【第19章〜ヘブラスカの間にて〜】
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『シンクロ率、87.3%。この子はまだ伸び代がある。捕食者たる本能を忘れていないが、人よりもずっと優しい子だ。......大切にしろよコムイ』
ゆっくりと下ろされていく瑠璃の体。
地面にほど近くまで下ろされた瞬間、瑠璃は飛び出すように宙を舞った。
「椿、椿!」
恐怖から解放され、一目散に椿に向かってきた瑠璃が、頭を押しつけて落ち着こうとする。スリスリ、スリスリと頭をいろんな角度から椿の腹に擦りつける彼は、まるで母親に甘える子供のようだった。
その様子に苦笑いを零した椿が、瑠璃の頭を撫でようとして、――力の入らない手が、瑠璃の頭にパタリと落ちた。どうやら動く気配は、ない。
心配した瑠璃が椿を見上げる。彼女はクロウリーに抱えられながらも、うとうとと半ば寝た状態で立っていた。――おのずとその場にいた全員が、彼女の睡魔が限界である事を知る。
「......ごめん、瑠璃。すごく......眠い......。あったか......ごめ......食事の間、だけ、ねか、せ......――――」
かくり、と小さな音を立てて椿の頭が落ちてしまう。暫くして、すー......と聞こえた小さな声に、瑠璃が気持ちを切り替え身を低くした。
「乗れ、クロウリー」
「だが、」
「椿を支えておけ。その服で倒れられたら困る」
瑠璃の言葉に、クロウリーは反論しようとして――――やめた。
確かに、こんな短いスカートで横になるのは色々と危険が生じてしまうというもの。クロウリーは承知したと頷くが、瑠璃に跨りかけて――自身の体躯の大きさを、思い出した。
「......大丈夫であるか?」
「お前、細いから問題ない。それより、早く肉が食いたい」
クロウリーの問いかけに、どうでもいいとばかりに瑠璃が応える。
瑠璃の背に椿と一緒に乗り、後ろから支えるクロウリー。落ちないようにと定位置を探し、落ち着いたところで瑠璃は早々にコムイを見上げた。早くしろと、その瑠璃色の瞳が雄弁に語る。
そんな彼らを他所に、ヘブラスカを見上げるコムイは、へらりと笑みを浮かべていた。
「ヘブくん、今回もありがとうね」
『機械いじりも大概にしておけよ、コムイ。それと......』
「みぃ〜つぅ〜けぇ〜たぁ〜!!室長ォォォオオオオオオ―― ――!!」
「あ、見つかっちゃった!逃げなきゃ!それじゃあクロウリー、食事が終わったら2人を部屋に送ってあげてね!情報はゴーレムに送っておいたからぁああ〜〜!!」
「室長ォオオオオ......!!!!」
唐突に始まった科学班とコムイの鬼ごっこに、その場にいた全員が唖然とする。......いつもの事と言えば、いつもの事だが、やはり突然来ると吃驚する。
しかもちゃんとコムリンも持って行っているのだから、抜け目がないというか。そのコムリンで何をするのか、考えるのはやめておこうとクロウリーは目を背けた。