【第13章〜解放〜】
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「申し訳ございません、エクソシスト様!虎用の檻の手配に時間がかかってしまって」
「これは......」
「......瑠璃さんをここに入れるの?」
「ご理解ください。虎は一般的には猛獣と言われる生き物なのです」
馬車から飛び出してきたファインダーに安堵したのも、束の間。馬車の後ろに繋がれた頑丈な檻に、ミランダとクロウリーは抵抗を覚えた。
こんな檻に、友人を入れる訳にはいかない。しかも仲間になるかもしれない友人を。そんな扱いを、彼等には出来なかった。
――戸惑いの糸を切ったのは、意外にも瑠璃の方だった。
「構わない。入れてくれ」
「しゃ、しゃべった!?」
「いいから早く」
驚くファインダーに、瑠璃が急かすように声をかける。ひぃぃい、と情けない悲鳴を上げるファインダーは、震える手で檻を早々に開けると、噛みつかれないようにと距離を取った。......瑠璃の声が少しだけ拗ねているのは、気のせいか、否か。
ミランダを背から下ろした瑠璃は、椿を一瞥するとゆっくりと檻の中へと入っていく。まさか自分から入るとは思わなかったのだろう。ファインダーは恐る恐るその様子を見ていた。
一方、もう一人が馬車の扉を開けて頭を垂れる。それを見たクロウリーは一つ考えると、うむ、と頷いた。
「私も外にいよう。ミランダ、椿を頼めるか」
「え、ええ。それは全然いいのだけれど、」
「......椿......」
「......君は馬車の方に乗ってくれ。未だリカバリーを発動しているのだろう?体力を少しでも温存したほうがいい。私は後ろに乗る。念のため、二人は一緒にいた方がいいだろう」
「で、でもっ、」
「私の事は気にするな。......本部との通信を頼む」
檻の中から不安げな瑠璃の声に、ミランダへと矢継ぎ早に声を掛けたクロウリーは、椿を抱えると、瑠璃の入った檻へと身体を滑り込ませた。細身の彼と小さな体躯の彼女でなければ、出来ない所業だ。案の定、檻を閉めたファインダーが驚いている。
瑠璃の傍に椿を下ろし、自身も腰を下ろす。檻の外からファインダーが焦ったように声をかけた。
「く、クロウリー殿っ、そこにいては......」
「構わない。出してくれ」
「ファインダーさん。時間があまりないんです。日が昇る前にゲートを潜りましょう」
「......っ、わかりました、出します」
クロウリーとミランダ、両名の言葉に折れたファインダーが、操縦席へと戻り、手綱を引いて馬車を発進させた。
方向を180度変えて、昇り始めた日と、ランプの明かりを頼りに、ゲートのある町へと馬車が駆ける。
――町の様子は、一日前とは全くの別物だったと、この時同行したファインダーは語った。