大人の恋愛 不器用男再起をかける
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定夢小説の主人公は、その話に応じて容姿や性格などを設定しています。
全ての小説で、夢用のお名前を使用する場合は、こちらを使用してください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そういえばさ、そっちの仕事状況はどうなんだ?」
レモンシャーベットを付属のスプーンをどけて、直接かぶりつきながら虎徹が悠香に尋ねる。
「そうね。虎徹達さん達の活躍のおかげで随分稼がせてもらってるわ。特にジェイク戦の時の活躍は凄かったわね。バディのバーナビーさんとも相性良さそうじゃない。虎徹さん、ルーキー時代よりもずっといい顔してたわよ。最近はずっとタイガー&バーナビーの話題で持ちきりよ」
「おいおい、一応新聞記者やってるからってそんな大きな声で言うなよ。今はオフで、誰も俺がヒーローだと信じちゃいない。せっかくなんだから別の話題にしようぜ?」
「あらあら、そっちから話を振ってきたんじゃなぁい?まぁ、私は虎徹さんとお話しできれば何でもいいのだけれど」
「そりゃそうだけどさ、そのよ。悠香が引退してからずいぶん経つしさ、仕事には慣れたのかと思ってよ」
「ふふ、この仕事に就いて何年経ってると思ってるのよ。もうこう見えて私、ベテランさんなのよ?」
悠香はスプーンでアイスを掬いながら、虎徹の会話に答える。
「そっか、ならいいんだ」
早々に自分の分のアイスを食べ終えて、ベンチ横のゴミ箱にごみを捨てて、虎徹はベンチに寄りかかる。
内心恐る恐る自身の腕を悠香の肩に回してみる。
悠香はそれを気にする風でもなく、ただ身を預けてアイスを頬張っている。
そんな恋人らしい行為を30歳も過ぎて恐る恐るやるなんて馬鹿らしいと思いつつ、恥ずかしいのだからしかたないだろと心の中で、一人悶々と考えていれば悠香に呼ばれる。
「虎徹さん?お腹冷えてきちゃった。残り食べてくれない?」
「あ?お、おう、そうだったな。体冷えて辛くないか?」
食べかけのアイスとスプーンを悠香から受け取り、そのままスプーンでアイスを食べ始める虎徹に、今度は悠香が照れる。
「あ、あの、そのスプーン私が使ってたのだからっ」
「んあ?わりぃ、俺のさっき食い終わったから捨てちまったからさ。それに間接キスなんて今更恥ずかしがる歳でもないだろ?」
「それは、そう、かもしれないけれどっ」
悠香は照れて顔が赤い。
そんな彼女が愛おしいと思う虎徹の心に、やはり過去に告白して付き合ってて良かったという感情が沸く。
こんな時間がずっと続けばいいのにと願った瞬間、左手のリストバンドから緊急招集のアラームが鳴る。
「だぁー!こんな時に緊急招集かよ!世間騒がすのも大概にしろよなぁ!せっかくのデート日和だってのに!」
急いで残りのアイスをかっ込んで立ち上がる虎徹に、悠香も立ち上がる。
「仕方ないわ、この街はヒーローあってこそだもの。さぁ、胸を張って?見守ってきちんと記事にしてあげるから、行ってらっしゃい」
悠香が虎徹の肩をぽんと押す。
「わりぃな、じゃ、また今度デート出来る時、誘うから。送ってやれないけど帰り道気を付けてな」
「えぇ、連絡待っているわ」
悠香の返事を合図に虎徹は走り出す。
向かう先は、タクシー乗り場。
タクシーに乗り込み急いで、アポロンメディアに向かう彼氏を、悠香は静かに見守り、やがて一人で歩き出す。
「虎徹さんは、今日も忙しいのよね。次はいつ会えるかしら」
虎徹の事を想うと自然と顔が綻ぶ。
悠香は人ごみになぎれるようになるべく人通りの多い道を選んで、会社までの道のりを歩く。
ヒーローの出動があればそれを記事にするのが自分の仕事だ。
休日でも緊急招集があれば記事にしないわけには行かない。
今日も彼氏の活躍をひっそりと応援しながら、記事にして街の人達にヒーローの活躍を伝えるのが彼女の仕事。
だから、悠香は自身も胸を張って、会社へと入っていった。