記念・リクエスト
理由が知りたい
「さぁリンク、今日こそは白状しなよ!」
事の発端はマルスのこの一言だった。今、オレは森の中に身を潜めている。そもそも、こうなったのは全部ターマスのせいだ。マルスが知りたがっていること、それはスマッシュブラザーズ集合の本当の理由。それをターマスはなぜかオレにだけ明かし、その上、マルスにそれをばらした。そのくせ、俺には黙っていろと言う。だったら全部黙っておいてくれたらよかったのに。リンクは深くため息を吐いた。ここにいれば見つかることはそうそうないだろう。問題は夕食時だ。どうするかな……。リンクは頭を悩ませていた。
一方マルスは、リンクを完全に見失い、途方に暮れていた。こういうときだけ逃げ足が速いんだから……。全く、彼も早く観念したらいいのに。マルスは手を顎にあてて考える。闇雲に探したって見つからないかな。これは聞き込みをするしかない。
そこへトレーナー達が通りがかった。丁度いいところに、と思いながらトレーナーを呼び止める。呼ばれたトレーナーは、振り返ると嫌そうな顔をした。……なんでそんな顔されなきゃいけないかな。その答はすぐに得られた。
「マルス……またリンクをいじめているの?」
そんな認識をされていたのかと苦笑する。確かに一方的に詰め寄っていたけれど、断じていじめのつもりはない。
「そんなつもりはないんだけど……。」
「そう?リンクにだって秘密の一つや二つあるんだろうから、あんまり責めないでね。」
再び苦笑する。それが、この組織の結成理由だと知ったら、トレーナーは何て言うのだろうか。
「ほどほどにしておくよ。ところで、リンクの居場所を知らないかい?」
トレーナーはため息を吐いた。
「言っても無駄みたいだね……。でも、リンクがどこにいるかは知らないよ。」
「本当に?今の流れだと、ウソをついていても」
「マルスにウソが通じると思うほど馬鹿じゃないよ。」
マルスの疑惑は一刀両断された。リンクに会っても責め立てないでね、と念を押してからトレーナーは去っていった。マルスは弱ったなぁと頭をかいた。
次にマルスが会ったのはフォックスだった。
「フォックス、リンクがどこにいるか知っているかな?」
フォックスはマルスをまじまじと見た後、ため息を吐いた。
「お前また、リンクと駆け引きしているな?」
「そんなに有名かな、僕らのやっていること。」
「まぁ……お前らしょっちゅう言い合ったり追いかけっこしたりしてるからな。ある種の名物だぞ。」
マルスは額に手を当てた。これじゃ、僕らは見世物みたいじゃないか。が、マルスは本来の目的をすぐに思い出した。
「で、どこにいるのかは?」
フォックスは黙り込んだ。マルスはおや、と思う。これは知っているのではないか?
「フォックス?」
「……知らないな。」
ややあって、フォックスは答えた。が、怪しいとマルスは思った。
「知ってそうだけど?」
フォックスは再びため息を吐いた。そして腕を組む。
「リンクとは今日は会っていない。だから知らない。」
「だけど当てはある?」
マルスが問うと、フォックスは頭をかいた。
「ご名答。だが、俺はリンクの肩を持つぞ。」
「……そう。悪かったね、足止めして。」
マルスはその場を後にした。
夕食時、リンクはちゃんと姿を現した。見る人が見れば、少し怯えているようにも見える。マルスはリンクを認めたが、何も言わずに食事にありついた。
その後、リンクが部屋に戻ってくると、マルスが待ち構えていた。これ以上逃げ回るのは無理だと判断したリンクは、マルスに近づいていく。
「……俺は、話さないよ。」
連日繰り返される話せ、話さないのやりとり。いい加減、リンクは疲れ切っていた。表情からもありありとその様がうかがえる。
「話してさえくれれば、僕も君を追い詰めたりしないよ。」
対して普段と変わりのないマルスはリンクに解決策を示す。あたかもそれが唯一の解決策であるかのように。が、リンクは首を振った。
「頼まれたから……それは、無理。……いつかターマスが話すと思うから、それまで待ってよ。」
「待てないから聞いているんだ。」
リンクは押し黙った。早くこの地獄が終わってくれと言わんばかりだ。マルスはやれやれと手を挙げた。
「ターマスとの約束は、そんなに大事かい?」
「約束は守るためにあるのでしょう?だから、マルスに何て言われても……何て思われても、話さない。」
マルスはため息を吐いた。
「お人好し。」
「何とでも言って。」
投げやりにリンクは言った。二人はしばらく向き合ったまま黙っていた。我慢比べに近い。やがて、それに負けたのはマルスの方だった。
「分かったよ。もう君に直接聞いて困らせない。だけど、違うアプローチで調べさせてもらうから、そのつもりで。」
マルスはリンクの頭を撫でると、部屋に入って行ってしまった。リンクはホッと胸を撫で下ろした。
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「さぁリンク、今日こそは白状しなよ!」
