記念・リクエスト

フォレストページ時代に純白(ましろ)様からリクエストをいただきました。
ピーチとマリオで恋愛物というリクエストです。
……私にできるのはこの程度ですが、どうぞお楽しみください。
マリオ視点で展開します。
―――――――――――――

「リンク、助けてくれ!」

困り果てた俺、マリオは、リンクの部屋に飛び込んだ。

「うわぁ!び、びっくりした……。どうしたの?」

当然リンクは驚いていた。が、お人好しのあいつは真摯に対応してくれた。それじゃ、さっさと本題に入らせてもらおう。

「ピーチがすごく怒っているんだ。」

「え?何でまた……。」

「それが分からないから聞いてるんだよ。」

「オレに聞かれても……。うーん……。」

リンクは考えこんだ。が、思い当たることはないらしい。しばらく考えていたが、やがて首を振った。そして、とんでもない提案をしてきた。

「とりあえず、聞き込みでもしてみる?」

「え、は?タンマタンマ!!そんなことしたら余計怒るって!!」

焦った俺は、あわてて待ったをかけた。

「え、何で?」

リンクは呆けた顔をしている。

「理由も分からないなんて知れたら、普通怒るだろ!!」

なんか、人選ミスした気がしてきた……。

「そんなこと言ったって……オレ、分からないよ?」

それからしばらく二人で考えてみたが、結局何も思いつかず、聞き込みをしてみることになった。





「で、どこに向かっているんだ。」

「ゼルダの部屋。」

「待ったぁ!」

再び待ったをかけた。おい何だ、その不思議そうな顔は。

「何困ったような顔してるんだよ。ゼルダだろ?話がすぐにピーチに」

「あ、ピーチだ。」

リンクは俺を遮って言った。視線を追うと、ピーチがやってくるのが見えた。

「ねぇ、ピーチ!」

「おい!何話しかけてんだよ!!」

俺は小声で批難した。が、リンクは聞く耳を持たなかった。

「なぁに?……!」

なぁ、今、俺見て顔変えたよな?

「今、時間ある?」

何悠長なこと聞いてるんだよ!気付け、リンク!!ピーチはリンクをまじまじと見、チラリと俺を見た。

「……。ごめんなさいね、今、ちょっと忙しいの。」

そして、言葉少なに言うと、さっさと行ってしまった。

「……。本当に怒っているね、ピーチ。何したの?」

あ、分かってた。じゃなくて!!

「わかんないって言ってるだろ!」

マジで切れるぞコラ。
そんなこんなで、結局ゼルダの部屋の前まで来てしまった。リンクがノックをする。

「あらリンク!それに……マリオさん。」

何で俺の名前で声が下がるんだよ。なんか嫌な予感がするな……。

「さっきピーチに会ったんだけど。何か今、ピーチ怒ってる?」

単刀直入だな!!

「……。えぇ、彼女は今、ちょっと腹を立てているわ。そして……マリオさん、私はその理由に心当たりがあります。」

やっぱそうですよねー……。

「いつもなら協力して差し上げたいのですが。今回はできませんの。ごめんなさいね。」

それも予測できました……。

「あ、あぁ……いや、その、こっちこそ悪い。」

「それとですね。」

「はい?」

何かありますか?思わず声がひっくり返りましたが。

「リンクを巻き込まないで下さる?」

「「え?」」

「さぁリンク、ちょっとこちらへ。」

ゼルダは困惑するリンクの手を引いて、どこかへ行ってしまった。

「……マジかー。」

俺はうなだれた。





リンクという強力(?)な助っ人をとられた俺は、途方に暮れた。が、考えても仕方がない。そこで、リンクが唯一くれた助言、聞き込みをはじめてみることにした。……今度はピーチから遠そうな奴を探して。
まず、スネーク発見。

「桃姫か?怒っている理由?そんなの俺よりお前の方が知っているだろ。第一、あいつ怒ってなんかいたか?」

・・・。
次、ソニック発見。

「Hah, Peach? 今日は会ってないぜ!」

・・・・・・。前言撤回。遠すぎたら話にもならん。かといって近い人物なぁ……あいつ、口止めしているし。

「やぁ、マリオ。」

そこへマルスがやってきた。遠くもなく近すぎもしない人物がここに君臨!!

