【第2章〜廃墟にて〜】
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(な、なに......この肉球......! ぷにぷに......ふわふわ......!)
「...落ち着いた、な?」
安堵したような、どこかほわほわとした顔のミランダを見て、瑠璃は虎へと姿を戻していく。
離れる肉球に残念な顔をした後、再び虎に戻った瑠璃を見て身を固くするミランダに、虎は複雑な心境でため息をついて、椿の隣に並んだ。
人間に恐れられるのは慣れているとはいえ、......やはり少し悲しい。
気落ちした瑠璃の横腹に、ゆったりとした手が乗せられる。宥めるように動くそれに、瑠璃は顔を上げた。
「落ち込むな瑠璃。外の人間からしたら、虎は肉食獣で怖い生き物なんだ。......気にするな」
「そう、だな」
椿の言葉に、瑠璃はどこか寂しそうに笑みを浮かべた。
頭をポンポンと撫でられ、椿の手に擦り寄る瑠璃は、まるで何かに縋る小さな獣のように思えてしまう。
──そんな様子に、ミランダの心がチクリと傷んだ。
まさかそんな反応をされるなんて、彼女は思っていなかったのだ。人間には獣の心がわからないように、獣にも人間の心は分からないのだと、そう思っていた。
けれど、実際は目の前の獣が心を痛めて、寂しそうにしている。ミランダひとりの反応に、だ。......ただただ自分の感情に素直に反応してしまっていただけの自分が、恥ずかしく思えるほどに。
ミランダはこくりと息を飲むと、震える足でクロウリーの後ろから出て、大きな虎の姿をしている瑠璃と、正面から向き合う。
「あ、あのっ、えっと......。びっくりしちゃってごめんなさい......。わ、わわわわ私っ、ミっ、ミランダ・ロットーっていうの......っ!み、ミランダって、呼んでもらえたらっ......!」
「......!」
到底、スムーズとは言い難い自己紹介に、今度は瑠璃の方が面食らったようだ。
吊り上がる大きな猫目が見開かれ、次の瞬間にはにこりと嬉しそうに細められた。
「よろしく、ミランダ」
「!......ええっ、!よろしくね」
どうやら無事和解出来たらしい2人に、クロウリーと椿はホッと胸を撫で下ろした。
この先行動を共にするというのに、このままだったらどうしようかと少しばかり不安に思っていたのだ。
(良かったであるな、ミランダ)
「とにかく歩け、地下に行く。エクソシストがまた来たとアクマたちが知れば、襲撃が止まなくなるぞ」
瑠璃の嬉しそうな鼓動が伝わる身体から、椿は手を離して再び瓦礫の奥へと足を進めた。2人と1頭は慌ててその後ろを追えば、いつの間にか目の前にはここに来た時、初めて目にした教会のような、館のような場所へとたどり着いた。
崩れかけてる階段を3人と1匹で慎重に降りれば、地上の瓦礫の山よりもだいぶまともな場所に出た。