【第15章〜届け物〜ミランダ視点】
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はあ、とため息を吐くリーバー班長には申し訳ないが、着いてきてくれて良かった。
あの状況では、もしかしたら書類を渡すまでにもっと時間が掛かっていたかもしれない。......流石に夜まで待つ訳にはいかないので、本当によかった。
科学班の部屋が見えてきた所で、私は足を止める。
「あの、リーバー班長。先程は本当にありがとうございました。私は部屋に戻ります」
「あぁ、気にするな。ミランダもお疲れ様。教団内で迷うなよー」
「はい!新しい本部にも慣れてきたので、大丈夫です」
ありがとうございました、と頭を下げれば、いやいや、とリーバー班長が応える。
ホームの人は、本当にいい人ばかりだ。ここに来てよかった......ちょっと変な人も......いらっしゃるけれど。
では、と声をかけて、彼に背を向ける。自室までの距離は、そう遠くはない。歩き出した所で、不意にリーバー班長に呼び止められた。
不思議に思って振り返れば、「あー、」と言いにくそうにした彼が、ガリガリと後頭部を掻いた。
「あんま、無理すんなよ」
――その言葉に溢れたのは、とめどない程の、感謝。
「ええ。ありがとうございます」
ぺこりと先程よりも深くお辞儀し、私は今度こそ自室へと足を向けた。
じんわりと暖かくなる心に、私は泣きそうになるのを必死に堪える。
――『任せろ。そのために俺達が居るんだろ』
――『あんま、無理すんなよ』
(そんな言葉......まさか私に掛けてくれる人がいるだなんて......)
アレン君とリナリーちゃんに、初めてお礼を言われた時と同じだ。温かさが心を包んで、泣きたくなってしまう。
――気にかけてくれる人がいる。それだけで、こんなにも活力が湧いてくるものなのか。
(人間って、不思議ね......)
――もし、この想いを椿ちゃんも感じる事が出来たなら。
――もし、瑠璃さんの気持ちを椿ちゃんに届ける事が出来たなら。
それはきっと、私が知っているよりも大きな幸福になるに違いない。
(だって、あんなにお互いを大切にしているのだもの)
そしてそれは、――決して不可能ではないのだと、私は身をもって知っている。
アレン君たちが、リナリーちゃんが。こんな私にすら、届けてくれたのだから。
(あの2人はきっと、強くなれるわ)
だからきっと............いいえ、絶対。
目覚めて欲しい。
(......待ってるから)