紅と藍の邂逅
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商店街を歩きながら、それぞれの荷物を買っていく藍い髪の妖怪退治屋と、長身の禁忌の子の組み合わせは目立った。
鬼宮「なんか、俺ら見られてね?」
人の視線を感じて、むずがゆいのか、隣を歩く悟浄に問う鬼宮。
悟浄「そりゃぁ、凛華ちゃんが美人だからでしょ。可愛いし」
鬼宮「か、可愛い、くなど、ないぞ。自分はっ!」
買い物の袋を抱えて、うつむく鬼宮の行動一つ一つが、愛らしいと思ってしまう悟浄である。
悟浄「そう言えば、さっきの話の続きだけどさ。なんで、凛華ちゃんは、赤が好きなわけ?」
鬼宮「へ?り、理由なんて、さっき話したじゃんか」
ぱっと顔を上げて、今度は目を見開く彼女。
悟浄「でもさ、フツーそこまで、考えないでしょ。なんかあったのかなぁ、なんて、ね」
鬼宮「・・・悟浄、鋭い所もあるんだな。あんまり、人に聞かせる話じゃないんだよ、ほんとはね」
苦笑いをこぼして、鬼宮は先を続ける。
鬼宮「俺さ・・・子供の頃、片親でさ。嫌われてたんだ。母親が俺を産んで死んでさ。父が俺を育てたんだけど。父は母の事が大好きだったから、母に似ているこの髪も眼も嫌いだったんだ。俺が死んで母が生き返ってくれればいいのに。それが父の口癖だった。毎日のように暴行されててさ。生傷なんてしょっちゅう出来てて、その傷を見るたびに、どうして自分は赤に生まれてこれなかったんだろうって。こんな夜みたいな暗い藍じゃなくて、紅い色だったら、傷も隠せていいだろな、なんて子供ながらに思ってたんだよね」
苦笑と共に幼い頃の話をする鬼宮の話を聞きながら、自身の過去と被る部分もあり、そんな発想もあったのかと感嘆する悟浄である。
鬼宮「紅い髪を伸ばしてたらさ、血の傷口も隠せるじゃん。紅い目もアルビノ種みたいで、幸運のお守りみたいで綺麗だと思うしさ。なんか、自分、変かな?あー、この話、忘れて。単なる独り者の戯言だ」
買い物の荷物がなければ、今すぐ、この心に傷を持ったまま一人で生き抜いてきた妖怪退治屋の女の子を抱きしめたかった。
けれど、今は両手が紙袋で埋まってしまっている。
だから、せめて、言葉だけでも。
気づけば、自然と言葉が漏れた。
悟浄「俺は、凛華ちゃんの色、好きだぜ」
鬼宮「え?」
悟浄「さっきの戦闘で、凛華ちゃんが戦ってる姿、綺麗だったぜ。長い藍い髪が夜のビロードみたいで。いいんじゃねーの。紅い色が好きでも。そのまま、俺のことも好きになってくれると嬉しいんだけど?」
荷物を器用に抱えて、頭一つ以上低い、彼女の視線に合わせて前かがみに顔を覗き込む。
目の前の紅い瞳と髪色に、驚いて鬼宮の足が止まる。
それに合わせて、悟浄も足を止めた。
悟浄「ねぇ、出会ったばっかだけど、俺のこと。どう、思う?」
鬼宮「ど、ど、どう、ってい、言われ、ても!お、俺、そ、そんなっ、自分は、そんなっ!」
顔を赤くしながら、しどろもどろの鬼宮を見て、悟浄は上体を起こした。
悟浄「ははっ、鬼宮ちゃん、可愛い。慌てると、自分の呼び方が混ざるのな?もしかして、ツンデレだったりする?」
鬼宮「そ、そんなっ、ことは、な、ない、ぞ」
完全に悟浄の調子に飲まれて、顔を赤くしてうつむく鬼宮が、今の悟浄にとって、とても愛おしかった。
(やべー、俺、久々にときめいてるかも)
悟浄がそう思っていると、鬼宮がはっとした顔で、辺りを見渡す。
一瞬、遅れて悟浄も、周囲の妖気に気付いた。
鬼宮「悟浄、急いで、戻るぞ!」
走り出す彼女の後を悟浄も追う。