局、両者共に風呂に入り直すことになった。
その間、2人は風呂からあがったら食堂へ来るようにと言われていたのだ。
「疲れたな」
「あぁ」
「瑠璃、部屋こっちで合ってる?」
「間違いない。匂いを覚えてる」
「流石だな」
温泉後だと言うのに酷くやつれた顔をして、二人は教団の廊下を歩く。
それもこれも、科学班のせいだ。あちこち測定しやがって。人の体を何だと思っているのか。
「「......これからやっていけるのか」」
互いに、それ以上の言葉は出なかった。二人同時にため息をつき、更に身体が重くなった気がする。......本当にここはどういう施設なのか。人間が一番怖いのだと、今日だけで痛い程理解した。
「今更だけどさ......間違えたかな?」
「それを考えたら、キリがないぞ」
「それはそうだけど......キャラ濃すぎじゃないか?ココの奴ら」
「......否定はしない」
ポツリポツリと話す2人の会話が、静かな廊下に響いていく。その声色には疲労が滲んでいるが――不思議と後悔の色だけは滲んでいなかった。
「......けどまあ、退屈はしなさそうだな。今までと違いすぎて戸惑ってはいるけど」
「ああ。―― 椿、止まれ」
瑠璃の声に、ピタリと足を止める。
椿が彼の視線を辿って行けば――――そこには爛々とついた明かりが漏れている部屋があった。
「あの部屋だけ明るい」
「......色々あり過ぎて、ヤな予感しかしないんだが」
「......行くしかないと思う。クロウリーもミランダもあそこにいる」
「腹を括るか」
――鬼が出るか、蛇が出るか。
そんな思いを抱え、慎重に、部屋の明かりが届かない壁際まで寄って、椿はイノセンスを発動させる。白銀の弓を爪弾き、同時に瑠璃は獣人型になった。細い場所を潜り抜けるには、獣人型の方がいいのだ。
2人で深呼吸して、目を合わせる。警戒心を掻き立て、部屋に突撃――――した瞬間、大量のクラッカーが弾けた。パンパァン、と高らかに音が響き、紙吹雪が舞う。
......状況を飲み込めない椿と、音に驚いて硬直する瑠璃が、その場に取り残された。
「「「お帰りなさい、瑠璃、椿!ようこそホームへ!!」」」
重厚な教団には似つかわしくないほど、派手に飾り立てられた部屋。天井から両脇の壁にかけて飾られた巨大な垂れ幕には【Welcome 瑠璃&椿】の文字。
次いで香るのは―――空腹を刺激する料理の数々。
「.........なんだ、コレは」
全てのクラッカーの紙吹雪が全部床に落ちるまで、たっぷり間を開けて椿が言葉を吐き出した。
疑問符すら付かない椿の声が、部屋に落ちる。
それを拾い上げたのは、クロウリーとミランダだった。
「歓迎会である。私が来た時も、こうして祝ってくれたのだ」
「驚かせちゃってごめんなさいね?私もやってもらった時はすごく驚いたわ」
ふふ、と嬉しそうに笑う2人。
――歓迎会。
その言葉は、聞いたことはあるものの、経験のない2人には未知の存在だった。ぱちくり。瞬きをする。
「なあ、虎助固まってない?」
「虎は音に敏感じゃからの」
ラビとブックマンが、瑠璃を気に掛ける。
すまなそうな顔をしているブックマンは、瑠璃の様子を見ると、息を吐いた。どうやら驚いているだけで、異常はなさそうだ。彼がいる時のクラッカーは控えるよう、今後は気をつけよう。
そんなことを考えていれば、驚いていた椿がゆっくりと周囲を見渡す。
クロウリー、ミランダに始まり、コムイ、ラビ、ブックマン。そして、婦長と、科学班達。
沢山の人が、立っている。
――歓迎会という名に恥じない、笑顔を携えて。