【第16章〜観測者〜】
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「...今は、エクソシストの数が足りません。力があるのなら............なってもらうしかないのです」
「このままエクソシストにしても、生き残れる確率は低いように感じるが?」
「そうかも、しれません。ですが......彼らの傷を癒せるのは、最前線で戦うエクソシストだけです」
コムイの言葉に、ブックマンは二の句を告げることは無かった。
――彼は分かっていた。コムイが彼らを迎えに行かせた理由も、あの娘たちを仲間に引き入れようとしている理由も。そして、それをせねばいけない......世界の情勢も。
分かりすぎるほど、理解していた。
(伊達に歳は食ってないからの)
「辛い決断じゃな。心中お察しする」
自分からしたらまだまだ若造であるコムイにそう告げたブックマンは、踵を返した。
余計な事を言わない彼に、コムイは内心で感謝をする。......変に色々と言われるのは、あまり好きではないのだ。だから――――。
「おーい、パンダじじぃ!」
「その呼び方をするでない!馬鹿者!」
ブックマンを見つけて絡んできたラビに、かなり気合いの入った飛び蹴りをかます彼の姿に、コムイは敬意を評した。
そして同時に、仲のいい2人に軽快な笑みを落とす。
「いってー!出会い頭に何すんだよ!パンダじじぃ!!」
「パンダと言うなと言うておろう!!」
「はははは。元気だねー、ラビ」
「あ、コムイ室長。さっき科学班の奴らが血眼になって探してたさぁ」
「やばい、隠れないと!ラビ、教えてくれてありがとうねー」
ラビの言葉を聞くや否や、風よりも早く走り去ったコムイを見送り、ブックマンはため息がちにラビに問うた。
「で、何をしにきた。ラビ」
用もなく絡んでくるほど、馬鹿なヤツではない。......そういう時も稀にあるが、恐らく今日は違うだろう。そうだと思いたい。
「いやぁ......新しいエクソシストの顔見ておこうと思ったんだけどさ、一足遅かったさ」
ははっ、と笑うラビ。
その顔を見て、ブックマンはくだらないと鼻を鳴らした。
「1度会っておるだろが」
「んー、そうなんだけどさ。俺ら行った時は、虎助の方しか会えてなかったじゃん? 女の子の声しか聞いてないしさぁー」
「また妙なあだ名をつけおって」
ラビの言い分に、ブックマンは適当に返事を返しながら、歩き出す。仲間が増えるからと言って、回復もしていないのに会いに来る気が知れない。
(だがまあ、......こやつらしいな)
人懐っこいラビの性格は、嫌いではないが、時折鬱陶しくも感じる。特に、あの虎と娘っ子にはキツイかもしれん。
「まぁ、今暫し待て。あの子らには休息が必要だ。そもそも......エクソシストになるかどうかも、まだ決まっておらん」
「え、そうなの?じゃあ、クロちゃん達はどうやってここに連れてきたさ?」
「ワシに聞くな」
えぇー、と不満げに呟くラビに、ブックマンは反応すること無く歩き出した。
次第に、騒ぎ立てるのに飽きたのか、彼の問いかけは収まり、つまらなさそうに唇を尖らせるラビ。その顔を見て、ブックマンはやっと心中で呟いた。
(......そんなもの、ワシが聞きたい)
はあ、と着いた溜め息は、今度は誰にも拾われることはなかった。