事の発端はマルスのこの一言だった。今、オレは森の中に身を潜めている。そもそも、こうなったのは全部ターマスのせいだ。マルスが知りたがっていること、それはスマッシュブラザーズ集合の本当の理由。それをターマスはなぜかオレにだけ明かし、その上、マルスにそれをばらした。そのくせ、俺には黙っていろと言う。だったら全部黙っておいてくれたらよかったのに。リンクは深くため息を吐いた。ここにいれば見つかることはそうそうないだろう。問題は夕食時だ。どうするかな……。リンクは頭を悩ませていた。
一方マルスは、リンクを完全に見失い、途方に暮れていた。こういうときだけ逃げ足が速いんだから……。全く、彼も早く観念したらいいのに。マルスは手を顎にあてて考える。闇雲に探したって見つからないかな。これは聞き込みをするしかない。
そこへトレーナー達が通りがかった。丁度いいところに、と思いながらトレーナーを呼び止める。呼ばれたトレーナーは、振り返ると嫌そうな顔をした。……なんでそんな顔されなきゃいけないかな。その答はすぐに得られた。
「マルス……またリンクをいじめているの?」
そんな認識をされていたのかと苦笑する。確かに一方的に詰め寄っていたけれど、断じていじめのつもりはない。
「そんなつもりはないんだけど……。」
「そう?リンクにだって秘密の一つや二つあるんだろうから、あんまり責めないでね。」
再び苦笑する。それが、この組織の結成理由だと知ったら、トレーナーは何て言うのだろうか。
「ほどほどにしておくよ。ところで、リンクの居場所を知らないかい?」
トレーナーはため息を吐いた。
「言っても無駄みたいだね……。でも、リンクがどこにいるかは知らないよ。」
「本当に?今の流れだと、ウソをついていても」
「マルスにウソが通じると思うほど馬鹿じゃないよ。」
マルスの疑惑は一刀両断された。リンクに会っても責め立てないでね、と念を押してからトレーナーは去っていった。マルスは弱ったなぁと頭をかいた。
次にマルスが会ったのはフォックスだった。
「フォックス、リンクがどこにいるか知っているかな?」
フォックスはマルスをまじまじと見た後、ため息を吐いた。
「お前また、リンクと駆け引きしているな?」
「そんなに有名かな、僕らのやっていること。」
「まぁ……お前らしょっちゅう言い合ったり追いかけっこしたりしてるからな。ある種の名物だぞ。」
マルスは額に手を当てた。これじゃ、僕らは見世物みたいじゃないか。が、マルスは本来の目的をすぐに思い出した。
「で、どこにいるのかは?」
フォックスは黙り込んだ。マルスはおや、と思う。これは知っているのではないか?
「フォックス?」
「……知らないな。」
ややあって、フォックスは答えた。が、怪しいとマルスは思った。
「知ってそうだけど?」
フォックスは再びため息を吐いた。そして腕を組む。
「リンクとは今日は会っていない。だから知らない。」
「だけど当てはある?」
マルスが問うと、フォックスは頭をかいた。
「ご名答。だが、俺はリンクの肩を持つぞ。」
「……そう。悪かったね、足止めして。」
マルスはその場を後にした。
夕食時、リンクはちゃんと姿を現した。見る人が見れば、少し怯えているようにも見える。マルスはリンクを認めたが、何も言わずに食事にありついた。
その後、リンクが部屋に戻ってくると、マルスが待ち構えていた。これ以上逃げ回るのは無理だと判断したリンクは、マルスに近づいていく。
「……俺は、話さないよ。」
連日繰り返される話せ、話さないのやりとり。いい加減、リンクは疲れ切っていた。表情からもありありとその様がうかがえる。
「話してさえくれれば、僕も君を追い詰めたりしないよ。」
対して普段と変わりのないマルスはリンクに解決策を示す。あたかもそれが唯一の解決策であるかのように。が、リンクは首を振った。
「頼まれたから……それは、無理。……いつかターマスが話すと思うから、それまで待ってよ。」
「待てないから聞いているんだ。」
リンクは押し黙った。早くこの地獄が終わってくれと言わんばかりだ。マルスはやれやれと手を挙げた。
「ターマスとの約束は、そんなに大事かい?」
「約束は守るためにあるのでしょう?だから、マルスに何て言われても……何て思われても、話さない。」
マルスはため息を吐いた。
「お人好し。」
「何とでも言って。」
投げやりにリンクは言った。二人はしばらく向き合ったまま黙っていた。我慢比べに近い。やがて、それに負けたのはマルスの方だった。
「分かったよ。もう君に直接聞いて困らせない。だけど、違うアプローチで調べさせてもらうから、そのつもりで。」
マルスはリンクの頭を撫でると、部屋に入って行ってしまった。リンクはホッと胸を撫で下ろした。
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