【第18章〜治療を経て〜】
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――それにしても、助けてくれた女性には感謝しなければ。
しょんぼりと肩を落とし、何度も謝罪をする瑠璃の頭を撫でる。その傍らで視線を巡らせれば、少し先に鬼の形相で話すナースと、その前で正座をするクロウリーとミランダを見つけた。
すると、看護師達が俺の体に着いた管や呼吸器などを外していく。......どうやらここは病院のような場所らしい。彼らがずっと言っていた、“ホ ーム”とか言うところだろうか。
看護師達にいいようにされながら、耳を澄ませる。――別に、あの大人びた2人が怒られているのが何だか面白そう、なんて事ではない。断じて。
「アンタ達」
「は、ハイ......」
「着替えするから、メンズは奥ッ!ミランダはコムイ室長とブックマンを連れて来て!診察が終わったら全員食堂に集合ッ!あんた達は自分の胃の管理もできないのかしら?そこの虎!聞いてるの?!」
「ひっ!?」
「寄生型は好きなものばかりじゃなく、バランスよく食べること!治療大変だったんだから!――わかったらとっとと行動する!!」
「「「は、ハイッ!!!」」」
ここの主であろう女性の怒りは、どうやら2人だけでは収まらなかったらしい。
完全に飛び火した瑠璃――ある意味主犯格とも言える彼も、慣れない返事をすると、クロウリーと一緒に部屋の奥へと飛び上がってしまった。
ミランダは、慌てた様子でパタパタと部屋を出て行く。
(なんだか面白いものを見た気分だな)
つい、ふふっ、と笑みが零れる。......賑やかだなぁ、本当に。
あらかた処置を受けた俺は、再び瑠璃達と面会することができた。
恐る恐る来た彼らの顔は、どこか緊張で引き攣っている。きっと、さっきの怒号が堪えているのだろう。
「......ここの人間、怖い」
「それが彼女の仕事であるからな。......鬼に逆らわない方がいいである」
「誰が、鬼ですって?」
「瑠璃ッ、食堂に行くである!」
「ああ。椿っ、また来る!」
面会した瞬間、再び召喚された鬼に、男共はそそくさと部屋を出ていってしまった。
向かうのは、恐らく食堂だろう。
(いつの間にあんなに仲良くなって......)
微笑ましいと思う反面、......少しばかり、寂しくも感じる。
2人が出て行った扉を見つめていれば、視線を遮るように主が立ち塞がる。看護師達から“婦長”と呼ばれていたので、恐らく主というのは間違いないのだろう。
「さて、貴女は大人しくしようね」
「.........凄いな、アンタ。瑠璃が尻尾丸めてるのなんて初めて見た」
「あぁ。そういえばあの子の服、まだ出来てないのよねぇ。科学班は何やってるのかしら。あ、貴女の服はボロボロだったから捨てちゃったわよ。コレ、代わりの服ね」
ハイ、と問答無用で渡される服。
それを広げて――――俺は眉を顰めた。
「黒いワイシャツと......何だ、このスカート。短くね?」
「綺麗な脚は見せつけた方が得するわ。女の子なんだから、ね?」
パチン、と顔に似合わずウィンクする婦長に、俺は面食らった後――――思わず笑ってしまった。
女の子なんだから、なんて。
「ははっ、そんなの初めて言われたよ」
「いいじゃない、別に。それにあなた、顔も綺麗なんだから、着飾ってなんぼよ」
「それも、初めて言われたな」
ふふ、と似合わない言葉に、思わず笑ってしまう。
とりあえず着替えようと、包帯が巻かれた指先で今の病院服に手をかけるが、上手くボタンが外れない。それどころか、左手の感覚は薄く、右の指先も震えてしまう。
......先程、彼等の力を感じとったのが、奇跡だと思えるほど。
すると、苦戦していたのがバレていたのか、後ろから婦長が着替えを手伝ってくれる。
病服を脱ぎ、身体をあらかた拭いてもらう。
「やっぱり綺麗な肌してるわねぇ。貴女、幾つなの?」
「さぁ......、いくつだったかな。......乙女に年齢聞いちゃダメっしょ。素敵なおねぇさん?」
「あら、褒め上手ね」
含み笑いをする婦長に、笑みを返す。......年齢を覚えていないのは本当の事だったが、それをわざわざ言う必要も無いだろう。
婦長に手伝ってもらいながら着替えれば、服は驚くほどピッタリだった。
いつの間に計られたのか。それとも、見ただけでわかるようなプロがいるのか。......恥ずかしいので後者だと思っておこう。