【第24章〜歓迎会〜】
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クロウリーが椿の肩を軽く支えてやる。今すぐずり落ちそうな細い身体を支えてやれば、椿はとろりとした目で彼を捉えた。
「クロうリー、好きら人、いる?」
「わ、私であるか...?」
「椿、酒は舐めるだけにしろと日頃から言ってただろう。部屋に戻るぞ」
「おいおい、主役がもう退場かー?」
「もっと楽しもうぜー?」
「ちょ、引っ張るな!離せ、貴様ら!」
おいっ!と叫ぶ瑠璃の声も聞かず、団員達が過保護な彼を奥へと連れ去っていく。
――とろりとした、椿の瞳。
その意味に気づかないほど、周りの人間は子供でも、ましてや純情でも無かった。
あのミランダでさえ、「あら」と口元を抑え、身を引いているのだ。
「いまぁ、好きら人いないならぁー、立候補ひてもいいー?」
「な、何を言っているである、椿。酒がダメなのであるな?」
寄りかかられながら、どうにか水を、と手を伸ばすクロウリー。それをラビがこれ見よがしに手に取り、遠ざけた。面白いことは大抵、皆好きなのだ。
慌てるクロウリーに、椿は手を伸ばす。細く、温かい手がクロウリーの頬を包んだ。
「......好きらよ、くろゥりー」
ふふっ、と微笑む椿に、クロウリーは顔を真っ赤にして、息を飲んだ。
その瞬間、かくりと力を失った椿に、たっぷり数十秒かけ、気を取り戻したクロウリーは、慌てて立ち上がった。
「み、みみみミランダ!コップを頼むである!!わ、わわわ私はっ、っ、椿を部屋まで、おお、送ってくるである!」
「あららー、クロちゃん、モテ期さ?」
「ラビ、からかわないでほしいである!」
「そう言ってー。耳まで赤くしてどうしたんさー」
「な、なななんでもないであるッッ!!」
泥酔状態の椿を抱き上げ、叫ぶようにして会場を後にするクロウリー。
その場に残された者達は、ヒソヒソと顔を突き合わせ、先程の出来事に花を咲かせていた。
「今の、告白よね?」
「まぁ、クロウリーも大人なんだし、大丈夫でしょ?でも、ズルいよ! 一人だけモテるなんて!」
「コラ、離せ! 椿はどこだ!ああもう、鬱陶しい!もう酒を注ぐな!絡むな!」
「俺の分も飲むさぁ虎助〜!」
「寄るなクソガキっ!!」
「俺にだけ当たりが強いさ〜〜!!」
ワーワーと騒がしくなる食堂。
それもこれも、何だかんだと注がれた酒は飲み干す瑠璃に、団員達が次々と気持ちよく酒を注ぎ足すからだ。そこにラビが入ってしまえば、もう収拾はつかない。
始まるのは、宴会ではお馴染みの、飲み比べだ。
「酒豪の虎に、ゲコの相方か」
「楽しんでくれてるみたいでよかったわ」
そんな様子を部屋の隅で眺めながら、ブックマンは茶を啜り、ミランダも紅茶を啜る。
この騒がしさが心地いいのだと、ミランダは微笑んでいた。
(クロウリーさんと椿ちゃんの事については、明日ちゃんと聞きましょう)