紅と藍の邂逅
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そっと、扉に近寄って中の音を聞こうとすれば、何も音がしない。
まるで、誰も居ないかのように、部屋の中から音は聞こえない。
軽くノックをして、小声で声をかける。
悟浄「凛華ちゃん、大丈夫か?入るぞ?」
鬼宮「悟浄?あ、悪い。扉、開けないで。話があるならそのままで頼むわ」
悟浄「なんだ、起きてんじゃん。入るぞ」
鬼宮「だ、ダメだって!」
鬼宮の制止を振り切って、悟浄が扉を押し開ける。
ビリビリと紙のような物が破れる音。
続いて、部屋の外に漏れだす妖気。
悟浄「なっ」
突然の出来事に、反射的に警戒体制を取る悟浄。
鬼宮「だから、開けるなと言ったのに!早く中、入れ!結界張り直すから」
悟浄の手を引いて、中に無理やり入れたのは、髪をほどいて、体の大半を長い髪とシーツで隠した鬼宮。
彼女はすぐに扉を閉めて、悟浄が破いた札の上に、手早く新しい札を張り直していく。
作業が終わると同時に、向かいの部屋から、他の三人が出てくる。
悟空「鬼宮!今、妖気がしたけど、大丈夫!?」
鬼宮「何でもない!ちょっと、薬の調合してる最中に、悟浄が無理やり入ってきただけ!ちょっと特殊な薬だから、妖気に似た気を放つんだよ。漏れないように護符を張ってたんだけど。話さなかった俺が悪い。襲撃も何もないから、気にするな」
矢継ぎ早に答える鬼宮に、八戒が声をかける。
八戒「そうなんですか?それにしても、悟浄と二人きり、ですか。まずいですね」
三蔵「おい、エロ河童!下手なマネ、するんじゃねーぞ」
どすの利いた三蔵の声が、悟浄に向けられる。
悟浄「ばーか、怪我人を相手に手を出すかよ!」
反射的にいつもの反応を返す悟浄。
ただ、すぐ横で、シーツに包り、扉を開かぬように取っ手を押さえて、体重をかけている鬼宮の様子がひどく気にかかった。
そんな悟浄に、鬼宮は目配せで、話を合わせろと合図をしてくる。
鬼宮「悪いけど、悟浄にも、妖気がうつってしまったから、浄化の為に、一晩借りる。特に何もないと思うから、明日の朝には返す。こっちは大丈夫だから、みんな戻って今日は休めよ」
いつもの一行のやりとりに、冷静な答えを返して、鬼宮が会話を切り上げようとする。
八戒「悟浄、くれぐれも、鬼宮さんの邪魔や迷惑になること、しないでくださいよ?」
悟浄「しねーよ。なんか、俺がバカして邪魔しちまったみたいだし、大人しくしてるって」
八戒「本当ですか?悟浄は、女性問題については、ろくなことないですからねぇ」
鬼宮「八戒、大丈夫だ。俺は、ただの女じゃないから。何かされそうになったら、自分の身位守れるよ」
悟浄「鬼宮ちゃん、こわっ」
何かしたら殺すっと視線で示され、一瞬身を引く、悟浄であった。
三蔵「怪我してんだから、無理はするな。何かあったら叫べ。すぐ駆けつける」
不毛な三人のやりとりに終止符を打ったのは、三蔵だった。
彼なりの謝罪の表現と受け取った鬼宮は、ありがたくその好意を受け取ることにした。
鬼宮「ありがとう。その時は、まっさきに呼ぶようにするから、おやすみな」
悟空「鬼宮、悟浄にだけは、ぜってー気を付けろよな!おやすみ!」
鬼宮「おい、悟浄。お前、どれだけ、仲間から信用されてねーの?マジで、何もしないって信じてるけど、逆にここまで仲間から信用されてないと不安になるな」
苦笑気味に笑う彼女の声が、同じ部屋にいるせいか少しだけ、辛そうに悟浄には聞こえた。
これ以上、他の3人と長く話すべきではないと判断して、話を切り上げる。
悟浄「大丈夫だって!マジで、何もする気ないから。とにかく、お前らも早く寝ろよ!俺は、凛華ちゃんのこと、邪魔しないように大人しくしてるからよ。それに、女の子にとって夜更かしはお肌の大敵だから早く寝かせる。お前らも、明日の朝な。じゃぁな」
八戒「悟浄がそこまで言うなら、任せましょう。鬼宮さん、何かあったら叫んでくださいね?」
鬼宮「あぁ、分かってる。おやすみ」
三蔵「行くぞ、てめーら、何度もおやすみばっか、言わせてんじゃねーよ」
三蔵の一声で、扉の向こうで、三人が自室に戻る音を聞きとげて、鬼宮はやっと扉から手を離した。
そのまま扉に、背を預けて、ずるずると座り込んでしまう。