トリップorラビューン
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定夢小説の主人公は、その話に応じて容姿や性格などを設定しています。
全ての小説で、夢用のお名前を使用する場合は、こちらを使用してください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
岡田「こんな、所で、死にたくない!」
八戒「死なせませんよっ、はぁあ!」
突如、暗闇から目が眩むような光の本流。
それは、洋子の後ろにあった繭の存在自体を打ち消していく。
岡田「八戒さん?!」
八戒「悟浄、洋子さんを拘束してる糸切れますか?」
悟浄「お任せあれ!」
シャララララと鎖の伸びる音がして、鎖の先端についている鋭い三日月のような刃で洋子を拘束していた糸が切られていく。
糸から解放されて、たたらを踏んだ洋子を優しく八戒が抱き留める。
八戒「怖い思いをさせましたね。でも、もう大丈夫ですから」
岡田「八戒さん、私っ」
八戒「今は危ないですから、僕の後ろから離れないでくださいね」
岡田「は、はい!」
優しく大きな手が、洋子を八戒自身の後ろに誘導する。
(あぁ、やっぱり、私、場違いかもしれないけど、八戒さんが好きだ。ちゃんと伝えなきゃ)
洋子が恋心を抱いてる間にも、妖怪討伐は続く。
三蔵「おい、悟空。あの気色の悪い蛾を落としてこい。援護はしてやる」
悟空「任せとけ!如意棒ぉ!」
ガウン!ガウン!と三蔵の拳銃が火を吹き、悟空が駆けだす。
両方の羽を打ち抜かれて一時的に、飛行能力が落ちた妖怪に悟空が、地面を蹴って跳躍し上から如意棒を叩きつける!
妖怪「ぐぁあ!・・・よくも、よくも、私の子供達の食事を邪魔してくれたわねぇ」
地面にたたきつけられたオネェ系妖怪は、上半身だけ起こして、再び羽ばたこうとする。
三蔵「意外としぶといな」
悟浄「けっ、両性類型の妖怪って、相変わらず思考がキモいよな」
三蔵と悟浄がほぼ同時に行動する。
連続で放たれる銃弾の嵐と、舞い踊る鎖鎌。
鎖鎌が妖怪を拘束して、銃弾が的確に急所を押さえていく。
だが、銃弾が貫いた場所は、小さな蛾に変化して、すぐに元の大きな妖怪の一部に戻る。
三蔵「チッ、キリがねぇな」
八戒「三蔵、ココは僕の出番です」
そう言いながら、八戒は両手の内に気功を溜めていた。
八戒「回復能力のある面倒な奴は、一斉清掃が一番的確ですよっ!」
言いながら放たれた、巨大な気功の本流は、蛾の妖怪を丸ごと飲み込んで、消し去っていく。
八戒が放った気功の後には、何も残っていなかった。
周囲にいたはずの蛾も一匹も残っていなかった。
悟浄「ふぅ、一件落着ってか?」
三蔵「まだ、本題は片付いてないだろうが」
武器を終う悟浄に対して、三蔵がツッコミを入れる。
悟空「え、でも、妖怪は倒し終わったし、洋子姉ちゃん無事だったじゃん?」
三蔵「その洋子がまだ終わってないと言ってるんだ。バカ猿。おい、言うことがあるんじゃないのか?」
三蔵の紫の瞳が洋子を見つめる。
彼女は静かに頷いて、汚れを簡単に払って、荷物を持ち直し、八戒に向きなおる。
岡田「八戒さん、私、やっぱり、色々皆から聞いて、考えたけれど、八戒さんの手は、人を救う優しい手だと思う。初めて私がこの世界に落ちてきた時も暖かくて、大きくて力強い手だと思ったの。そして、今も、私の事を真っ先に助けに来てくれて、守ってくれた。だから、私、八戒さんの事が好き。私は、いつ本当の世界に戻れるか分からないけれど、八戒さんの大きな優しい手で守られていたい。例え、それが八戒さんにとって迷惑だとしても、私は八戒さんが好きです。だから、その大きな手で、もう少しの間だけ私の事、守っててくれませんか?」
思い切って自分の気持ちを口にする。
初めはいつもの口調で話せていたが、最後になるにつれて恥ずかしさからか敬語になってしまう。
八戒「洋子さん、それは、僕に告白、してるんですか?」
戸惑いながら、八戒も少し頬を染めて尋ね返す。
岡田「・・・はい。私、八戒さんの手が好き、ですからっ」
洋子も頬を染めて、八戒が言ってほしいと言っていた言葉を紡ぎだす。
八戒「これは、困りましたねぇ。ねぇ、悟浄、こういう時ってどう、答えるのが正解ですかねぇ?」
悟浄「俺に逃げるなよ。ちゃんと、洋子ちゃんの想い受け取って、自分で考えやがれってんだ」
八戒「うーん、そうですねぇ、あの、洋子さん」
観測者「はいは~い、そこまでぇ!」
岡田&八戒「「へ?」」
場違いな声がして、洋子と八戒が同時に声を上げた途端、彼女の後ろから、観測者の鏡猫が登場する。
観測者「洋子ちゃん、おめっでとう♪条件クリアで、お帰りの時間だよん♪」
岡田「ちょっと、待ってよ、まだ、八戒さんの答え、聞いてない!」
観測者「のんのんのん♪答えなんて要らないんだよ。君が告白できればいいからね。じゃ、回収回収っと」
観測者はふわふわな尻尾でくるんと洋子を包んで、空中へと運ぶ。
岡田「ちょっと、待って離してよ!やっと、私、恋が出来そうなの。叶うかどうかの瀬戸際なのに!」
観測者「はいは~い、観測対象はもう黙ってていいからねぇ~。じゃ、みんなバイビー♪」
そう言って、観測者は大きな口を開けて、全身を折るように曲げて洋子を鏡の中に飲み込む。
八戒「洋子さん!!」
観測者に食べられて暗闇に包まれる直前、洋子は確かに、自身の名を呼ぶ八戒の声を聴いた、そんな気がした。