紅と藍の別れ?
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定夢小説の主人公は、その話に応じて容姿や性格などを設定しています。
全ての小説で、夢用のお名前を使用する場合は、こちらを使用してください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そうして、彼女の幻覚説明が始まった。
彼女の話を、要約して、三蔵が結論をまとめる。
三蔵「・・・一番厄介なのは、触覚か」
鬼宮「あぁ、触られたら一発アウト。術者の思い通りの幻術をかけられる。俺らはこのタイプにやられたんだ。俺自身も未だその幻術の中にいる。触れるという行為は一瞬でも、記憶には残るからな」
話の終盤にかけて表情が暗くなる鬼宮。
悟空「そっか。幻術にも色々あるんだな。けど、凛華の幻術は、ソイツを倒せば元に戻るんだろ?」
鬼宮「いや、たぶん、元には戻れない」
悟空の言葉に鬼宮は暗く答える。
鬼宮「自分でも分かるんだよ。徐々に、紅い月の日を重ねるに連れて、妖怪化が進んでるのが。おそらく紅い月がある限り、この術は解けない。術者を殺したところで、元には戻れんさ。だから、一人で」
悟浄「一人になんか、させねーよ。もし、暴走しちまった時には、俺が全力で止めてやる」
悟浄が鬼宮の肩を抱く。
孤独に生きようとする彼女を傍で支えるように、強くただ強く抱く。
鬼宮「悟浄、ありがとう。俺は大丈夫だ。きっと、たぶん、大丈夫だ」
不安を交えた彼女の言葉は、自身を勇気づけるようかのようだった。
三蔵「で、触覚に訴える場合の妖怪にはどう対応すればいい?」
三蔵が、結論を仰ぐ。
悟浄の腕を振り払うことはせず、視線を上げて彼女は静かに話す。
鬼宮「・・・触られないのが一番だ。あるいは、同じ術で返す。触れた瞬間に、こちらも同じ幻術で対応するしかない。それができるのは、この中では俺だけかな」
八戒「凛華さんも幻術が使えるんですか?」
鬼宮「影結びって術がある。己と相手の影を重ねて、操る術だ。奴が現れたら、お前らは真っ先に逃げろ。絶対に触られるな。とにかく逃げろ。一人でも術にかかったら厄介だ。解除のしようがない」
八戒「なかなか、厄介そうですねぇ」
悟浄「けど、逃げるって道はないでしょ?ね、三蔵様?」
三蔵「フン、当たり前だ」
鬼宮「お前ら、事の重大さが分かっているのか?」
真剣な彼女の意見を、なんとも思ってないかのように彼らは話す。
悟浄「分かってるさ。凛華ちゃんの事は、俺がどうにかしてするよ」
さりげなく、肩に置いていた手を頭に移動させて、鬼宮の頭を撫でる悟浄。
鬼宮「・・・悟浄。いい加減、離せ。八戒、そろそろ、次の町が見えてきてもいいころだが、見えてきてるか?」
今度は気に食わなかったのか、ムスッとして彼の手を払い、視線を前方に投げる彼女。
それを気にした風でもなく、悟浄は自身の頭の後ろで払われた手を組んだ。
一筋縄ではいかない彼女の性格も、結構気に入っている。
八戒「残念ながら、もう少しかかりそうですよ。地平線に蜃気楼で町は映ってるんですが。たぶん、地平線まで行かなきゃないんで、まだまだかかりそうです」
悟空「チェッ、今夜も野宿かよー」
鬼宮「・・・今夜あたりか」
むくれた顔から一転して真剣な声に、悟浄が顔を覗き込む。
悟浄「凛華ちゃん、どうかしたの?」
鬼宮「悟浄。今夜は、ちょっかい出してくるなよ。大人しくジープで寝てろ」
悟浄「えー、どうして!」
鬼宮「夜になれば分かる」
鬼宮はそれ以上話すことはないというかのように、黙り込み頭上の影を見つめる。
直射日光が防げてる分、涼しいが吹いてくる風は熱い。
自身が一時的に作り出した日陰も、その場凌ぎでしかなかった。