【第23章〜プチ小噺〈男風呂in教団〉〜】
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そんな、のんびりとした雰囲気が漂う女風呂。
その隣に位置する男風呂では、獣人型になった虎が――――ハイテンション兎に絡まれていた。
「あっ!おっひさー!虎助〜!俺はラビ!これからよろしくさぁ!」
浴場の扉を開けた瞬間、高らかに響いた声に、耳の良い瑠璃は一瞬たじろいだ。浴場を見回し、その姿を見つけた瞬間、瑠璃の頭にはとある記憶が蘇る。
――当時も、そのテンションの高さには辟易した記憶がある。
「......それ、呼び名か?ガキ」
「うっわ!2回目ましてで、ガキ呼ばわりって酷くね!?」
「落ち着け、未熟者!」
「いだァッ!」
キャンキャンと騒ぐラビに、ブックマンの綺麗な飛び蹴りが炸裂する。
風呂場だとかそんな問題はどうでもいい。吹っ飛ぶラビを見送って、フンッ、とブックマンは鼻を鳴らした。
彼にとっては、行儀の悪い兎、あるいは落ち着きのない犬を躾けているのと、大差ないのだ。
そんな彼らの後ろから、ふと見覚えのある高身長が見える。白と黒の髪は、湯に濡れてへたっていた。
「瑠璃、大丈夫であるか?温泉は苦手だったか?毛が逆立っているぞ」
「ウザいガキが嫌いなだけだ」
「......ラビの事であるか?いいやつであるぞ?」
「煩いのは疲れる」
クロウリーの問いかけに顔を顰めて答えれば、クロウリーは苦笑いを浮かべた。確かに、落ち着きのある瑠璃と、いつも騒がしいラビでは、色々と難しいかもしれない。先ほどのやり取りを見る限り、ラビ自身はそうは思っていないようだが。
「クロウリー。悪いが手伝ってくれ。我の手は頭を洗うのに適していない」
「うむ、背中も流すである」
「ちょ、俺を置いて話進めないでくれない?てか、虎助デカ!虎のままでもデカイのに獣人型になったらクロちゃんよりでかいじゃん!」
「やかましい。狩られたいのか」
「ヒドイさぁーッ!!」
ワーワーと喚くラビを無視して、瑠璃はバスチェアに腰を下ろした。スポンジを器用に泡立て、体を洗う瑠璃と、「失礼するである」と声をかけながら、当たり前のようにシャンプーで頭を洗うクロウリー。
奇妙な光景に、浴場内の視線が集まるが、当事者である2人はどこ吹く風である。
「短い期間で、随分仲良くなったようじゃのクロウリー」
「皆がいてくれたからである」
「そうか。たまにはワシがお主の背を流そう」
そんな2人に声をかけたのは、ホームで常識人代表のようなブックマンだった。クロウリーの後ろによっこいしょ、と座る彼に、クロウリーは思わず慌ててしまう。
「わ、私は大丈夫である!」
「そう言わずに甘えとけってクロちゃん。なぁなぁ、虎助の耳ってどうなってんの? 触っていい?」
「「その呼び方はやめろ(てほしいである)」」
「えー」
近づくラビを、瑠璃の尻尾がいなす。
同時に2人に拒否をされたラビは、叩かれた手を摩りながら、唇を尖らせた。
「あーらら、嫌われちゃった?」
「獣にも選ぶ権利はあるだろう」
「全くである」
「絡むな。馬鹿ラビ」
「みんなつめてーさぁ」
むぅ、と頬を膨らませるラビに、寄生型の2人はそっぽを向いた。
そんな2人の言葉に、ラビは傷ついたような顔をしながらも、その隣に腰かけた。どうやら離れるのは寂しいので、大人しくすることにしたらしい。
「流すぞ、クロウリー。爪が当たる。離れろ」
暫くして、そう声をかける瑠璃に、クロウリーは離れた。肉球を持った手で、器用にシャワーや桶を使って体を流す瑠璃。
その姿に、ブックマンが感心したように声をかけた。
「器用じゃな」
「長く人と暮らしてきたからな。慣れだ。代われ、クロウリー。背中を流そう」
「頼むである」
ブックマンの時は断ったのにも関わらず、今度は素直に応じるクロウリーに、ラビは目を見開く。普通に背中を預けるクロウリーに、驚いたのだ。
(あの引っ込み思案なクロちゃんが......)
「ホント、二人は仲がいいさぁ」
「ガキとは違うからな」
「ガキって言わないで欲しいさー。そういう虎助は、人間にすると歳いくつさー?」
ラビの問いかけに、沈黙する3人。
ブックマンとクロウリーの視線はゆっくりと瑠璃へと向かい、その視線を受けた瑠璃が、ラビと2人を交互に見た。幾つ?だなんて。到底、人間と虎が融合したような適合者に聞くようなことではないだろう。
固まる瑠璃に、博識である2人が助け舟を出した。