死んだ町に居座る適合者
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「疲れたな」
「あぁ」
「瑠璃、部屋こっちで合ってる?」
「間違いない。匂いを覚えてる」
「さすがだねぇ」
温泉後だと言うのに酷くやつれた顔をして二人は教団の廊下を歩く。
互いにそれ以上の言葉はない。
「「......これからやっていけるのか」」
二人同時にハモってため息をついた。
「今更だけど。間違えたかな?」
「それを考えたら、椿はこの場にいなかった」
「それはそうだけど…キャラ濃くね?ココの奴ら」
「否定はしない」
「けど、退屈しなさそうね。今までとは180度違いすぎて戸惑ってるけど」
「椿止まれ。あの部屋だけ明るい」
「……色々あり過ぎて、ヤな予感しかしないが?」
「……行くしかないと思う。クロウリーもミランダも居ない」
「腹を括るか。鬼が出るか蛇が出るか」
「どちらもだろうな」
部屋の明かりが届かない壁際まで寄って、椿は弓を爪弾き、瑠璃は獣人型になる。
二人で深呼吸して、警戒心全開で部屋に突撃すれば、大量のクラッカーが出迎える。
状況を飲み込めない椿と音に驚いて硬直する瑠璃。
重厚な教団には似つかわしくないほど、派手に飾り立てられた部屋。
天井から両脇の壁にかけて飾られた巨大な垂れ幕には【Welcome Ruri&Tsubaki】の文字。
「「「お帰りなさい、瑠璃、椿!ようこそホームへ!!」」」
「………なんだ、コレは?」
全てのクラッカーの紙吹雪が全部床に落ちるまで、たっぷり間を開けて椿が言葉を吐き出した。
「歓迎会である。私がきた時もこうして祝ってくれたのだ」
「驚かせちゃってごめんなさいね?私もやってもらった時はすごく驚いたわ」
「虎助固まってない?」
「虎は音に敏感じゃからの」
「……は、はは、お前ら。おかしい奴ら!ほら、瑠璃行こう?」
「つ、ばき?耳が痛い」
攻撃態勢を解いて、瑠璃の腕を引く椿。
「驚かせちゃってごめんよ?改めまして、入団おめでとう!新しくエクソシストになった二人に乾杯!よく決意してくれたね」
乾杯の音頭を取って、コムイが二人に微笑む。
「私達からは、コレ。急だったから趣味と合わないかもしれないけど」
「虎助には、その手で持てるようのこのカップさ!」
トロフィー並みに大きい椿の花が描かれた特大のコップをラビが瑠璃に渡す。
椿の手元には、白虎の書かれた愛らしいマグカップ。
「二人とも年齢わかんなかったからさ、お風呂でさりげなく聞き出すの。大変だっ たんさ」
「そんなところから準備していたのか?」
コップを受け取って、パチクリと蒼い目を大きくして首を傾げる瑠璃にジェリーが近づいてくる。
「やっぱ、近くで見るとイケメンねん❣️」
「ひっ、寄るな!」
タタっと、大きな体で椿の後ろに隠れようとする瑠璃に皆笑う。
「ジェリー、からかっちゃダメさ?」
「あら、からかってないわよん?いつでも食堂に顔出してねん?瑠璃ちゃん❣ 」
「瑠璃、もう諦めよ。酒でも飲んで忘れようぜ?」
カラカラと笑う椿の顔は赤い。
「椿、酔ったであるか?まだ半分も飲んでないである」
「酒に酔ったんじゃないって。ココがあったか過ぎて…」
心配してコップを覗き込んだクロウリーを見上げてそのままふらっと後ろに倒れかかる椿。
「椿ちゃん、大丈夫?お酒弱かった?」
こぼしそうになってるコップをミランダが受け止めた。
「んー、らいりょーぶ、らよ?」
クロウリーに支えられてる椿は舌が回っておらず大丈夫なわけがない。
猫背気味なクロウリーが椿の肩を軽く支えてやる。
「クロうリー、好きら人、いる?」
「私であるか?」
「椿、酒は舐めるだけにしろと日頃から言ってただろう?部屋に戻るぞ?」
「おいおい、主役がもう退場か?」
「もっと楽しもうぜ?」
「ちょ、引っ張るな!離せ、貴様ら!」
団員達が過保護な瑠璃を奥へと連れ去っていく。
「いまぁ、好きら人、いないなら、立候補ひてもいい?」
「な、何を言っているである?椿?酒がダメなのであるな?」
寄りかかられながら慌てるクロウリーの顔に、椿は手を伸ばした。
「…好きらよ、くろゥりー」
膝から崩れる椿を咄嗟に抱きとめたクロウリーの顔も赤い。
「み、ミランダ、コップを頼むである。わ、私はつつつ、椿を部屋まで、おお、送っ てくるである!」
「あららー、クロちゃん、モテ期さ?」
「ラビ、からかわないでほしいである!」
「耳まで赤くしてどうしたんさ?」
「な、なな、なんでもないである!!」
泥酔状態の椿を抱き上げ会場を後にするクロウリー。
「…今の告白、よね?」
「まぁ、クロウリーも大人なんだし、大丈夫でしょ?でも、ズルいよ!一人だけモテるなんて!」
「コラ、離せ!椿はどこだ!酒を注ぐな!」
「俺の分も飲むさぁ虎助!」
騒ぎつつも注がれた酒は飲み干す瑠璃に、ラビも混ざって団員達は気持ちよく酒を注ぐ。
「酒豪の虎に、ゲコの相方か」
「楽しんでくれてるみたいでよかったわ」
部屋の隅でブックマンは茶を啜り、ミランダもその横で微笑んでいた。