大人の恋愛 不器用男再起をかける
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タイガー&バーナビーの愛車に乗り、悠香は私服のままタイガーにお姫様抱っこされて現場に向かう。
到着寸前、野次馬達が現場を囲んでいる所に遭遇した。
「タイガー。彼女はここで降ろして行きますよ。僕らはちょっと迂回して現場に入りましょう」
「だってよ。あんま野次馬に揉まれて大事な物とか失くすなよ」
「大丈夫よ。一応、最前列まで行かないと現場見れないでしょう?私頑張るわ」
「あんま、無理すんなよ。じゃぁな」
ワイルドタイガーがそっと悠香を降ろして、バイクはUターンして現場へと入っていく。
それを見送って、悠香は立ち塞がっている野次馬達の中を「すいません」と言いながらかき分けていく。
その最中、現場の状況を話している声を聴く。
「今回は、凶暴犯だってよ」
「なんでも、武装して一般車両にぶつかって人質とってるって」
「相手は、何人なんだよ」
「さぁ、最低でも見えてて3人かな。運転手もいるだろうから4人か」
「にしても、今回は厄介だぜ?」
そんな言葉を聞きながら、新聞記者で培った人の書き分け術を生かして悠香は最前列に到達した。
最前列は警察の重装備警備隊がバリケードを作っており、野次馬の安全を確保している。
その他に手前にパトカーが3台、特殊部隊武装車が2台。
そのさらに奥に、野次馬達が話していた現場が広がる。
黒い大型のボックス型トラックの後ろ扉が開いており、中に大量の銃器類が並んでいるのが見える。
その右側に、ぶつけられたのであろう白い乗用車が斜めに止まっている。
運転手と思われるスーツ姿の男性と同じスーツの同乗していたらしい会社員の男性が頭に、武装した男二人から拳銃を突きつけられている。
そのうち一人は拳銃を突きつけながら、グレネードランチャーを肩に担ぎ周囲を威嚇する。
その他に扉が開いているトラックの前に一人は、銃弾をずらっと銃身に繋げてあるマシンガンを三脚台の上に準備して、いつでも連射できるように構えている。
運転手を拘束している男の腰には、もう一丁の拳銃の他に、複数の手榴弾が見受けられる。
悠香が見えるだけで3人が野次馬側から確認できるが、野次馬達の話からトラックにもう一人乗っているらしかった。
今回は、人質がいるため、ヒーロー達も集結しているが、なかなか切り込めずにいるらしい。
(これは、ちょっとお手伝いしないとまずいかしら)
悠香が内心ヒヤヒヤしていると、タイガー&バーナビーがそれぞれ別々に建物の合間から事件現場の左右に待機しているのが彼女の目に入った。
周りを見渡せば、トラックの奥に距離を置いて、ロックバイソンとブルーローズが待機。
ドラゴンキットはファイヤーエンブレムと彼の愛車と共に、白い乗用車の奥に待機している。
上空には、風の魔術師スカイハイが旋回していて、ヒーローTVの撮影用ヘリが3台来ているが、各ヒーローの待機状況を写す度に、折紙サイクロンが見切れている。
タイガーとバーナビーが視線を交し頷き合う。
次の瞬間、二人が同時に動き出し、膠着状態の現場が動き出す。
バーナビーがマシンガンを構えている人物の、銃身を真上へ蹴り上げて野次馬の群れの安全を確保し、犯人の手を取り、後ろ手に極めて抑え込む。
同時にワイルドタイガーも駆け出しており、拳銃で運転手を拘束してた人物を殴り倒して、人質の手を取って遠ざける。
反射的に、もう一人の男が同乗者に突きつけていた拳銃をワイルドタイガーに向けるが、これはブルーローズのコールドリキットガンが、拳銃ごと氷漬けにして撃てなくする。
「こっちも居る事、忘れないでよね!」
「おぅら、てめーも邪魔だ!」
