【第18章〜治療を経て〜】
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「目覚めたようじゃな。お二方」
「......えっと、」
「ブックマンだ。コムイ、治療よりもヘブラスカの所に行った方が良さそうじゃぞ。今下手に治療したら娘の体が持たんじゃろう」
ジャキン、ジャキン、と金属音を響かせ、何故かこちらに歩み寄ってくる不審者――基、コムイと呼ばれた男が、足をとめる。
ブックマンと名乗った初老の言葉を聞いた瞬間、にこやかな顔が一気に残念がるものへと切り替わった。......なんなんだ。このわかり易過ぎる不審者は。
「あぁ、そう?ごめんねぇ。つい職業病で。クロウリー、体調はどう?」
「ドリルを光らせながら聞かないで欲しいである......。特に変わったことはな、」
ぐぎゅるるる〜
不審者にクロウリーが答えている、その真っ最中。
派手な腹の虫の音が、部屋の中に響いた。一瞬にして静まり返る、室内。
「......」
「あ、あの、コレはっ」
「......肉」
「はははっ、寄生型には、点滴の栄養摂取だけじゃ足りなかったみたいだね!」
あはは、と笑うコムイに、クロウリーが赤くなっていく。
(案外初心なところがあるんだな)
大人びていたかと思えば、意外とそうではないらしい。そりゃあ、瑠璃と気も合うか、と考えながら、瑠璃の毛並みを撫でれば、グゥウウウ、と音がした。......そんなにお腹空いていたのか。
「まあでも、二人には悪いけど、少しだけヘブラスカの所に付き合ってくれないかな? 椿さんと瑠璃くんのイノセンスを調べてもらってから、ご飯にしよう」
「ヘラブスカ?」
「“ヘ・ブ・ラ・ス・カ”だよ☆」
男の言葉を復唱して首を傾げれば、違うと首を振られた。......クロウリーの時もそうだったが、名前を覚えるのは本当に苦手だ。
目の前で何処か楽しそうに笑みを浮かべる男に、居心地が悪くなり、フイと視線を逸らす。何を考えているのかわからないな、この男......。
「気をつけるである。椿、瑠璃。ヘブラスカは怖いである」
真面目な顔をしてそう忠告してくるクロウリーの言葉に、俺はもう何も言えなくなってしまった。
(頼れる仲間と言っていたけれど......)
「.....なぁ、瑠璃。ここってさ、エクソシストが怯える怖い奴ら多くね?」
「何か、間違った気がする......」
「だよな......」
(――エクソシストって......恐ろしいな......)
「ほら、みんなグズグズせずに行きなさい!」
パンパン、と両手を叩く音が響き、俺達は全員婦長の鬼迫に押され、医務室を後にした。
――結局、食事が後回しになった事で、ヘブラスカの元へと辿り着くまで、寄生型の者達の地鳴りが止むことは無かった。