再び卒業検定に臨むこととなったマリオ。そこへフォックスがやってくる。

「……頼むから、今度こそ卒業してくれ。俺も他の仕事が溜まってきた。」

フォックスは憂鬱そうに言った。

「任せとけって！！」

一度卒業検定を失敗している割には、マリオは自信満々だった。その様子を見たフォックスは、本当に大丈夫か？と逆に不安になりながらも、口には出さず、こっそりため息をつくに留めた。

「では、始めます。車に乗って下さい。」

卒業検定のコースの途中で、運悪く、工事をしていた。嫌だなぁと思いながらも、マリオは車を進める。すると、交通整理をしていた人が、教習車、しかも検定中を見つけ、他の交通を止め、マリオに進むように合図した。

“ラッキー！！”

マリオはそれに従い、交差点があったが、止まることなく進もうとした。しかし……ガクンッ！突然車が止まった。今回は、マリオもすぐ、車が止まった原因が分かった。

「フォックス！！何でだよっ！！」

フォックスがまたしても補助ブレーキを踏んだのだ。だが、マリオが分かったのはここまでで、その理由までは理解できなかった。

「一時不停止。詳しくは追々話してやるから、とりあえず進め。待たせてる。」

ハッとしたマリオは、車を進めた。工事現場を過ぎたところで、フォックスは口を開いた。

「さっきの交差点は一時停止義務があった。標識もあっただろ。」

「そうだけどさ、手信号優先じゃねぇのか！？」

「あー………。」

フォックスの指摘に、マリオは反論する。マリオの言いたいことを理解したフォックスは、マリオの勘違いを正すべく、話し出した。

「あれはガードマンか作業員だろ。だから、あの手信号にそこまでの効力はない。」

「だけどお前、信号や標識より手信号って言っただろっ！！」

マリオはだんだんヒートアップしている。フォックスはあくまでも冷静に返した。

「いや、そんな言い方はしてないぞ。警察の指示の方が上だとは言ったが。警察官や交通巡査員の手信号だったら優先されるが、さっきのはそのどちらでもなかった。」

「だが、来いって……！！待たせてたし……！！」

それでもマリオは諦めきれず、反論を試みる。

「……気持ちは分かるけどな。でも、道路交通法優先だ。」

「じゃあ、じゃあ……っ！！」

マリオは更なる反論要因を探し出すことができず、受け入れるしかなくなった。

「はぁ、止められたってことはかなりの減点だよなぁ…。あー、もうっ！！」

「……………。」

フォックスは、今は何も言わないことに決めた。とりあえず、検定モードに戻る。

自動車学校に戻ってきた二人。車から降りて、マリオは恐る恐る聞いた。

「……結果はいつか聞いていいの？」

「中止。」

フォックスはこれ以上ない程短く答えた。

「え゛……。」

マリオはそれ以上言葉が出てこなかった。

「一時不停止は中止事項。ついでに言うと、検定員に補助ブレーキを踏まれたら、基本的に終わりだと思え。」

それだけ言うと、フォックスは戻っていった。しばらく固まっていたマリオだったが、金縛りが解けたとたん、叫んだ。

「Noooooo！！悪気はないの、分かるけど、ガードマンーー！！！」

その後、三度目の正直で、マリオは卒業検定をクリアした。





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