雨の中にて思ゆる
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~悟浄サイド~
悟浄「あ~ぁ、湿気ってんなぁ」
なんともなしに、タバコの煙と共に吐き出した言葉。
それは何に対してとかじゃなく、ここにきて初めて自分の体に現れた妖怪の証の模様の事だったり、まだ傷も癒えてないのに、引きこもりを発動させた三蔵様への憤りだったり。
そういうことに、煮え切らない思いを抱えてる自分自身への言葉だったかもしれない。
八戒「湿気ってても、何も解決しませんよ?」
いつの間にか八戒が部屋に戻ってきていた。
八戒「悟浄、覚えてますか?」
悟浄「何をだ?」
八戒「さぁ、なんでしょうねぇ」
悟浄「・・・あのよぉ、八戒」
八戒「はい?」
煙を吐き出して、悟浄は言葉を紡ぐ。
悟浄「三蔵の傷、後どれくらいで治るんだ?」
八戒「今日、治療させてもらえてたら、あと3日って所ですかねぇ。僕の気功の回復があるとはいえ、人間にしては、驚異的な回復速度だと思います」
悟浄「ゴキブリ並みだな」
八戒「それ、本人が聞いたら怒りますよ?たぶん」
悟浄と八戒は、肩で笑う。
八戒「あー、そういえば。この部屋に来る前に、悟空と話したんですよ」
ひとしきり笑った後で、思い出したように八戒が言葉を紡いだ。
悟浄「あのちび猿がなんだって?」
新しいタバコを取り出して、火を付けながら悟浄が返答する。
八戒「もっと強くなる、だそうです」
悟浄「そ。んじゃ、俺らも負けてらんねーな」
八戒「悟空と一緒に鍛錬でもします?」
悟浄「雨に濡れるなんざ、ごめんだ。止んだら、出発できるようにしとくか。八戒、何準備すればいい?」
八戒「案外、前向きですね。じゃ、地図と食料の調達から始めますか」
二人は立ち上がり、旅支度を開始する。
彼らは分かっていた。
これから先、西域に進んで。
いずれまた闘神とやりあうことになるかもとか。
タルチェの不吉な予言が現実になったとしても。
彼らは彼らなりに、歩みを止めない確信があった。
八戒「まぁ、三仏神カードが止められない限りですけど」
悟浄「なんか、言ったか?八戒」
八戒「いいえ。早く雨に止んでもらえないと、三蔵の不機嫌が治らなくて困るなぁと」
悟浄「ぜってぇ、ほかの事考えてただろ?ま、三蔵様の不機嫌はニコチンが切れた時だけにしてほしいもんだぜ」
八戒「たまには、禁煙してみたらどうです?悟浄も一緒に。健康に良くないですよ?」
悟浄「嫌だね。俺からタバコと女取ったら、何残るよ?」
八戒「それ、自分で言います?」
止まない雨の中、彼らはいつもの調子で旅支度をする。