記念・リクエスト

アニバーサリー

「ねぇ、みんな聞いて!!おめでたいことがあるんだって!!」

珍しく全員がみんなの部屋にいた時、電話を置いたカービィが叫んだ。

「おめでたいことって何?」

ネスが訝し気に聞くと、カービィは肩をすくめた。

「それは知らない。」

「おいおい。」

ロイが苦笑いする。十中八九、電話の相手はターマスで、その情報源は彼なのだが、彼が十分な説明をしなかったのか、カービィが最後まで話を聞かなかったのかは定かではない。

「それでね、それをお祝いしたいの!!」

カービィは目をキラキラさせ、全身でみんなにねだった。

「いやいや待て。何のことか分からないのに祝い?無理だろう。」

スネークが冷静に止めにかかった。しかし、

「いいんじゃない?楽しめるものは楽しみましょうよ。」

ピーチのこの一言で、乗り気な者が出てきた。

「やるなら派手にやりたいな。」

ファルコンが思考を巡らせながら呟いた。すると、マリオが口を開く。

「派手にかぁ……。じゃあ、パレードとかどうだ?そんで内容は俺が、」

「却下。」

サムスがマリオを遮り、一言で斬り捨てた。嫌そうな顔をして続ける。

「あなたね、映像作りの時に懲りたんじゃなかったの?」

マリオはシュンとなって、すごすごと引き下がった。

「でも、パレードは楽しそう!フロートに乗ってさ、各所各所で必殺技炸裂させるのはどう?」

ピットが嬉々として言った。

「面白そう!!派手だしね!!」

ディディがその案に食いついた。それを見て、リンクが顔を歪めた。

「ダメだよ?街を壊す気?」

「ねぇ、スプラトゥーンって知ってる?」

ポポがみんなに質問を投げた。

「あれだよね?ペンキをまき散らして、どれだけ自分の色を残せるか……って、まさか!?」

答えながら、ピカチュウは嫌な考えに至り、バッとポポの方を向いた。

「ナイスアイディア!ポポ!!街を進みながらペンキをかけまくるのね!?楽しそう!!」

ナナが手を叩きながらはしゃいでいた。それを見て、マルスは頭を抱えた。

「………。一度パレードから離れようか。話がどんどんおかしくなっているよ。」

再びみんなは考える。

「……普通に立食パーティじゃダメなのですか?」

おずおずとオリマーが意見を出した。だが、

「えぇー、そんなのつまんない!」

とカービィに一蹴されてしまった。

「だったらダンスパーティしないか?」

いつの間にか復活したマリオがにやにや笑いながら言った。

「はぁ?ダンス?何踊るんだよ?」

ファルコは眉間に皺をよせて、面倒そうにしている。

「んー……フラダンスとか?」

「あ゛?」

「意味不明!!」

マリオが答えると、目に見えてファルコの機嫌が最悪になった。ネスも思わず声をあげた。

「じょ、冗談に決まってるだろ……。」

冷や汗を流しながら、マリオは後ずさった。

「ダンスパーティなぁ……。こういう時って社交ダンスか?」

謎の意見ではあったが、考える糸口にしようとファルコンが話を続ける。

「えー、なんか違う……。」

カービィは頬を膨らませた。

「ならフォークダンス?オクラ……なんだっけ?」

ピットがええと、と記憶を辿る。

「もしや、オクラホマミキサーのことでしょうか?」

ゼルダが聞くと、ピットは手を叩いた。

「そう!それ!」

「いやいやなんでそんなの踊らなきゃいけないんだよ!」

ソニックが顔を引き攣らせながら叫んだ。

「あ、マイムマイム楽しいよ?」

「いやそれ、キャンプファイヤーのノリじゃない!」

「ハハハ、だよねー。」

ポポとナナが漫才じみたことを披露した。

「それじゃあ、マリオパーティする?僕達はよくやってるよ。」

ルイージが提案した。

「すごろくの要領でマスを進みつつ、ミニゲーム等でコインを集めて競うゲームか?祝い事まで競うのか……。」

メタナイトがうんざりしたように言った。

「競わなくてもミニゲームは楽しいぞ?」

ドンキーがルイージの援護をする。

「どうせ競うのなら……トーナメントを行わない?」

サムスが怪しい笑みを浮かべながら言った。

「えー、それ、日常と変わらない………。」

カービィはしょんぼりしている。

「あら、楽しければいいのでしょう?」

サムスは、それはもう楽しそうにしている。

「……目的が変わってきてないか?」

フォックスが聞くと、アイクはため息を吐いた。

「祝いと言いつつ、楽しむ方が目当てだな。」

そしてしばらくうだうだと話し合いは続いた。だが、話はなかなかまとまらず、予定があったり、当番があったりと離脱者が出てきた。その中には、面倒になって逃げた者も大勢いた。最終的に、みんなの部屋にはカービィ、トレーナー、リンクしか残っていなかった。

「……これ、お祝い無理だよね?」

カービィは気落ちして言った。

「……今からは難しいね。結局、何も決められなかったし。」

リンクがカービィを伺うように見ながら答えた。

「あー、なにかしたかったなぁ……。」

カービィは諦めたようで、部屋を出て行った。しばらく残った二人はぼんやりとその様子を眺めていた。

「……それで、何のお祝いだっけ?」

「………さぁ?」

トレーナーの問いに、リンクは首を傾げるしかなかった。





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