紅と藍の別れ?
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その日の午後、鬼宮は目覚めてから昼食を取り、三蔵を宿に残して、残りのメンツは二手に分かれて買い物に出ていた。
八戒と悟空は食料や地図など備品の確保。
悟浄と鬼宮は、煙草の買い置きと、妖力制御装置探しだ。
元々、妖怪と人間が共存していた桃源郷。
妖力制御装置の必要性は低く、それを付けている者も作っている者も少数。
さらに、妖怪が暴走してからは、作っても付ける暇がないとの理由から、生産はほぼストップしているに等しかった。
そんな中、鬼宮達は雑貨店を回り、市場に出回ってないか探し出すことにした。
悟浄「それにしても、意外とないもんだな、妖力制御装置」
鬼宮「当然だ。妖怪が暴走する前から需要は少ない品だった。ここまで来てないなら、自作するしかないな。店主、このハウライト鉱石のついたバンクルって2つあるか」
鬼宮は立ち寄った雑貨店で見つけた自身の腕に合う楕円形の白い石が付いたバンクルを一つ、手に取って店主に尋ねる。
店主「あぁ、それかい。同じ大きさじゃないが、同じ石の物ならあるな。腕に合わせて加工してやろうか?」
鬼宮「あぁ、バンクルの幅を調整してほしい。どうしても同じものが2つ必要なんだ」
店主「あぁ、そうかい。買ってくれるなら加工料を上乗せしてもいいかい?」
鬼宮「構わない」
店主「あいよ、少し待っててくれて」
鬼宮の言葉を受けて、店主は彼女が手にしていたバンクルを一度預かると、それと同じ石が付いた一回り大きめのバンクルを手に取って、店の奥に姿を消し、すぐに鋼を打ち直す音が聞こえ始める。
悟浄「妖力制御装置って自分で作れんのか?それに、なんで2つ?」
鬼宮「安全性を高めるためだ。片方が壊れても、もう片方で抑えが効くように。一つ壊れても半分だけの妖力が解放され、もう1つ付け直せばまた人に戻れる。両方外せば完全な妖怪になると言う原理だ。妖力制御装置自体は、生成の原理さえわかっていれば退治屋なら誰でも作れる。必修課程だからな」
悟浄「へー、じゃぁ、凛華ちゃんも作れるんだ?」
鬼宮「まぁな」
店主「へい、お待ちぃ」
2人の会話が終わるのとほぼ同時に、店主が同じサイズに調整したバンクルを持ってきてくれる。
鬼宮「ありがとう、お代は?」
店主「あぁ、いらんよ。あんた宵闇一座の生き残りだろ?その夜色の髪と瞳。まさか、生き残りに会えるとは思ってなかったからさ、そいつはタダだ。だってよ、俺、生きてる間に宵闇の牙に会えたんだからな!」
商品を鬼宮に渡すと同時にニカっと笑う店主。
悟浄「宵闇の牙?なんかいい事でもあんのか?」
店主の様子の変化に、悟浄が問う。
店主「あんた、知らないのかい。この辺りじゃ、宵闇一座は有名な退治屋一族だったんだ。どんな相手でも確実に仕留める腕利き一座。その中の花形、大立ち回りの宵闇の牙は、長い夜色の髪のポニーテル、男口調ながら、その妖艶に舞い踊り闘う姿は一見の価値ありって言われてたんだぜ?生憎、一座は突如壊滅しちまったが、宵闇の牙だけは生き残ってるって噂だけが残ってな。以後、宵闇の牙に会えた奴には幸運が訪れるなんて噂があるのよ。だから、きっと俺にも幸運が来るんだぜ、きっと」
饒舌に喋る店主の横で、鬼宮は「そんな噂があるとは知らなかったな」と1人ぼやいている。
鬼宮「店主、確かに、俺は宵闇の牙だが、一座はもうない。あまり噂に流されて生きるなよ」
それだけを告げて、その場を後にした。
当然、悟浄もその後ろ姿を追う。
悟浄「なんか、凛華ちゃん、すごい噂立てられんのね。俺様、ビックリしちゃった」
鬼宮「俺も初耳だ。確かに有名であったことは事実だが、俺にそんな幸運の女神のような効力はない」
悟浄「・・・そうでもないかもよ?」
鬼宮「何?」
悟浄「俺様にとっては、凛華ちゃんは幸運の女神だってこと♡」
そう言って、悟浄は自身の手を鬼宮の手に、恋人繋ぎで絡ませる。
鬼宮「っ、悟浄!こんな人通りのある所で!」
悟浄「いいじゃん。俺らもう、恋人同士なんだから、多少見せつけても、さ。他の奴らいないし。宿に着くまでな?それと、妖力制御装置作る所、見てもいい?」
鬼宮「全く、悟浄は油断も隙もないな。・・・嫌じゃないからいいが。作業中は集中するから、話しかけないのであれば見てても構わない」
悟浄「うん、大人しくしてる♪」
手を繋ぎながら答える悟浄の笑顔が、眩しくて綺麗だと思った。
(こいつを選んで良かったな。いつも暖かい笑顔で俺を受け入れてくれる)
そんな感情を抱きながら、宿へと帰宅した二人である。