紅と藍の別れ?
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翌朝。
結局、悟浄は、悟空の影だけを床から剥がしてベットに座らせることにだけは成功した。
それを知らせようと一番に早起きして、鬼宮の泊まる部屋の扉を叩く。
悟浄「凛華ちゃん!俺、やっと影に触れたぜ!んで、床から剥がせた!」
鬼宮「・・・悟浄?ちょっと、待て。札破るから」
悟浄「札、破るって?」
悟浄が疑問に思っていると、彼女が愛用している巨大クナイの先端が、ドアの隙間からザクッと札を破く音と共に廊下側に出てくる。
悟浄「・・・もしかして、ドア一面に張ってんの?妖気漏れ防止の護符」
鬼宮「うん、部屋中に張ってある。悟空と八戒呼んできて。お前じゃ、下手に札に触ったらピリッとするかも」
言いながらも、ザクザクとクナイがドアの隙間を縫って札を破いていく。
悟浄「あー、分かった。呼んでくるからまだ寝るなよ?」
鬼宮「分かってる。でも、行く前にちょっと待って」
悟浄「?」
悟浄が疑問に思っている間に、内側から扉が開いた。
中は異様な程の護符が張ってあり、一人では剥がすのに一苦労しそうだった。
悟浄「凛華ちゃん?どした?」
顔を出した鬼宮の目元は腫れていて、泣いてたことが分かる。
鬼宮「・・・」
ぼすっと、無言で抱き着かれた。
悟浄「っ、凛華ちゃん?!どったの?一人の夜が怖かった?」
いきなり抱きつかれて戸惑う悟浄に対して、鬼宮は抱きついたままコクリと頷く。
鬼宮「寂しかった。久々に一人になったら、お前の顔ばかり浮かんできた。自分はこんな感情とは無縁だと思ってたけど、そうでもなかったらしい。・・・悟浄が好き、だと思う。まだはっきりとした感覚ないけど、傍にいてほしい。こんな自分でも受け入れてくれる悟浄だから、傍にいてほしい」
それは、悟浄にとっての初めての彼女からの告白。
鬼宮にとっても初めての告白。
唐突の事に、悟浄が固まる。
今まで自分からアタックすることはたくさんあった。
振れられることも、受け入れられることにも、慣れていた。
けれど、こんな形で。
抱き着かれながら泣きはらした顔で、告白されたのは初めてで、どうしていいか分からない。
悟浄の沈黙に、耐えられなくなったのか、鬼宮が口を開く。
鬼宮「・・・ダメ、か?」
悟浄「いやいやいや、ぜーんぜん、悪くないから!むしろ、大歓迎よ?ただ、その、なんだ。あんまり凛華ちゃんからそんな言葉が聞けるとは思ってなくて、驚いちゃって。確認するけど、本当に俺でいいの?」
その言葉に、身を離してコクリと頷く鬼宮。
鬼宮「自分は、悟浄がいい。悟浄に最後を看取ってほしい。妖怪化する瞬間も見守ってもらったし、いつも自分を支えてきてくれた悟浄だから。悟浄に最後までずっと傍に居てほしい」
鬼宮の言葉に、悟浄の胸の中で鼓動が高鳴る。
(これってつまり、ずっと俺の片思いだったのが、叶ったってことだよな?)
悟浄「じゃぁさ、その、俺ら、両想いになれたってことで、キスしてもいい?」
鬼宮は暫し、悟浄を見つめた後、言葉では答えず、コクリと頷いた。
悟浄は頭一つ低い彼女に視線を合わせて、恐る恐る壊れ物にでも触れるかのように、涙が伝った跡のある頬にキスを落とした。
悟浄「・・・嫌じゃないか?」
身を離して確認する。
鬼宮「うん、こっちにもして?」
鬼宮は安心しているのか、反対の頬を向けてくる。
悟浄はそっちの頬にも優しくキスを落として、今度は自分がおねだりしてみる。
悟浄「じゃぁさ、誰も来ない内に、凛華ちゃんからも、キスして?」
鬼宮「うん」
同じ視線の高さにある悟浄の左頬に鬼宮はキスをした。
てっきり唇だろうと期待していた悟浄は半ば驚いて、声を上げる。
悟浄「なんで、そこ?」
鬼宮「前々から気になってた。ソレ、小さい頃に誰かから傷つけられた物だろう?痛々しそうだと思ってたから、悟浄のこと、癒したいと思ったからそこにした。自分は、恋愛経験とかないから、間違ってたか?」
顔を朱に染めて視線を外す鬼宮が、ひどく愛おしく思えて、悟浄は優しく抱きしめた。
悟浄「何にも知らないなら、俺が少しずつ教えてやるから。俺様に告白したんなら、俺色に染めちゃうけど、いいんだな?」
少しだけ声を低めて囁けば、腕の中で頷く感触がした。
鬼宮「悟浄がいいんだ」
小さな声だったが、確かに悟浄の耳に鬼宮の声は届いた。
悟浄「そっか。加減はしないからなぁ?っつっても、まずは寝てないんだろうから。この部屋片づけるまで、俺らの部屋で休んでろ?いいな?」
鬼宮「うん」