【終章〜保護者公認〜】
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暫く呆然としていたクロウリーは、眠っている椿を見つめると、無心で酔い覚ましの為に水差しとコップを用意して、立ち去ろうとしていた。
扉に手を伸ばし、ノブに触れる――寸前。
扉が勢いよく開かれ、鼻先スレスレを通っていく。ギョッとして固まっていれば、駆け込んできたのは酒の匂いをまとわりつかせた、瑠璃が息を荒くして立っていた。
「っ、椿は、大丈夫か!?」
「瑠璃。椿は寝ているである。静かにした方が......っ、酒臭っ!?」
瑠璃の吐息の強いアルコールの匂いに、クロウリーはコートで思わず顔を覆ってしまう。
その仕草に瑠璃は不快そうに顔を顰めたが、自覚があるのか、特に反論することは無かった。
「フーッ......。わかってる。酒が抜けるまで廊下にいる。今の我の吐息では椿の体に悪い。......アイツら、次飲ませたらたタダではおかんぞ」
今にも世の中の全てを食い千切りそうなほど、邪悪に顔色を染めて、ぶつくさと呟く瑠璃。その顔を見たクロウリーは、触らぬ神に祟りなし、と触れることはしなかった。
――それにしても、瑠璃はどれだけ飲んだのだろうか。
吐く息から推測できるのは、かなりの量を飲んだということだけ。しかし、それにしてはしっかりした足取りで立つ瑠璃。
クロウリーは、彼の世話までは必要ないであろう事を悟ると、自身も一緒に部屋を出る事にした。
「で。では、私も戻るである」
「いや、我の代わりに側に居てやってくれ。今戻れば、あやつらのカモになるぞ」
「そっ、そうかもしれないが、私は......」
「......お前は、保護者公認だ。好きにしろ。椿の選んだ道は否定しない。......椿は側に温もりがないと、熟睡出来ないんだ」
瑠璃の言葉に、クロウリーが目を見開く。驚きに目を開いた彼を、瑠璃はさほど強くない力で部屋に押し戻し、扉を閉める。
『えっ』とクロウリーが気づいた時には、もう扉はビクともしなかった。外開きの扉だが、開けようとすれば、扉は軋むだけ。つまり、扉の外には何かが――恐らく瑠璃が、寄りかかっているのだろう。
......これは下手に開けると、扉が壊れてしまう。
「...公認って、......」
突然の事に混乱を隠せない。しかし、ここで騒いでしまえば、椿を起こしかねない。......今、この状況で彼女と対峙できるほど、図太い神経は持ち合わせていないのだ。
心を落ち着かせようと1つ、ため息をついて、ベットの近くに椅子を持 ってくる。
腰をかけ、眠る椿の顔を見つめる。とても愛らしい、寝顔。
『好きらよー』
「......私は、椿が仲間になってくれて、嬉しいである」
「ぅん......」
温もりを探しているのか、小さく唸りながら寝返りを打つ椿の手が、ベットをまさぐり、落ちる。