Go! Go! Driving School!!

マリオは後ろにルイージを乗せ、バイクを運転していた。街を離れ、田舎の方にやってきていた。周りは田園が広がり、目の前の道には自分達以外の交通はない。ふとマリオは自動販売機に気付き、その前にバイクを止めた。

「ルイージ、ちょっと休憩しようぜ。」

マリオはエンジンを切り、ヘルメットをとりながら言った。

「うん、僕も丁度咽が乾いていたんだ。」

ルイージはバイクから降り、ヘルメットを外した。

「何を飲もうかなぁ。」

言いながら、ルイージは自動販売機に歩み寄る。

「あ、ルイージ、俺、オレンジジュースな。」

「はいはい。」

ルイージは自動販売機の前で少し迷ったが、結局オレンジジュースを2本買った。1本をマリオに渡す。

「サンキュ。」

マリオは蓋を開けると、ゴクゴクと飲み干した。

「フハー、生き返る!!」

「おおげさだよ……。」

なんてことを言いながら、ルイージもオレンジジュースに口をつけた。

「あ、そうだ。ねぇ、兄さん。バイクを運転するってどんなカンジ?」

「あー……そうだなー……。」

ルイージの質問にどう答えようかと考えながら、マリオは空を仰ぎ見た。しばらく考えていたが、マリオはバイクを一瞥し、ルイージに向き直ると、言った。

「うん、座ってみる?」

「ええっ!?いや、いいよ!!」

マリオの提案に、ルイージは身を下げ、胸の前で大きく両手を振った。その様子にマリオはケラケラと笑いながら、更に言う。

「動かさなきゃ大丈夫だって。ほら、座ってみろよ。」

マリオは持っていた空き缶をゴミ箱に投げ入れると、バイクの運転席をポンポンと叩いた。ルイージはバイクとマリオを交互に見た。どうしようかと迷ったが、興味はある。本当に運転するわけではないし、大丈夫か、と思い至り、座ってみることにした。ルイージは、オレンジジュースを飲み干すと、ゴミ箱に捨て、ヘルメットを持ったまま、運転席に座った。マリオがルイージの横に立った。

「どうだ?」

「……あんまり実感わかないや。」

「ハハッ、そうだよなぁ。あ、触らないけど、一応説明してやるよ。コレがエンジンキーで――」

マリオが1つ1つ丁寧に説明する。ルイージはそれを熱心に聞いていた。



しばらく二人で熱中していると、エンジンの音がした。音の方を見ると、1台のパトカーがやってきていた。

「へー、こんな辺鄙なとこまでパトロールか。偉いな。」

マリオが言うと、パトカーが近くで止まった。マリオとルイージは顔を見合わせて首を傾げた。すると、パトカーの窓が開いた。

「こんにちは。休憩中ですか?」

その警察官はニコニコしながら話しかけてきた。

「あぁ。結構長いこと走ってきたもんで。」

警察官の顔を見て、ただ話しかけてきただけであろうと踏んだマリオは、愛想よく返事した。

「そうですか。走る時はちゃんとヘルメットをしてくださいねー。ま、持っているのを見る限り、心配いらないでしょうが、職業柄、一応声掛けしないといけないんです。」

「あ……ご苦労様です。」

「いえいえ。あぁそうだ。念のため、免許証を見せていただけますか?これも一応決まりなので。」

面倒ですが、と付け加えながら警察官は言った。

「あぁ、そうか。警察も大変だなぁ。」

とマリオが免許証を差し出した。しかし、警察官は首を振った。

「あ、いえ、あなたではなくて、緑の服の方の免許証をお願いします。」

ルイージはパチクリと瞬きした。

「え……僕、持っていません。」

すると、ニコニコしていた警察官の顔が一気に曇った。

「……持っていない?」

そういうと、実はかけっぱなしだったパトカーのエンジンを切り、降りてきた。ルイージは更に困惑した。

「免許証を家に忘れてきたということでしょうか?」

「いえ、そうではなく……僕、バイクの免許取っていません。」

警察官の表情が険しくなった。

「……。このバイクは誰のですか?」

「俺のだ。」

マリオが訝しげに答えた。

「何か問題が?」

マリオが聞くと、警察官は頷いた。

「大問題です。まず、君、無免許運転。」

警察官は言いながら、ルイージを見た。

「えっ……。でも、座っただけで運転していない……。」

オロオロとルイージが言った。

「まだ未遂ですが、この状況では運転しようとしていたように見えます。そして、」

警察官はマリオの方を見た。

「君は、無免許運転の幇助。」

「は……?おい、待てよ!!座らせただけで、運転してねぇのに、無免許運転なんて……っ!!」

「……詳しくは署の方で伺います。」



結局、ルイージは無免許運転となってしまった。そのため、マリオには無免許運転の幇助が適用された。よって、マリオは……

「免許取り消しってどういうことだー!!しかも、二輪だけじゃなく四輪まで……っ!!」

という結果となった。




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