【第14章〜檻の中にて〜】
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婦長の案内で、4人は病室へと移動する。全員がベットに横になった時点で、ミランダは全員の顔を見ると、――――泣きながら発動を解いた。一瞬にして、吸われていた時間が戻る。
噛み殺した悲鳴とガタガタと揺れる体が、病室のベッドを騒ぎ立てた。
ペンタクルが現れては消え、再び現れ、苦しみが声となって室内を響き渡っていく。聞くに堪えない、見るに堪えないものの数々に、医療班がパタパタと治療を始める中、ミランダが泣き崩れた。
「みんな、ごめんなさいっ......ごめんなさい......っ!」
「......ミランダ、大丈夫だよ。みんな生きてる。適合者を連れて来てくれてありがとう。ココには医療に精通したアジア支部出身者も多い。彼らに治療を任せて、君も休んだほうがいい」
コムイの優しい声と背をさする温かい手に、ミランダは頷き、病室を後にした。......流石に他の者の治療の苦痛の声を聞きながら休むなんて事、繊細な心の持ち主である彼女には出来やしなかった。
「婦長、後は頼みましたよ」
「健康体は早く仕事に戻ってください。私達の仕事の邪魔です」
「ハイハーイ、お邪魔しましたぁ」
おちゃらけて部屋を出たコムイは、自室に戻っていくミランダの背中を見送り、踵を返した。先ほどまで明るい表情をコロコロと変えていた彼の顔は、部屋を出た途端別人のものとなっている。
いつもよりも足早に歩くコムイとすれ違ったリーバーが、尋ねる。
「室長、クロウリー達の容態は?」
「リーバー班長。僕は少し部屋に篭るから、後の仕事は頼んだよ!」
「は?ちょ、仕事押し付ける気っすか!」
「僕はやらなきゃいけないことがあるからね。頼んだよー!あ。それと、虎用のコート作るのに、現地の人間の意見もあった方がいいと思うんだよねぇ。バクちゃんとウォンに意見聞いといてもらえる?じゃ、よろ しくー!」
「ちょっ、室長!って、逃げ足早っ......」
声をかけてしまったリーバーが可哀そうに思えるほど、全ての仕事を押し付けたコムイは、早々にその場を去ってしまった。相変わらず逃げ足だけは早い上司の姿に、リーバーは最早諦めたように後頭部をかいた。
......こういう時は諦めが肝心だと、彼は長年の経験で理解している。
「あー、どうしよっかなぁ。決裁権ある室長の仕事なんて、俺がやれるわけないのに。全く......なに考えてるんだあの人は」
呆れに呆れを重ねたリーバーは、いつもつけてるヘッドホンをいじって通信班に業務連絡をすると、病室前を後にする。
ついでに「コムイ室長を見た者は現在地を報告してくれ」と声を掛け、用事とやらが終わった室長をいかに逃がさないようにしようかと思考を巡らせることにした。