【第18章〜治療を経て〜】
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......香りが、する。
甘い、甘い、――花の香り。
『いつまで寝てんのよ。アレイスター。全く、いつまで経っても中途半端な男ね。決めたんじゃないの?』
――エリアーデ......?エリアーデなのか?
『もう一人じゃないんだから。シャキッとしなさいよ』
――......そうだ。ノアと戦った時に、決めたんだ。
仲間が......そうだ。仲間が待っている......!エリアーデ、君も......――
『私のことはいいから、さっさと行きなさいよ』
――待って......待ってくれ!エリアーデ......!!
『女々しい男はフられちゃうわよ?』
――エリアーデ......待ってくれ!君も一緒に......
「エリアーデッ!!」
「きゃっ!?」
ガバッと音が聞こえ、視界が真っ白に染まっていく。
ドクドクと早鐘を打つ音が、やけにうるさかった。
(我は......私は、一体何を......っ。)
「クロウリー?大丈夫?」
掛けられた声に、勢いよく振り向く。名を呼ぶ人物に、エリアーデの姿が一瞬重なり――――面影すらなく、消えていった。
「婦、長......?、ココ、は......?」
「教団の医務室よ。あなた、一週間も寝てたんだから」
そう告げる婦長は、どこか安堵したような顔をしており、彼女の言葉に自分がかなり長い間寝てしまっていたのに気がついた。それと同時に、自分が先程夢を見ていたのだと、気がついた。
(......懐かしい、夢であったな)
――......エリアーデ。
彼女に似た椿と、ずっと一緒にいたからだろうか。もう居ない恋人の姿を思い出し、ゆっくりと目を伏せた。
そうして感じる隣の気配に、私は振り返る。
「ミランダ......」
「クロウリーさん。良かった......。目が覚めたのね」
今にも泣きそうな顔でそう告げるミランダ。彼女の手に握られた、花に、私は夢の中で感じた花の香りがこれである事を理解した。
「......花を、飾ってくれていたであるか?」
「え、ええ。クロウリーはお城に住んでたって聞いたから......。勝手なイメージで薔薇を飾ってみたのだけど......嫌いだったかしら?」
「薔薇か......いや。とても、好きな花である」
赤い、真っ赤な色を付けて堂々と咲き誇る花に、私は心が落ち着いていくのを感じる。
花瓶から一輪とって、顔に寄せれば、甘い香りがゆったりと鼻腔をくすぐった。
(......エリアーデ)
私はまた、お前に助けられたようである。忘れるなんて、やはり出来るわけがないのであろうな......。
すぅ、と大きく香りを吸い込み、薔薇を花瓶へと戻す。そうして落ち着いた心で、私は周囲を見回した。