大人の恋愛 不器用男再起をかける
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定夢小説の主人公は、その話に応じて容姿や性格などを設定しています。
全ての小説で、夢用のお名前を使用する場合は、こちらを使用してください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
日中デートの日から1週間ほど経ったある日、その日は夜にこじんまりとしたバーでのデートだった。
悠香はまだ来ていなかったが、虎徹はこの日、どうしても彼女に言おうと思っていたことがあった。
現役復帰してほしい。
ジェイク戦も終わり、マーベリックという巨悪も倒した今、ヒーロー界は新しい刺激を求めていた。
数日前にアニエスから直接復帰させる頼まれたとはいえ、虎徹自身も悠香と一緒に仕事がしたいとは思っていた。
アニエスは虎徹のルーキー時代を知っていることから、彼女がヒーローだったことも知っているし、今でも虎徹と交流があるのを知っている。
「ここ最近、ヒーロー界全体的にマンネリ化してるのよねぇ。ちょっとタイガー、あんたの彼女、元ヒーローだったわよね?ちょっと引き戻してきなさいよ」
数日前、唐突にアニエスに呼び出されたと思ったら開口一番そう告げられた。
「いや、俺的にも彼女が戻って来てくれるのは嬉しいんすけど、所属とか衣装とかどうするんすか?それにさすがに昔のままのヒーローネームで出るわけにはいかないでしょうよ?何より、こういうのって本人の意思次第ってか、仕事と恋愛は別にしたいからってヒーロー辞めたんだから、それを今更引き戻すなんてどうよ?」
虎徹なりに精一杯、悠香が戻りたくなかった場合の事を考えてアニエスの提案に反論したが。
「何言ってるの、それを説得するのが彼氏である貴方の役目でしょう!十分、ヒーロー界から離れての生活は堪能できたはずよ。もうそろそろ、彼女自身もヒーロー界に戻ってきたいはずよ。ジェイク戦に続き、マーベリックの取り押さえという大きな記事を書いておいて、自分も活躍出来てたらなと、元ヒーローなら思わないはずないじゃない!所属は恋人と一緒でいいでしょ。彼女次第だけど、ロイズさんには私から連絡入れといてあげるから、男なら自分の女くらい口説き落としてきなさい!」
完膚なきまでに呼び戻して来いと命令されてしまった。
それを今日、悠香に言わなければならない。
虎徹は盛大にため息をつく。
ロックのウィスキーを傾けながら、なんと彼女に告げようか一生懸命思案している内に肩を叩かれた。
「虎徹さん、遅れてごめんなさい。仕事が立て込んじゃっててちょっと遅れたわ」
「あ、いや、俺もついさっき来たばかりだからそんな気にすんなよ。仕事ならしゃーないって。それより座ってなんか飲もーぜ」
悠香のためにカウンター席の椅子を引いてやり、彼女が座るのを待ってメニュー表を手渡す。
「どれにする?」
「えっと、どうしようかしら?うーん・・・カシスオレンジにしようかしら、マスターお願いできる?」
悠香の問いかけに、カウンター越しのマスターは無言で頷いて、カシスオレンジを作り始める。
「悠香はいつもフルーツ系の飲み物が好きだな。たまにはシャンディガフとかもチャレンジしてみたらどうだ?」
「シャンディガフ?」
「あ?知らないのか?まぁ、簡単に言うと、ビールのジンジャエール割りだ。ビールが苦手なら一度試してみるといいぜ。炭酸で割ってあるから苦味とか消えて、かなり飲みやすくなる」
「ふふ、虎徹さんはいつも強いお酒飲んでるもんね。私、あまりお酒強くないから、ついアルコール度数の少ない物を頼みがちなのよね。今度、チャレンジしてみるわ。教えてくれてありがとう」
「お、おう。せっかく飲むならよ、色んな酒飲めた方が楽しいだろ?あー、それと、さ。悠香に言わなきゃいけないことがあって、さ」
お酒の話から、軽いノリで話を切り出そうとしたが、やはり事が事だけにうまく切り出せない。
虎徹がうまく言葉をひねり出せずにいる内に、悠香の頼んだカシスオレンジが出来上がり、彼女の前に差し出される。
それを両手で受け取りながら、悠香が尋ねる。
「なぁに?」
悠香は、年上のはずなのだが愛らしく首を傾げて黒髪が揺れる。
その仕草に一瞬見惚れて言葉を忘れる虎徹だったが、すぐにアニエスの怒り顔が脳裏に浮かび、提案しなければいけない案件を思い出す。