【第19章〜ヘブラスカの間にて〜】
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『よく来たな、選ばれし者よ』
人間と蛇を融合した、大きな精霊のような女性――ヘブラスカが、椿と瑠璃の前に現れる。
あまりにも常人離れした姿に、2人は一瞬臨戦態勢になるが、彼女が敵意を抱いていない事に気づき、敵意を緩めた。
その2人の背中に、コムイが小さく笑みを浮かべると、目の前の彼女に話しかけた。
「やぁ、ヘブラスカ。今日も頼むよ」
『あぁ』
「じゃぁ、まずは椿ちゃんからだね。包帯外すよ?」
「お、おぅ」
「私も手伝うである」
気軽なコムイの声に、ヘブラスカはコクリと頷く。
コムイとクロウリーに両腕の包帯を解いてもらった椿は害はないのだろうと理性でわかりつつも身を硬くしてしまう。
未だ六角形のヒビが痛々しく刻まれている両腕を見たクロウリーは、(病室で強く手を握った時によく壊れなかったものだ)と胸の内で漏らすと同時に、綺麗に治ればいいのだが、と軽く目を細めた。
白く透けている、いく筋もの手が、瑠璃の上でクロウリーにエスコートされてきた椿を持ち上げる。
触れられている感触は特にないのに、冷たい冷気のようなものを感じ、椿は動かない身体を竦めた。
「ひ、なんだ!コレ!」
「椿ッ!ぅがっ......!」
「瑠璃......ッ!」
椿を取られると思ったのか、瑠璃がべブラスカに飛び掛かろうとする。
しかし、どこからともなく降って来た大きな機械が、彼を抑えつけた。
あまりの衝撃に唸る瑠璃。その声に椿が必死に手を伸ばすが、手は宙を掠め、触れることは出来なかった。
ワーワーと騒ぐ2人を見つめながら、クロウリーがコムイを見つめる。
「コムイ、それはもしかして......」
「うん。“コムリンアームタ〜〜イプ”♪」
イエイ、と声が付きそうな程、上機嫌にVサインを作るコムイ。それを聞いた瑠璃が、唖然として彼を見つめる。その視線に気づかず、コムイは上機嫌に続ける。
「いやぁー、絶対ヘブくんに驚いて暴れるだろうなぁ〜と思って、こうやって背負えるタイプのコムリンを作っってみたんだ!かっこいいでしょー?」
パチン、とウィンクするコムイに、寄生型の2人が一瞬固まり――――直ぐに呆れたようにため息を吐いた。......何だか目が覚めてから、此処の人間に振り回されているような気がするのは、気のせいだろうか。――否。絶対気のせいではないと、瑠璃は確信していた。
「......クロウリー、こいつら味方だよな?」
「うむ。間違いないである」
「......アクマよりも厄介じゃないか、こいつら」
はあ、とため息を吐く瑠璃に、クロウリーが苦笑いを零す。
――彼も、最初に此処に来た時はそう思ったものだ。しかし、彼等は確かに仲間で、頼れる人達である。今、瑠璃を制止しているコムリン何たらも、外から見たら立派な兵器であるし、彼の発明品はとても高性能である。......使い方がアレなだけで。
ともかく、どれだけアクマより質が悪くとも、気が荒くとも、個性が爆発していようとも。彼等は間違いなく、クロウリー達の“仲間”なのだ。
そして、―― 瑠璃や椿の、仲間でもある。