死んだ町に居座る適合者
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騒々しい会場を離れて、一人そわそわして廊下を歩くクロウリー。
胸には頬をすり寄らせている椿がいる。
(さっきのはなんだったであるか?椿が私のことを、す、すすす、好き?であるか?何故である?)
懐かれてる温もりと心のモヤが具現化し、疑問符が彼の周りを舞う。
「んー、くろぅりぃ?」
「!気づいたであるか?気分は大丈夫か?」
「…あったかい」
目を細め猫のようにゴロゴロと身を寄せる椿。
「さっきのはなんであるか?」
「んー、好きって、いっらこと?そのまんまらよぉ」
「…まだ酒が抜けてないであるな。シラフの時に聞くである」
「いぇないよ、こんなこと、酔ってないと」
擦り寄るのをやめてどこか切ない声の椿に足を止めた。
何故止まったのか自分でも分からない。
歩かなければと体重を移動しようとして、冷たい手に頬を撫でられる。
「椿。冷えてるのではないか?」
「大丈夫。少しだけじっとしてて?」
「何を?っ!」
不安とドキドキがない混ぜになった長いようで短い刻。
椿の顔がクロウリーに近づく。
心臓の鼓動が早鐘のように煩い。
その心音が自分だけではないと気づき、目を閉じる。
(…っ、……………?)
「.........ありがとう」
何もされないと思ったら、温かな吐息が耳に触れ、途端に腕の中の椿が重くなる。
「………寝た、であるか?」
液体のようにくてんとしてる椿を抱え直して再び歩き出す。
(今のはなんであるか?…この胸の高鳴りは…もう、感じることはないと思っていたのに…私が愛しているのは、エリアーデ。エリアーデだけである。これは、その、えと、告白?されただけで、へ、返事はしてなくて…っ、へ、返事をしないのは失礼であるか?)
自分の心に言い聞かせるが、気恥ずかしさが拭えない。
『いきなさい、私は』
エリアーデの声が聞こえた気がした。
止まりそうになる足に力を入れて歩みを早めた。
「…エリアーデ。私は、どこへ行くと言うのだ?」
小さな独り言を聞くものはいない。
クロウリーの足音だけが教団内廊下に響いていく。