紅と藍の邂逅
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食事の円卓席に着くなり、大量の注文を出す悟空に、鬼宮は呆れていた。
鬼宮「悟空、その体のどこにそんな大量な食糧が入るんだ?」
呆れる鬼宮が悟空の左隣に座ると、真向いの席に、三蔵が当たり前と言うように座る。
鬼宮の隣に来ようとしていた悟浄を押しのけて、八戒が彼女の隣に座る。
八戒「悟浄は三蔵の隣に座ってくださいね?鬼宮さん、隣、失礼しても?」
悟浄「おい、なんで俺が、クソ坊主の隣なんだよ。席順なんていつも通りでいいだろ?」
八戒「あなたと、悟空が隣同士だと不毛な争いが起きますし。何より、悟浄は昨日の今日なんですから、自粛してください」
悟浄「俺は、なんも手ぇだしてねぇよぉ」
八戒「はいはい、弁明は後で聞きますから。まずは、ご飯食べましょ」
ニッコリ笑顔の八戒に、渋々といった様子で、悟浄も席に着いた。
鬼宮「俺は、席順なんて、どうでもいいけどな。店主、生、ひとつ」
店主「はいよー!」
八戒「鬼宮さん、朝からビールって大丈夫ですか?お酒には強いんですか?」
鬼宮「それなりにな。それに、昨日の今日で、色々説明しなきゃないのに、シラフでやってられっか」
半分投げやりに答えて、テーブルに置かれた悟空注文の品を摘まむ鬼宮。
悟空「あー、それ、俺が注文したのにー!」
鬼宮「足りなければ、注文し直せばいいだろう。今回の食費は俺が持つ」
悟空「マジで!じゃぁね、どうしよっかなぁ」
鬼宮の言葉に、悟空が嬉々としてメニュー表を見始める。
八戒「あの、鬼宮さん、何もそこまでしていただかなくとも」
鬼宮「大丈夫だ、もうすぐ、事が起こる」
届いたビールを飲みながら、八戒に返答する鬼宮の元へ、店主が近寄ってきた。
店主「いやはや、妖怪退治屋様。昨日は、妖怪達の襲撃を退けてくださってありがとうございました。町の者からの好意です。今回の宿泊代と、朝食代はこちらで持ちますので、ご存分にお連れの様と楽しんでください」
鬼宮「あぁ、分かった。それと、この札を、町の外周に張っておけ。妖怪除けの特殊な札だ」
手慣れた手つきで懐から護符を出す鬼宮から、恭しく店主が札を受け取る。
店主「これはこれは。本当にありがとうございます。本日中には町を発たれるのですか?」
鬼宮「そのつもりだ。それよりも、今回の連れは、大食漢がいるから、厨房の食材を切らす覚悟でいろよ」
尊大な態度で手を振って、店主を奥に下がらせた鬼宮の態度に、一行は感嘆していた。
八戒「・・・慣れてるんですねぇ。悟空が大食いなことも分かってたんですか?」
鬼宮「退治屋と町の人間の関わりなんて、いつもこんなもんだ。悟空の大食いはさっき知ったから、ちょっと交渉の材料に使わせてもらっただけ」
そう言って、再びアルコールを口に含む鬼宮。
(さて、どこから話したものか)
適当にテーブルの上の食事を摘まみながら、考えている鬼宮に、三蔵が声をかける。
三蔵「傷はどうだ」
視線を合わせず発せられた短い問いに、鬼宮は三蔵を見やって答える。
鬼宮「傷口はもう塞がってる。動かしても、問題ない。さっき八戒に触診してもらったが、特に指摘はなかった。そうだな、八戒?」
八戒「えぇ。服の上からでしたが、完全に傷は塞がってました。本人の言う通り、大丈夫でしょう」
悟空「ふょか、ったひゃぁん」(そっか、よかったじゃん)
ガツン!
鬼宮「口の中が、無くなってから話せ、悟空。ほんと、猿だな」
食事をしながら話した悟空の頭部に、わざと空になったジョッキを打ち付け、鬼宮は静かに食事を続ける。
舌を噛んで黙り込む悟空。
いつもは、三蔵が何かしらするのだが、彼女の方が反応が早かった。
八戒「鬼宮さん、なんだか、僕らの扱いに慣れてきてません?」
鬼宮「昨日、色々あったからな。店主、追加で生2つ」
八戒の問いに答えて食事をしながら、鬼宮は昨晩の出来事を、淡々と感情をこめずに、洗いざらい話す。
こいつらに隠し事をしても無駄な気がした。
特に悟浄が、自分を旅に連れて行こうと強硬手段に出たと言うなら、全て話してしまって、決断を任せた方がいいと踏んだ。
全てを話し終えた鬼宮に対して、口を開いたのは八戒だった。
八戒「つまり、鬼宮さんは紅い月の夜だけ気を付ければ、人間でいられるわけですね?」
鬼宮「まぁな。ただし、この先は、荒野がしばらく続く。砂塵が舞いやすく、紅い月の夜も増える。西に行くに連れて、負の波動は強くなる。いつ暴走化してもおかしくないだろうな」
悟浄「だからって、最後は自分で自害するって、おかしいって、昨日も話しただろ!」
ダンと飲み物をテーブルに叩きつけて、顔を赤くした悟浄が反論する。
全て赤裸々に話されて恥ずかしいのだろう。
しかし、弱ってるわけでもない彼女は、とても冷静に決断を下す。