「マルスー!!」

俺はマルスの両手をがっちり掴んだ。マルスの顔がひきつった気がするが、この際気にしない。

「ど、どうしたんだい?」

「ピーチの気を静める力になってくれ!」

「え?」

マルスはポカンとした顔をした。説明が必要か。

「朝からあいつ機嫌悪くてさ……今日は出かける約束もしていたのに。」

「ふぅん……。」

「あのな、他人事みたいに言うなよ。本気で困っているんだよ、俺……。」

マルスはため息を吐いた。

「夫婦喧嘩は犬も食わないよ。」

「あのなぁ……。」

茶化すなよ。

「じゃあヒント。今日、ピーチとどれだけ話した?」

「今日?大して話してねーよ。あいつ、俺のことを避けてるし。」

いきなり何を言い出すんだこいつは。

「じゃあ昨日は?一昨日は?」

俺はしばらく考え込んだ。

「……。そーいやあんまり……。………まさか、」

俺はマルスを見た。マルスは俺を見てにっこり笑う。

「さぁ?それ以上は知らないよ?」

俺はマルスを置いて走り出した。目指すところは一つ!

「……毎日会えるだけで幸せなのにねぇ……。」

マルスの言葉が風に乗ってひっそりとこだました。





案の定、ピーチは花壇の側にいた。大好きなパラソルを差しながら、この辺を歩くのがピーチのお気に入りだ。

「ピーチ。」

「……。何かしら。」

よかった。無視されなかった。

「その……悪かった。あんまり相手できなくて。」

ピーチはしばらく黙り込んだ。……あれ、俺、間違えたか?やがて、ピーチは泣きそうな顔をしながら笑った。

「あら、気付いていたの。」

「……それ、は……。」

自分で気付いたわけじゃないなんて、どの口が言えようか。

「いえ、誰かに諭されたのね。マルスかしら。あんなこと言っちゃったから……。」

「う、」

……ばれてました。

「あなたが気付くはずないもの。いえ、気付いてはいけなかったわ。」

「そんなことない!」

そんな悲しいこと言わないでくれ!

「あなたは人気者なの。誰からも好かれる、スーパーヒーロー。私が独占できるはずがない。していいわけがない。」

「ピーチ、」

「だって私はそんなあなたも大好きだから。それなのに……嫉妬、しちゃった。ごめんなさいね。」

「そんなの……悪いのは俺だよ。そんなピーチの気持ちも分からないで、俺……。」

ピーチはにっこりと笑った。

「いいの。もう大丈夫。」

ピーチはもう泣いていない。

「だが、」

こっちが煮えきらないじゃないか。

「気付いてくれただけで、私嬉しい。マリオ、これからも私のこと、想ってくれる?」

「当然さ!俺にとってピーチは一番だから。」

「マリオ大好き!」

ピーチはマリオに抱き付いた。これは役得。俺の特権。

「俺も大好きだよ。」

「フフフ……」

「ハハハ……」





「それじゃ、出かけるか。」

「えぇ。」

その後俺たちは楽しい時間を過ごせた。それにしても、まさか嫉妬だなんてな。俺も罪な男だぜ。





<おまけ>

ピーチがマルスに愚痴るシーン
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マルスがテラスでお茶を飲んでいると、ピーチがやってきた。

「マルス、ちょっと私の愚痴、聞いてくれるかしら。」

「構わないけど、どうかしたのかい?」

「えぇ。最近、マリオったら忙しくてちっともかまってくれないの。この前はルイージとキノコ掘りに行っていたし。これほど仲のいい兄弟っていないわ。私の入る隙なんてないもの。
それに、ここ数日は乱闘三昧。確かにかっこいい姿を見られるし、どんどん強くなっていくのは心強いのだけれど。乱闘を引き合いに出されたらどうしようもないでしょう?
乱闘以外の時でも、ピットをはじめとした他の参加者と話し込んでる姿を見たわ。それに、他社のソニックやスネークとも交友を深めているようね。男性だけじゃなくって、女性とも、何の隔てもなく話していたし。大人だけじゃないわ。子供達とも一緒に遊んでた。マリオってすごく人気者なのよ。私みたいなお姫様をいつでも助けてくれる優しい人だから。みんなにもそれが分かるのね、きっと。だからいつも、マリオの周りには誰かしらいるのよ。
でも私、ちょっと寂しいの。これって贅沢な悩みだって分かっているわ。でも、あんまりにもかまってもらえないと……ちょっと、ムカムカしちゃう。……………。なんてね。聞いてくれてありがとう。おかげでずいぶんすっきりしたわ。このことはマリオにはヒミツよ。」

クスリとマルスは笑っただけだった。が、ピーチはそれで満足したのか、その場を去って行った。マルスは、本当に愚痴られていたのか、実は自慢されていたのか、判断に苦しむと思った。





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