村娘の囁かなる恋心
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「この部屋が、唯一、ベットが4つある部屋なんです。階段から上がってすぐ右手のドアがトイレ兼洗面所になってます。その向かいがお客様用のお風呂です。残った二部屋は1人部屋でとても皆さん全員が入れるお部屋ではありません。この部屋だったら、中央にテーブルもありますし、壁際に4つそれぞれベットがありますから、ドラゴンさんも含めて、ゆっくり休めると思います。クッションと毛布はテーブルの上に置いておきますね。お食事は、1階で作ってお部屋までお持ちする形でよろしいですか?それとも、お外に行って取られます?」
どこか、誰かさんにとてもよく似ている営業トークで話す女性に一行は既視感を覚える。
「あ、今連れが具合悪いので、食事は運んできてもらえると助かりますね」
「分かりました。そうしますね」
「なぁ、この人、誰かに似てない?」
ニッコリとほほ笑む女性の態度を見て、こそこそと悟空が悟浄に話しかける。
「俺も、誰かさんにとっても似てる気がするんだよなぁ」
「「何か、言いましたか?」」
綺麗に女性と八戒が、営業スマイルでハモった。
その笑顔があまりに似ているので、さすがの三蔵も引いている。
「いや、なんでもない」
「それならいいですけど。先程は、声被ってしまってすみません。私達、気が合いそうですね」
三蔵の声に返事をしながら、八戒に向かって声をかけてお辞儀をする女性。
「あの、失礼ですが、お名前は?」
「あ、私、この宿屋を経営させていただいている啾と言います。よろしくお願いします」
ニッコリ笑顔で軽く会釈をする啾。
「啾さんですね。僕は八戒です。ジープの調子が回復するまで滞在すると思うので、よろしくお願いします。特に背の小さい悟空はとても大食漢なので、夕飯などお手数をかけするかと思いますが、よろしくお願いします。あと、赤毛で長身の悟浄と金髪の三蔵はヘビースモーカーなので、お部屋に煙草の匂いが着いてしまったらすみません」
「悟空さんは、たくさん食べられるんですね。分かりました。今の内に食材の確保に行ってきますね。お部屋に匂いが付いても大丈夫ですよ。ハウスクリーニング入れますから。何かあったら、メモをカウンターに置いてください。メモ帳は、部屋の角のランプ台の引き出しの中に、筆記用具と一緒に入ってますから」
「ご丁寧にありがとうございます」
「あの、ドラゴンさん。熱とかあるなら、熱冷ましになるような物も買ってきますけど、どうしますか?」
「あぁ、ちょっとした熱中症みたいなので、水分を取らせたいので、小さな注射器のようなものがあると助かります」
「分かりました。それも買ってきますね。では、私はこれで失礼します」
「何から何まで、細やかな気遣いありがとうございます。買い物でしたら、大荷物になるでしょうから、男手が必要だったら、いつでも声かけてくださいね?」
「いえいえ、お客様にご迷惑おかけするわけには行きませんので、一人で大丈夫ですよ。それでは、失礼しますね」
一礼して、宿屋の経営主の啾は、部屋を後にする。
「なんかさ、啾って、すっごく、八戒に似てなかった?なんつーか」
「八戒の女性版ってとこ?」
「そう!それ、あのニッコリ笑顔とか八戒そっくり!」
「髪の色も眼の色も違うのになぁ。たぶん、二十歳くらいだろ?あれで八戒と同じ性格とか、可哀そうだわぁ」
「彼女が、僕に似て何が可哀そうなんですか、悟浄」
悟空と悟浄の会話に向けられたニッコリ笑顔の八戒の笑みは目が座っている。
「あー、八戒のそういう目が座ってる時の笑顔は、あの子で見たくねーわ。営業用スマイルがあまりにも似すぎてて、八戒が二人いるのかと錯覚しただけだ。気にすんな。それより、早くジープ休ませようぜ」
「そうですね。せっかく柔らかそうなクッションと毛布も用意してもらいましたし」
そう言いながら、八戒は荷物を降ろして、部屋の中央にある大き目のテーブル中央に置かれたクッションに、ジープを横たえる。
「ジープ、大丈夫ですか?」
ジープは力無げに首をもたげるがそれ以上体力が持たないのか、くてんとすぐにクッションに頭を落としてしまう。
「これは、重症ですね。悟空、窓を開けてください。少しでも風通し良くして、体温を下げてあげないと」
「う、うん、分かった」
悟空が八戒の指示で部屋の左側の壁にある窓を開けようと、ベットの上に乗って窓を開ける。
とたんに、荒野を吹き抜けるどこか蒸し暑い風が部屋を駆け抜ける。
「うえ、これじゃ、逆効果だ。エアコンとかないの?」
「ん?ちょっと待て、クーラーあるじゃねーか。えーと、リモコンはこれか?いきなり冷房は冷えるだろうからなぁ。送風にしておくぜ」
悟浄が、部屋の入り口付近に、クーラーのリモコンを見つけスイッチを押せば、部屋の入口から正面にある壁の右側上部に備え付けられていたクーラーが作動する。
そんなこんなで、ジープの具合を見ながら、一行は夕食まで一息つくことにした。
一方、部屋を出た啾は、ドアにもたれかかって、深呼吸していた。
(お客様なんて、久しぶりだから緊張したぁ。男の人四人で長旅でもしてきたのかしら?それに白いドラゴンさんなんて初めて見たわ。あの子は妖怪なのかしら?一緒に旅してるなら、ちょっとお話してみたいなぁ。あ、いけない。いつまでもここに居ちゃダメよね。買い出し買い出し)
一人店主の娘は、ちょっと駆け足で夕飯の買い出しに出かけるのであった。