紅と藍の別れ?
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紅い月の夜から明けて、一行は人に戻った鬼宮を乗せ、ジープは砂漠地帯を走っていく。
いつものごとく、八戒と三蔵が前の席、後部座先には悟浄と悟空の間に鬼宮が座っている。
悟空「あちー」
悟浄「悟空、あんま、それ、言うな。こっちまで暑くなってくる」
悟空「だってよー、あちぃものは暑いじゃん!」
鬼宮「なら、ちょっとばかり、涼しくしてやろう」
いつもならこのまま喧嘩に発展しそうな馬鹿二人の会話を鬼宮が遮った。
鬼宮「ジープ、少し影を借りるぜ?」
そう言って、彼女がトントンとジープの後ろ部分を叩く。
そして、何かをはがすような仕草をして、唱える。
鬼宮「・・・影反転っと」
すると下にあるはずのジープの影が、一行の頭上に展開する。
三蔵「・・・便利だな」
八戒「影の逆展開ですか?気功術の別種ですか?」
鬼宮「俺は元々、影の扱いに長けた村の出身なんだよ。まぁ、ちょっとした特技って奴かな」
悟浄「へぇ、便利だなぁ。お蔭で日差しが防げて涼しくなったわ」
悟空「なぁなぁなぁ!影を操るって、他にどんなのができるんだ!」
悟空が興味津々と、鬼宮に問う。
鬼宮「うーん、具体的に聞かれても説明がしにくいな。一度、暑くなるが、日陰解くぞ」
言いながら、影の端を持ってジープに叩き付ければ、影は元通り、ジープの下に戻る。
悟空「おぉ!すげー!影に直接触れんのか!」
鬼宮「まぁな。悟空、悟浄。ちょっと、腕交差させろ」
悟浄「あ?こうか?」
悟空「今度は何見せてくれんの!」
悟空と悟浄がジープのシート部分に影が映るように腕を交差させる。
鬼宮「影が重なってれば、こうやって触れるだけで、感覚の共有をさせることもできる」
2人の影が重なっている部分に、鬼宮がポンと手を置いてすぐに離す。
悟浄「おわっ、悟空いつもこんな空腹抱えてんのかよ!」
悟浄のお腹が盛大な空腹を訴える。
悟空「うっわ、悟浄、頭の中、ピンク過ぎ!」
鬼宮「今度は解除するぞ」
互いに交差させたままだった腕の影を今度は線で切るようになぞる。
悟浄「やっと、空腹感なくなった」
悟空「あ、ピンクの考え消えた」
八戒「それが、凛華さんの特技ですか。名付けるなら、影使いって所ですかね」
鬼宮「まぁ、そういうことだな」
そう言いながら鬼宮は、再びジープの影を日陰用に、頭上に展開する。
鬼宮「元々、宵闇一座って妖怪退治屋集団に属してたんだよ。影を操ることに長けた集団だな。俺以外全滅しちまったけど」
少しだけ鬼宮の言葉が陰る。
悟空「なぁなぁ、一座ってことは、何か互いの呼び名とかあったのか?なんか、かっこいいの!」
鬼宮「悟空は積極的だな。俺は、確か・・・宵闇の牙だったか。双剣使いだし。一座の中では結構、術が使える方だった」
今日の鬼宮は昔語りをしてくれるが、言葉の端々が暗く落ち込む。
ジープの影で、直射日光を避けているから光は辺りにくいが、彼女の表情の陰りを悟浄は見逃さなかった。
悟浄「あのさ、凛華ちゃん。聞いておきたいんだけど、前に凛華ちゃんが話してくれた幻術師ってどんな奴なの。それが分かんねーと俺らも、対策練れ無いっしょ」
八戒「そう言えば、前に僕らに襲いかかってきた幻術師は音と視覚を媒介にしてましたねぇ」
鬼宮「幻術師と対峙したことがあるのか?」
三蔵「まぁな。けど、奴の場合は主に目と耳に働きかけて、幻覚を見せるタイプだった。お前の例のように、人を妖怪化させるような幻術師には会っていない。今後の為に、話を聞いておきたい。妖怪退治の専門家だろ、お前は」
意外にも三蔵が興味を示す。
鬼宮「そうだな・・・なら基本から話そう。幻術にかけるにはいくつかの種類がある。基本、五感に訴える物だと思ってくれればいい。視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚だな」