大人の恋愛 不器用男再起をかける
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「虎徹さん、仕事ほおり出してどこに行ってたんですか。また経理の方に迷惑をかけますよ?って、そちらの女性は?」
「わぁ、本当にバーナビーさんだぁ。本物は記事で見るよりも凛々しいですねぇ。私、伊藤悠香といいます。こう見えて、昔はヒーローしてたんですよぉ。今は新聞記者をしてて、こちら名刺になります」
長身の若手ルーキーでエースであるバーナビーにも物怖じせず、営業スマイルで悠香は名刺を出しながら挨拶する。
「あ、これはどうも、記者の方ですか。元ヒーローってことは虎徹さんと面識があるんですか?」
つい仕事の癖で、名刺を受取りながら悠香に質問するバーナビー。
「はい、今からロイズさんのお部屋に行って、現役復帰できるかの面談なんですぅ」
「はい?ロイズさんの所で面談?現役復帰なさるんですか?えっと、失礼ですが、お歳をお伺いしても?」
「えっと、虎徹さんよりちょっと上なだけですよ?こんなおばさんが戻ってきて迷惑かけるかもしれませんけど、よろしくお願いしますねぇ」
上半身を横に傾けて愛想を振りまく悠香に、バーナビーは虎徹の傍に駆け寄り小声で事情徴収する。
「ちょっと虎徹さん、どういうことですか。彼女、元ヒーローってことは、虎徹さん達の同期ですか?現役復帰って可能なんですか?」
「そんなに一度に聞くなよ。悠香は俺のルーキー時代の同期だよ。一時ヒーロー界から離れてたんだけど、アニエスが連れ帰してこいって言うからよ。仕方ねーからロイズさんとの面談だけでもってことになったんだよ」
「こういう時に、緊急出動とかあったらどうするんですか。そう言う大事なことは僕にも話を通しておいてくださいよ。何の相談もないと対応しようがないがないじゃないですか」
「まぁ、そんな怒るなって。ロイズさん待たせてるし、そんなに心配ならお前も一緒に来るか」
「行かせてもらいます。こんなふわふわした女性がヒーロー界に居たことが信じられませんし、簡単に戻ってこられるとも思えません」
この言葉にカチンとくる虎徹だが、にこやかに笑っている悠香を心配させまいと怒るのを我慢する。
「悠香、一応こいつも一緒にロイズさんの所に行くことになったからよろしくな」
「あら、タイガー&バーナビーの前で能力使うことになるなんて、ちょっと恥ずかしいわ。でも、私、頑張るから、見ててね、虎徹さん」
「お、おう、頑張れな。悠香」
目の前で握り拳を作っている悠香を頼もしいと思いつつ、物怖じしない彼女の性格にある意味この場で感謝する。
そうして、3人でロイズさんの部屋に行くことになった。
部屋に到着すれば、ロイズさんが椅子に腰かけて、資料を読んでいた。
「遅かったね。虎徹君。あー、バーナビー君と合流してたのか。なら仕方ない。今、彼女の昔の資料を読ませてもらっていたよ。昔は、ミルキーフリーって名前でヒーローやってたみたいね。ジェイクとは違い防御メインのバリア展開機能が君の能力。当時はそこにいる正義の壊し屋が壊した建造物の破片から一般人を護るために能力を使うのがメインだった。今、能力の減退とかはないと考えていいかな」
部屋に入って早々、少し早口のセリフを投げられる。
それに対して、悠香はニッコリと笑顔を作ったまま頷き、言葉を返す。
「ヒーローを引退してから能力を使ってないので、実際に使ってみないと減退しているかどうかは判断できないですねぇ。感覚は覚えてるので、使えないわけではないと思います」
「そう、実際に当時の状況に近い状況を作れたら能力も発動しやすそうなんだけど」
ロイズの言葉が終わるか終らぬかギリギリのタイミングで、虎徹とバーナビーのリストバンドから緊急招集のアラームが鳴る。
「チッ、こんな時に、緊急招集かよ。行くぞ、バニー」
「虎徹君、待って彼女をサイドカーに乗せてってあげて。現場に入る直前で民衆の中に紛れさせて彼女は待機。貴女は状況を見て、能力を発動して民衆に被害が及ばない様にしてちょうだい」
「ロイズさん!彼女はまだ能力が使えるかも定かじゃないんですよ!そんな人を現場に連れて行くのは危険です!」
「なら、彼女が能力を使わなくていいようにフォローするのが現役ヒーローの見せ所でしょう。分かったら急いで出動して。今回の活躍次第で彼女をうちに入れるかどうか決めるからよろしくね」
「じゃぁ、二人ともよろしくねぇ」
三人の緊迫した言葉とは裏腹にどこかのんびりした悠香の声が響き、一気に出動態勢から気が抜けたエースコンビだが、気を取り直して、虎徹が「こっちだ」と悠香の手を引っ張り、彼らは現場へと出動した。