死んだ町に居座る適合者
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医務室には、寄生型2名の空腹の音が地鳴りのように鳴り響いていた。
「ホント、寄生型の人が増えると音もすごいわね。その中でも目覚めないこの子もこの子だけど」
「失礼するよ、婦長。少しいいかな?」
「コムイ室長?少しお待ちくださいな」
未だ共有部屋にいた椿のベットのカーテンを開け、婦長はコムイを迎える。
「ブックマンもいたのですか?いくら室長とはいえ、レディのいる部屋ですよ」
「邪魔しておる」
「ごめんごめん、ノックはしたんだけどさ。はいコレ。昨日ブックマンが帰ってき て協力してもらって今し方やっと完成したんだ。クロウリーと瑠璃くんに注射してあげて?」
「わかりました」
「私はそこの娘を診させてもらうぞ。生きておるのが不思議なくらい弱っておるようじゃな」
「ブックマン、お願いします」
婦長がコムイから2本の名前が書かれた注射を受けとり、ブックマンを残してカーテンを閉めて席を外す。
「婦長、二人の容態は?」
「寄生型は食事摂取できないと回復が遅いですね。アクマの毒は浄化が不安定です。瑠璃さんは食事の栄養バランスが人と違うせいか、点滴の種類も多くて」 「ふむ、動物も適合者になるのは、クラウド元帥のラウ・シーミン以来だからね。椿さんも回復したらヘブラスカにみてもらうべきだね」
「えぇ、でも気がかりなのはクロウリーです。なぜ今回はこんなにも回復が遅いの でしょう?ノアとの戦闘ほど深い傷を負っていないはずですが」
「あぁ、コムビタンDの影響が残ってたと思うんだよねぇ。さっきの注射に改良した解毒剤も入ってるから打てば治るはず」
「コムイ、終わったぞ」
コムイ室長の反省のない発言を診察の終わったブックマンが遮った。
「ブックマンありがとうございます。椿さんは?」
「うむ、命に問題はないが栄養不足じゃな。人のいない町では、まともな食料も無かったのだろう。私の針である程度臓器機能は回復に向かったはずだ。あとは本人の気力次第じゃな。夢を見ておるようじゃが、内容まではワシにも分からん」
「そうですか。瑠璃くんも診てもらえますか?」
「ワシは獣医ではないがの」
文句を言いつつ、虎の姿でベットに横たわる瑠璃の体を触り、触診していくブックマン。
「ふむ、こちらもアクマの毒以外の外傷は見られぬな。イノセンスの気が全身を巡っておるな。人型も取れるのであれば、この者も寄生獣として扱うことになろうか」
「彼に会う団服も考えないとですね。さぁ、化学班としての腕がなるなぁ!」
「まずは、コムイの作った注射を試してみてじゃの。婦長よ、また日を開けて邪魔させてもらうぞ」
「えぇ、お疲れ様ですブックマン。コムイ室長、化学班の腕を奮いたいのはわかりますが、リーバー班長が探してたので、早く出て行ってください」
「お邪魔しましたぁ!」
「失礼する」
医務室の扉を閉じて、ブックマンが口を開いた。
「コムイ。あの娘、危ういぞ。深い睡眠を取れておらんようじゃ。ワシが会った時にも感じたが、自分自身で生きようと意思が弱い。このままエクソシストにしても、生き残れる確率は低いように感じるが?」
「…今は、エクソシストの数が足りません。なってもらうしかないのです。ミランダからの報告も聞きましたが、彼らの傷を癒せるのは、最前線で戦うエクソシストだけです」
「辛い決断じゃな。心中お察しする」
「おーい、パンダじじぃ!」
「その呼び方をするでない!馬鹿者!」
ブックマンを見つけて絡んでくるラビに飛び蹴りをかます。
「いってー!出会い頭に何すんだよ!パンダじじぃ!!」
「パンダ言うな!!」
「はは、元気だね。ラビ」
「あ、コムイ室長。化学班の奴らが血眼になって探してたさぁ」
「やば、隠れないと!ラビ、教えてくれてありがとうねー」
風よりも早く走り去るコムイを見送って、ブックマンはラビに問う。
「で、何しにきたラビ」
「…新しいエクソシストの顔見ておこうと思ったんだけどさ、一足遅かったさ」
「会っておるだろが」
「んー、そうなんだけどさ。俺ら行った時は寅吉の方しか会えてなかったじゃん? 女の子の声しか聞いてないしさぁ」
「また妙なあだ名をつけおって。今暫し待て。あの子らには休息が必要だ。エクソシストになるかどうかもまだ決まっておらん」
「え、そうなの?クロちゃん達どうやってここに連れてきたさ?」
「ワシに聞くな」