大人の恋愛 不器用男再起をかける
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翌日、朝9時半。
悠香は、どんな服を着ていこうか迷っていた。
「虎徹さんの上司さんと面談よね?カチッとした服がいいのかしら?でも、もし現場に出て能力発揮して?とか言われたらスーツよりも私服の方が動きやすくていいのよねぇ。パンツスタイルのスーツとか?あー、でもでも、新入社員の雇用じゃないんだし、取材に行くわけでもないし、スーツなんて着て行ったら、新聞の取材かと間違われちゃうかも。うーん、服選びって難しいわ」
2LDKの小さなアパートの寝室で、彼女は姿鏡の前でクローゼットから出した服を、あれでもないこれでもないと、鏡に映る自身に服を合わせながら、服選びに勤しんでいた。
当然そんなことをしているものだから、ベッドの上は没になった服で溢れている。
一応、当たり障りのないピンクの丸襟のトップスに白のふんわりスカートのゆるふわコーデに決まった所で、インターフォンが鳴る。
「悠香、いるか?ちょっと早かったけど、大丈夫?」
「あぁ、虎徹さん!10分だけ待って!まだお化粧してないの!あー、でも外で待つのもあれよね、中に入ってて?鍵は開いてるわ」
慌てて答えて、化粧台に向かい、あたふたと化粧を始める。
「化粧なんて、軽めでいいんじゃねーか。そんな新入社員の面談に行くわけじゃねーし」
「そうかもしれないけど、女性にとって身なりは大事なのよ?すぐ終わるから待っててね?」
「まぁ、俺も早く来過ぎたな。まだ10時まで時間あるし、ゆっくり化粧してろよ」
「ありがとう、虎徹さん。そういう優しい所、好きよ」
「ばっ、そ、そう、か。なら、いいや」
玄関と奥の部屋とでやり取りされる会話。
他愛のない恋人同士の会話だが、今日は一応、悠香の面談の日だ。
虎徹とアニエスの計らいで、ロイズに時間を取ってもらっているが、今日の面談次第で現役復帰できるかどうかが決まる。
悠香ももちろん緊張していたが、虎徹も緊張していた。
故に早めに迎えに来てしまったのだが、旨く行かなかったらどうしようと虎徹もそわそわしている。
「お待たせ。おかしくないかしら?」
先程のゆるふわコーデに白いポーチ鞄を合わせて、虎徹の前でくるりと回って見せる悠香。
「お、おう、似合ってんじゃん。じゃ、行くぞ」
エスコートするかのように、虎徹が悠香に手をさしだし、彼女は迷うことなくその手を握る。
「ふふ、虎徹さんの手はいつも大きくて暖かいわね」
「ん?そうか?」
「うん、そうよ。でも、今日はちょっと緊張してるのかしらねぇ。汗ばんでるわよ?」
「え、あ、わ、わりぃ。気持ち悪かったよな。なんか俺まで緊張しちまってよ」
一度手を解いて、慌ててハンカチで手を拭く虎徹。
「いいのよ、別に。誰だって緊張するわ。私も能力上手く使えるか不安だし」
「あー、なんだったら、数分だけなら時間あるし。ちょっとここで練習していくか?」
「うーん、たぶん、大丈夫よ。何とかなると思うわ。使ってないってだけで感覚は覚えてると思うから。行きましょう、虎徹さん」
今度は、悠香から虎徹の手を取り外に出る。
戸締りをしアパートを後にして、虎徹の車に乗り込む二人。
そのまま混んでない裏道や主要道路を通り、アポロンメディアに向かう。
会社に着けば、すでに入り口のゲート前までロイズが来ていた。
「虎徹君、遅いじゃない。その子が君の彼女?名前は、伊藤悠香さんで合ってる?」
「はい、そうです。よろしくお願いします」
にっこり笑顔を見せる悠香を無視して、ロイズは言葉を続ける。
「付き合ってるのはいいけど、社内まで恋人繋ぎで歩いてこないでくれる?君、常識あるの?」
自然といつもの癖で、恋人繋ぎで歩いてきてしまっていて、ロイズに指摘されて慌てて、手を解く虎徹。
「え、あ、すいませんです!以後、気を付けます!」
「私も気を付けますね。能力は、バリアを張る事です。えーと、虎徹さんの上司の方ですかぁ。虎徹さんがいつもお世話になってます」
慌てふためく虎徹に反して、悠香はマイペースと言った感じでお辞儀をして挨拶を済ませる。
「バリアね。ここで話すのもあれだから、私の部屋まで着いて来てちょうだい。虎徹君。案内してあげて」
「はい!分かりました!」
「悠香さんは来賓用のゲートから通ってちょうだいね。そこの警備の人に話しかければ通してもらえるわ。じゃぁ先に部屋で待ってるから」
それだけ告げて、ロイズは踵を返す。
「と、言うわけですから、よろしくお願いしますぅ」
ロイズの言葉を受けて、来賓客用ゲートの前に居た警備員に物怖じせずに話しかける悠香のことをある意味、肝が据わっているなと思いつつ、虎徹は自身のパスケースでゲートをくぐる。
悠香が来賓用のゲートをくぐれば、二人で連れ立って歩く。
今度は手を繋がないように気を付ける。
ココに入ればいつバディに会うか分からない。
と言うより悠香の迎えの為に、事務仕事をほおり出してきたからそろそろ・・・