【第23章〜プチ小噺〈男風呂in教団〉〜】
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「虎は、ネコ科じゃの」
「えーと、猫は1年でおおよそ成人と同じくらいの年齢であるから......」
「......歳など考えても、意味がない。椿の誕生日は10 回ほど数えたがな」
「えッ!?そんなに長く一緒に生きてんなら、マジで幾つなの!?もし かしてクロちゃんよりずっと上?」
「何!?目上に私は敬語を使っていなかったのであるか......! 瑠璃えーと、瑠璃、殿?す、すまないであるっ......!」
「今更だろう。というか、その呼び名は慣れない。今まで通りでいい」
顔を真っ青にして慌てるクロウリーの言葉に、瑠璃は首を振る。敬称なんて、特に気にはしない。そういった人間の変な上下関係には、彼は微塵も興味がないのだ。
体を流し終え、早々に虎姿に戻った瑠璃は、一度その場で大きく身体を震わせると、前足でぱしゃぱしゃと湯船の温度を確認した。
近くで飛び散る水滴の餌食になった三人が、驚きに声を上げるが、瑠璃には気にする事ではなかった。
「うむ、悪くない」
適温の湯に、コクリと頷くと、瑠璃は湯の中へと身体を沈めていく。温泉の湯が縁を乗り越えて、バシャァ、と広がるのを見ながら、3人は湯船に入った彼を見る。
行儀よくお座りして湯に浸かり、縁に頭を預ける。その姿に、3人は込み上げる気持ちを抑えられなかった。
「ヤバイ。俺、ヤローに可愛いとか思ったことないのに、破壊力ヤバくね?」
「ブックマン後継者が語彙力を失っているである」
「落ち着かんかい、馬鹿者」
語彙力を著しく落としたラビを罵るブックマンとクロウリーは、平然とした顔で湯船に足を入れると、瑠璃の左右を固めた。
年長者2人も、彼の愛らしさには勝てなかったらしい。
「あっ!ずりー2人ともッ!俺の入る隙間ないじゃん」
「後ろあいてるぞ」
「うわー、殺気満々で言うなよー。虎に殴られる、ってか薙ぎ払われる?って普通に怖いさ」
「婦長の方が怖いと思うがな」
「同意である」
「相違ないな」
うんうん、と頷く男達。此処が彼等だけの安息の場でよかった。
もしその“婦長”に聞かれていたら......と思うと、血を見るだけでは済まなさそうだ。
「それには、俺も同意だけどさ。あー、もう!この際どこでもいいさー!混ぜろって!」
走って飛び込んで来ようとするラビを、鋭い尻尾の一撃が薙ぎ払う。躊躇のない、会心の一撃であったと、後に見ていた 2人は語る。
「いってて......!今日回数多くないさー!?」
「未熟者」
「学習するである」
喚くラビを無視して、大人組はまったりと温泉を楽しむ。
瑠璃も、久々の温泉に、のんびりとしていた。す、と入ってくるラビを、今度は目だけで追いかけた。尻尾は鳴りを潜めている。ホッとしたラビは、身体の力をそっと抜いた。
「......こうして見てると、虎助はデカくて、柄も綺麗でかっこいいさー。アムールトラかな?それともアモイトラ?」
のんびりとし、微睡んでいる瑠璃を見て、後方からラビが呟く。瑠璃は応えるつもりがないようで、反応したのはブックマンだけだった。
「アモイトラは絶滅したと言われているが、もしそうだとしたら貴重な存在だの」
「そうであるな」
「ふぅーん」
ほのぼのとした会話が、ぽつりぽつりと繰り広げられる。
見た目のごつさとは違い、静かでゆっくりとした時間を過ごす中、一番最初に音を上げたのは、体質上湯船に長く浸かる事の出来ない、クロウリーだった。
「私はもう上がるである。上せてしまうである」
「クロちゃんは案外温泉苦手だよなー?」
「苦手ではないである。血の巡りが良くなってボーとするのである」
「それを、のぼせるって言うんさ、って、うおわっ!」
湯船を後にするクロウリーに絡んでいれば、ばちゃんと派手な水しぶきがラビにかかった。
ブックマンはさりげなく避けていたらしく、被害は彼一人のみ。ぶるる、と頭を振りながら、口に入った湯にげほげほと咳込む。