Go! Go! Driving School!!

路上教習も無事終えたマリオ。とうとう卒業検定に臨む。

「……卒検もお前なのね。」

フォックスの顔を見るなり、マリオは言った。それに対し、フォックスも眉を顰める。

「そんなうんざりした顔をするな。ターマスに言われているんだ。全部俺が担当しろって。それに、………いや、なんでもない。」

「なんだよ。気になるじゃないか。」

突然言いよどんだフォックスにマリオは先を促す。しかし、フォックスは無言を貫いた。

「なぁ、教えろよ。」

それでもマリオは要求する。

「おーい。」

なおも無言のフォックスにマリオは呼びかける。

「フォックス教官ー。」

……それはもう、うざったいくらいに。

「……うるさいな。知らない人だと妙に緊張するとか思ったが、お前にそんな心配無用だったと思い至っただけだ。」

フォックスはとうとう正直に話した。だが、マリオはがっかりした。

「……なーんだ。つまんね。」

フォックスは、だから言う気はなかったんだ、と思いながらため息を吐いた。しかし、気を取り直して表情を引き締めた。

「さて。今から始めるから、無駄な私語すんなよ。」

おちゃらけていたマリオも姿勢を正した。フォックスは、注意事項などを説明する。

「では、車に乗って下さい。」

そう言うと、フォックスは助手席に乗った。マリオは、きちんと手順を踏み、車に乗る。問題なく発進し、自動車学校を出発した。入校当初は滅茶苦茶な手順だった右左折も、しっかりと行う。踏切も安全確認等を怠らず、乗り越えた。踏切をこえ、よし、と思い窓を閉めた直後。ガクンッ!車が突然止まった。

「え?なんだなんだ!?故障!?」

マリオはパニックになる。

「違う。俺が補助ブレーキを踏んだ。」

対してフォックスは、至って冷静に告げた。マリオはポカンとフォックスを見た。それを説明要求だと分かっているフォックスは、

「前、見てみろ。」

と言った。マリオは言われた通り前を見る。車が止まったのは、横断歩道の前だった。そこを人が横断している。

「……いたか?横断している人なんて。待っている人はいたが。」

フォックスはそれを聞いてため息を吐いた。

「横断していなくても、横断しようとする人がいたら止まれ。歩行者保護。」

するとマリオは、合点のいった顔をした。

「あ……そーいや、歩行者に気をつけろってよく言われてたな……。」

「とりあえず、発進させろ。」

フォックスに言われ、横断歩道を確認すると、もう歩行者は渡り終えていた。

「あ、あぁ……。」

マリオは発進させた。

「……今から言うことに……いや、とりあえず最後までいくか。」

「え?」

「いや、気にするな。次の交差点を右折してください。」

マリオは不思議に思ったが、検定モードに戻ったフォックスに何も言えず、車を運転した。

そして、自動車学校に戻ってきて、車を降りた。

「なぁ、結果はいつ出るの?」

マリオはのびをしながら聞いた。

「あぁ。そのことだが。不合格。」

「はぁーー!?」

バッサリと言い捨てたフォックスに対し、マリオは叫んだ。それをうるさそうしながら、フォックスは言う。

「歩行者保護は中止事項だ。」

「ちゅ、中止だとぉ!?おい、なんでそれ、すぐ言わなかった!?」

マリオはフォックスに掴みかからん勢いだ。だが、フォックスは慣れたように答える。

「言ったら運転どころじゃなくなるだろ、お前。中止後も、一応コースは走らなきゃならないし。気付いていないようだったから、黙っていた。」

フォックスの最もな言い分に、マリオは大人しくなった。フォックスを伺う。

「……じゃあ、卒検やり直し?」

「その前に、技能1回受けてからな。じゃ、がんばれ。」

フォックスはその場を後にした。

「そ、そんなぁ……。」

マリオの悲痛な声がこだました。




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