大人の恋愛 不器用男再起をかける
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シュテルンビルド。
ここは、NEXT能力を持った8人のヒーローに守られたちょっと特殊な街。
ヒーロー達は企業名を背負い、ヒーローTV内で凶悪犯達を確保、
警察に引き渡すというのが基本スタンスだが、番組内でランキング付けがされており、人気ヒーロー程テレビCMや雑誌取材に追われることが多い。
世間一般的にこの街では、ヒーローの素性を一般市民は知らない。
ただ一人、本名で活動しているバーナビー・ブルックスJr以外は。
そして、彼の今の相棒である鏑木・T・虎徹は現在オフ日のため、昔馴染みの恋人とデートをしていた。
彼女の名前は、伊藤悠香。
東洋系の彼女の髪は黒く、緩くカールのかかった髪を胸の辺りまで伸ばしていて、前髪はセンター分けてにしている。
彼女もまた10年以上前、まだ虎徹がルーキーだった頃、ヒーローをやっていた。
年齢は虎徹より少しだけ上だが、現役時代は同じルーキーとして活躍した。
今は現役を退いて、ヒーロー達の活躍を追う新聞記者だ。
彼女がなぜ、現役を退いたのかと言えば、虎徹が付き合おうと告白したからだった。
彼女の能力はバリア展開能力。
ハンドレットパワーで正義の壊し屋と呼ばれていた虎徹との能力の相性は良く、二人で共闘することも多かった。
故にルーキーだった若かりし日の虎徹は、自身と相性のいい能力を持つ彼女に惹かれて告白をしたわけだが、日頃はおっとりとしている悠香はその時だけは、
「じゃぁ、私、引退するわね。恋と仕事は別にしないと将来後悔するわ」
そうきっぱり虎徹に告げて、ある日突然、ヒーロー界を電撃引退したのだった。
それからと言うもの、二人は恋人として互いの仕事がオフの度にデートを重ねてきた。
だがここ最近、虎徹が以前所属していたトップマグが潰れ、アポロンメディアに移籍してからは、なかなかオフ日が合わず、今日暫く振りに昼間からデートをしている最中なのだ。
「本当、こうしてゆっくり会うのも久しぶりだな」
「えぇ、本当にね。お互い仕事のリズムも合わなくて会えない日が続いていたものね。前回あったのは、いつだったかしら?」
街中を二人で恋人繋ぎで手を繋いで歩きながら、空いている方の手を顎に当てて思案する悠香。
虎徹より頭一つ低い彼女が頭を傾げると、ちょうど虎徹の肩に頭がぶつかる。
それを半分心地よいと思いつつも、前回会ったのはいつだったか虎徹も思い出そうとする。
「確か、こっちも忙しかったから3ヶ月近く会えてなかったんじゃねぇかな。まぁメールとかは頻繁にしてたからそんなに長く離れてたって感じはしねーけど、やっぱ、ゆっくり昼間から会うのはデートの定番っていうか、なんつーかそのぉ」
まるで夫婦で買い物してるみたいだなと続きを言おうとして、まだ自分達がそこまでの関係にないことを自覚し自制する虎徹である。
一応、恋人として付き合って10年近くにはなるが、会えるのは月に1回だったり数ヶ月に1回だったり。
体を重ねるなんて行為は本当に緊急招集の無い夜だけで、ある意味、会ってる回数だけをぎゅぎゅっと凝縮してまとめて、毎日会ってることに換算し直すと、本当に3年ちょっと程度しか付き合いがないんじゃないかと思えてくる。
そんな相手にまだプロポーズする余裕は今の虎徹にはなく、とにかく仲のいいのだか悪いのだか分からないバディとの仕事をこなしつつ、合間にデートを入れるので精一杯だった。
「その、なぁに?何か続きが言いたそうだったけれど、何かしら?」
「あ、いや、その、事件がなくて平和だなぁ、なぁんて思ってさ。緊急招集もないしさ」
悠香に指摘されて、慌てて代わりの言葉を紡ぎだす。
彼女といる時、虎徹はいつも心安らかでいられた。
下手に恋人だからと気取って格好良く見せようとしなくても、何気ない事で彼女は笑ってくれる。
まるで陽だまりの中にいるようだと、虎徹は感じていた。
「お、あんなところに、アイスクリームの屋台出てんじゃん。せっかく公園まで歩いてきたし、アイスでも食べながら一休みしようぜ」
「そうね。いつの間にか、公園まで来ちゃってたわね」
「食いたい味あるか」
屋台の前まで歩いて来て、虎徹と悠香はそれぞれ食べるアイスを選ぶ。
「えー、どうしようかしら。色んな種類があるのね。迷うわ」
「だったらダブルとかにしたらどうだ?」
「ダブルだと食べきれる自信無いのよね。半分食べてくれる?」
「あぁ、いいぜ。好きなの頼めって。俺、アイス嫌いじゃないし」
「そう?ありがとう。じゃぁ、ストロベリーとチョコレートのダブルのカップにしようかな」
「じゃぁ、俺はレモンシャーベットのコーンで」
「はいよ、ストロベリー&チョコのカップが一つと、レモンシャーベットのコーン一つね」
二人のの会話を聞いて店主がアイスを手際よく準備していく。
「あいよ、こっちがストロベリー&チョコのカップで、こっちがシャーベットのコーンね、全部で900シュテルンビルドルだよ」
「あぁ、悠香ちょっと持っててな」
そう言って、一度商品を受け取った虎徹だが、彼女にコーンとカップを持って貰い、支払いを済ませる。
それが終われば、自身のコーンを受け取って、再び恋人繋ぎで手を繋いで、空いているベンチがないか公園を散策する。
ちょうどよく噴水の所に空いているベンチがあった。
二人はそこに腰かけてそれぞれのアイスを食べ始める。