【第15章〜届け物〜ミランダ視点】
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「リーバー班長、お疲れ様です」
「お。ミランダ、起きたのか。体は大丈夫か?」
「えぇ。皆さんがいつも守ってくださるので......あの、コムイ室長のお部屋に行きたいのだけれど、どこか知りませんか?」
「ゲっ...!」
リーバー班長のお言葉に、心が温かくなるのを感じながら、問いかければ、リーバー班長の顔が一気に世紀末へと化した。
今まで朗らかに笑みを浮かべていたというのに、なんと言う急転直下。
あまりにも嫌そうな顔をするので、思わず身を竦めてしまう。
(......私、何か変なこと言ったかしら......?)
「マジか......えっ、マジで言ってんの?」
「えーと、私、何かしてしまいましたか......?」
「いいや、ミランダは何にもしてないよ。でも、あの人の部屋は教団の誰も近づこうとしないっていうか、......近づきたくないっていうか。なんかあったの?」
苦虫を噛み潰したような顔をするリーバー班長に、何となくわかるような、分からないような気持ちを抱きながら、私は苦笑いをこぼした。そして手に持った書類を彼に差し出す。
「この書類をコムイ室長にって、婦長さんから預かったのです」
「ちょい貸して?......コレ、血液データじゃん。クロウリーと、こっちはあの虎の子かな?」
「瑠璃さんです」
「瑠璃?......あー、そうか。悪い、俺ら今新しいエクソシストの名前、全部確認出来てないんだわ。悪りぃけど、教えてくれる?」
ガリガリと後頭部を掻きながら、申し訳なさそうに告げるリーバー班長に、私は頷いた。
――確かに、化学班はいつも忙しそうにしている。それこそ、リーバー班長はその筆頭だ。
そんな忙しい人の助けになるなら、是非なりたいと思うのが普通なわけで。
「虎の姿をした方が瑠璃さんと言って、女性の方が椿ちゃんですよ」
「お、おぅ。えーっと、寄生型の子が瑠璃?で、装備型の子椿......でいいのかな?」
「はい!」
リーバー班長の言葉に、思わず笑みが溢れてしまう。
――『名は体をあらわす』と言われるように、名前というのは大切なものだ。
一人一人の存在を区別する意味もあるが、名前を覚えられる、というのはその人に存在を認められるのと同意義だ。
それが大切な仲間となれば――喜びは更に大きなものになる。
(新しい仲間が、自分の仲間に認められているようで......やっぱり嬉しいわ)
......だからこそ、この人達には彼らを助けてもらわなくてはいけない。
助けてもらわなくては......この先の夢だって、叶えられなくなってしまう。
「あ、あの......」
「ん?」
「......クロウリーさんもあの子達も、みんな......助かりますよね......?」
私の問いかけに、彼は驚いたように目を見開く。
そして――――カラッと晴れた空のような笑みを浮かべた。
「任せとけ。その為に俺らが居るんだろ?」
何の躊躇いもなくそう口にするリーバー班長に、今度はこちらが目を見開く番だった。
――なんて、頼もしい。
「さてと。飯も食ったし、一緒に室長の部屋いこーぜ。あの人、昨日から部屋に篭りっきりだから応答するかわかんねぇーけど」
「ぁ、ありがとうございます......!」
食器を持ち、返却口へと向かうリーバー班長。その後ろで、私は数刻前よりも心が落ち着いていることに気がついた。
......婦長にも、大丈夫だと言われてはいたが、やはり、彼の言葉には力があるらしい。
(......信じましょう)
ちゃんと、心から。不安に思うより、きっとそっちの方がいい。そう決意した私は、歩き出したリーバー班長の背を追った。