【第21章〜逃げない決意〜】
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「そんなこと言わないでよぉ〜。あ、お風呂上がりに瑠璃くんのイノセンス、調べさせてね。ついでに色々サイズも計らせてもらいたいなーなんて」
「なひをひらへるきは?」
「あはは、何言ってんのか全然わかんないやー」
包帯を咥えながらしゃべる瑠璃。何を言っているのかほとんどわからないが、軽薄に笑うコムイには通じたらしい。ひらひらと飛び回ろうとしている彼に、瑠璃は既に話すのも面倒になって来ていた。
――とはいえ、放置したらしたで何をされるのか。そちらの方が恐ろしい。
「これから2人が、エクソシストとして活躍するのに必要な物を作るんだよ」
「エクソシストとして......?......ああ。あの目立つ紋章の黒服のことか。瑠璃が着れる服なんて作れるのか?」
「そこは、我ら化学班にお任せあれ! ほら、話してる内に着いたよ」
コムイの声に、椿と瑠璃が気配を感じ、上を見上げた。つい数時間前に見たヘブラスカが徐々に姿を現してくる。濃くなる彼女の存在に、一瞬身構えた瑠璃だが、彼女が害がない事を思い出し、込み上げる恐怖を止めた。しかし、威嚇に膨らむ尻尾は止められない。
ヘブラスカもそれに気づいたのか、出来るだけ彼に近寄らないようにしながら、コムイと向き合った。
「ヘブラスカ。さっきの今で申し訳ないけど、彼女の決意に、イノセン スは答えてくれるかな?」
『もう、決意したのか?』
「くどいな、てめーら。俺はもう、逃げないって決めたんだ。これまでの命と、これから背負う奴らの分まで、生き抜いてやるよ。――あのクソデブを、全身全霊で叩きのめしてやりたいしな」
「ははっ、それ、悪役みたいだね」
不敵に笑う椿の言葉に、愉快にコムイが声を上げる。今の椿の横顔は、己を高め挑戦する、高みを目指す者の顔だ。今までの不安定さが払拭されたその表情に、コムイはブックマンとの会話を思い出す。そして、安心と歓喜を覚えると共に、彼等へと目を向けた自分自身を褒め称えたくなった。
同じように椿の表情を見て、微笑む瑠璃。
(強くなったな......)
自分を犠牲にして、がむしゃらに突っ走るだけではない。心の安定が垣間見える事に、瑠璃は親心にも似た感情を持っていた。表面には見えない椿の成長が、自分の事のように嬉しく感じる。
そんな2人の心境も知らず、椿はヘブラスカと向き合う。透き通った深海のような瞳に、ヘブラスカは頷いた。