異界を繋ぐ恋の架け橋
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敖潤「捲簾大将、その書物を後で私の部屋に運んでおくように。私と朔羅はその間に食事を済ませておく」
捲簾「へーい、了解っす」
朔羅「え?置いていっていいの?」
敖潤「構わん、天蓬元帥の手がまだ止まりそうにない。我々も書物に埋もれる前に食事を済ませよう。戻るぞ、朔羅」
手を握りなおして踵を返し、敖潤は歩き出す。
捲簾「お2人共、仲良くねぇ~」
去り際に捲簾大将がそんな声をかけてきたが、敖潤は無視していた。
怒ってるのかなと思って、緊張して握っている手に力が入ってしまった。
敖潤「どうした?朔羅」
朔羅「え、いや、あの、その、ちょっと、悪い事しちゃったかなって、緊張しちゃってっ」
敖潤「あやつらに気を遣う必要はない。それとも、私の正体を知って怖くなったか?」
朔羅「それはないです!敖潤さんは、綺麗でカッコいいと思います!」
これは即答した。
敖潤「カッコいい?私がか?」
敖潤が再び首を傾げる。
(この娘は一体なんなのだ。私の正体を知っても、外見に関しても綺麗だと言う。この娘は私に好意を抱いているのか?)
敖潤の顔に疑問符が浮かんでいるのが、無言が示しているように思えた。
たぶん、自分がどうして敖潤が好きなのか分からないからだろうと推測して、言葉を発する。
朔羅「私、初めて敖潤さん見た時から、綺麗だなって思ったんです。その肌も瞳も角とか耳とかも含めて。甲冑も肌と合ってて綺麗だし、何ていうかすごくカッコいいなぁって思ったんです。その、なんていうか、一目惚れです」
口に出して言うと恥ずかしくて、俯いてしまう。
敖潤「・・・そう、か。覚えておこう」
今の微妙な間はなんだったんだろう?
でも、自分の気持ちを覚えていてくれるならそれでいい。
まだ、出会って間もないのだから。
それから部屋に戻って、用意されていた夕飯を、特に何を話すでもなく食して、片づけは女中を呼んで、食器類が下げられると同時に、捲簾大将が部下数名と共に部屋に書物を運んできた。
当分は、書籍との格闘になりそうだ。
彼らが帰った後も、少しばかり互いに書物を読み漁ったが、成果は上がらず、読み終えた本とまだ手を付けてない本を整理して、自分は敖潤の部屋を後にすることにした。
朔羅「今日はお疲れ様でした、敖潤、おやすみなさい」
敖潤「朔羅、その手に持っている書物は置いていくように、自分一人で無理はするな。今日だけでもかなりの書を読んでいる。夜はゆっくり疲れを取って明日に備えた方が良い」
こっそり寝るまで読もうと思って後ろ手に隠していた書物を敖潤に見つけられ、首をすくめる。
朔羅「バレちゃったか。私、少しでも力になりたくて」
敖潤「朔羅の力になるべきは私だ。私ももう少ししたら休むから、先に寝ると良い」
そう言う敖潤の机の上には読み終わった書籍の山が出来上がっているのだが、本人は手の内にある書物のページをめくる手を止めない。
朔羅「でも、私だけ休むのは・・・」
敖潤「休むのも客人の仕事の内だ。まだ時間はある。ゆっくり探せばいい」
朔羅「じゃぁ、敖潤も遅くならない内に休んでね?」
敖潤「あぁ、そうさせてもらう」
言いながらも、ページを捲る手は止めていない敖潤に対して、ちょっとムカッとした。
ツカツカと彼の元まで歩いていき、読んでいる本を取り上げる。
敖潤「なんの真似だ」
低い声で彼が怒っているのは分かるが、ここは自分も引けない。
朔羅「休むのも仕事の内なら、敖潤も休んで。私が惚れたお肌が荒れちゃうのは嫌です」
敖潤「はぁ、乙女の柔肌ではないのだから、私の肌はその程度で荒れたりしない」
朔羅「でも、休んでください。ずっと読みっぱなしだと疲れます。それに、西軍の総司令官ならこんなことにかまけてる時間があったら部下の報告書とか読む時間も必要でしょう?私に休めと言うなら、ご自身も休んでください」
敖潤「朔羅、お前と言うやつは・・・なんというか、敬語が抜けたと思ったらまた戻っていたり口調も統一できない癖に、私に説教を垂れるとは、ある意味肝が据わっているな。正妻にするなら君のような人物が好ましいな」
朔羅「は、はい?正妻って奥さんってことですか?なぜにそんな言葉が、今出てくるんですか?!」
敖潤「・・・・・・さぁ?どうして、そんな言葉が出たのか、私自身が信じられん。朔羅との接触の中で、私の心理に何かしら動きがあったのかもしれないな」
朔羅「そんな他人事みたいに自分のことを考察してる暇があったら、一緒に休みましょう?続きは明日、ね?」
敖潤「朔羅がそこまで言うならそうしよう」
説得の甲斐があって、やっと敖潤が執務椅子から立ち上がった。
敖潤「私の寝室はこの部屋を挟んで朔羅の部屋の反対側にある。何かあったらすぐに呼ぶのだぞ」
朔羅「は~い、分かりました」
2人で一緒に部屋を出て、左右に分かれてドアを開いて、去り際に一言ずつ話す。
朔羅「おやすみなさい、敖潤」
敖潤「あぁ、おやすみ、朔羅」
こうして、異界に来て初めての一日は過ぎていった。