ブルーローズの援護に合わせて、ワイルドタイガーが手が氷漬けになった犯人も蹴り倒して転倒させて気絶させ、空いてる手で人質を救出する。
「おおっと、タイガー&バーナビーの登場で、状況が動き出したぁ!人質2名救出でワイルドタイガーに400PTが入ります!!」
「うぉおおおお!!」
ヒーローTVのアナウンスが流れる中、雄叫びと共にロックバイソンがトラックに突進し持ち上げる。
運転手が慌ててトラックから逃げ出すが、行く手をファイヤエンブレムお得意のファイヤーボムが阻む。
「そう簡単に逃げられると思わないでよねん?」
「てぃやぁあ!」
ファイヤーエンブレムの言葉の合間に、ドラゴンキッドが地を駆けて体重を乗せて片足で回し蹴りを食らわせて犯人を気絶させる。
「さすがはカンフーマスター!華麗な回し蹴りで犯人確保ぉ!これで、犯行グループの内三人が確保されました。残り1名はまだ意識があるようです!」
「ええい、チクショー。こうなったら!」
ワイルドタイガーが初めに殴った犯人が殴られた頭を片手で抑えながら、腰に付けていた手榴弾のピンを抜いベルトごと急いで脱いで、野次馬の方に投げつける。
「危ない!」
風の魔術師スカイハイが突風を起こして、ベルトが群衆の中に落ちるのを阻止するが、手榴弾の一つがベルトから外れて、民衆の中に落ちてきそうになる。
「間に合って!」
悠香が頭上を見上げながら両手を左右に大きく広げる。
すると透明な薄いバリアが展開され、手榴弾はそれにぶつかり爆発した。
空中で異なる位置で二つの爆発が起こり、群衆もナレーターもざわめく。
「こんの、まだ寝てなかったのかよ!」
ワイルドタイガーが残っていた犯人に思い切り頭突きをかまして気絶させ、野次馬達の中の悠香を探す。
「おい!一度会社に戻るから、とにかくそこから抜けて後ろに回れ!」
敢えて名前を出さずに悠香を見て発せられたワイルドタイガーの言葉に悠香は頷いて、ざわめく野次馬の中を身を低くして、潜り抜ける。
虎徹達も、犯人達を手早く警察日引き渡す。
その間にヒーロー達も解散し、それぞれファンサービスに移る中、バーナビーにファンサービスを押し付けて、ワイルドタイガーはいち早く現場を離れてヒーロー装備を解き、悠香に近づいた。
「悠香!急いでここから離れるぞ!へい、タクシー!」
虎徹が急いで近くにあったタクシーを止めて乗り込む。
「よう、虎徹。今回もいい働きだったなぁ」
「ベンさん!見ててくれたんすか!」
「まぁな。まさか、ミルキーフリーが群衆の中にいるとは思わなかったが、ここはひとまずアポロンメディアでいいな」
「はい、お願いします。ご無沙汰してました、ベンさん」
ベンと悠香は虎徹がトップマグ時代に何度かオフでも顔を合わせているので面識があった。
「ミルキーフリーも元気そうだな。虎徹とはうまくやってるのかい?」
「はい、色々、仲良くさせてもらってます。私、現役復帰することにしたんですよぉ。今日はそのテストだったんです!」
「テストって、実践じゃないか。あれから能力使ってなかったはずなのに良く発動したもんだなぁ」
「はい~、自分でもびっくりですよぉ」
「あのなぁ、あの危険な状況で能力発動しなかったら大惨事だったんだぞ?」
「それは、初めにちゃんと虎徹さんが犯人を拘束してないから悪いんです。バーナビーさんはちゃんと犯人取り押さえてたじゃないですかぁ。殴ったり頭突きやらで犯人大人しくさせる荒業は昔から変わってないんだから」
「うっ、それは言わないでくれよぉ。そっちの方が手っ取り早いんだって」
「だから、余計な物まで壊して、正義の壊し屋なんてあだ名付いたのよね」
くすくすと笑う悠悠香に、恥ずかしさから照れてそっぽを向く虎徹。
それを見ていい加減結婚しちまえよと思うベン。
三者三様の想いを乗せてタクシーはアポロンメディアへ向けて走ってい行く。