集合&結成!?スマッシュブラザーズ!!
メインはおそらくリンクとトレーナー!説明じみたことが多いです(はじめのうちは)
アイクファンは閲覧注意。
―――――――――――――
あるひっそりした所にできた、巨大な建物……その場所に何人かが訪れる……。
Mと書かれた赤い帽子をかぶった男性、ご存知マリオが玄関と思われる扉を開けた。
「おーい、誰かいるのかぁー!」
マリオは叫びながら、中に入った。
「お、おじゃましまーす………。」
マリオの隣から、背の高いLと書かれた緑の帽子をかぶった男性、ルイージが顔を覗かせた。
「誰もいないな……ここで合っているのか?」
「兄さん!見て、あそこ!」
ルイージは目の前の壁を指さした。
「……貼り紙……?」
2人は貼り紙に近づいた。ルイージが読み上げる。
「えーと………『ようこそ、世界の戦士達よ。そして、ここに来てくれたことに感謝する。こちらで来ることの分かっている者達が揃い次第、使いの者をそちらに向かわせる。いろいろ気になることはあるだろうが、それまでは待っていてほしい。因みに、その者が行くまでは自由にしていてくれ。』……だって。」
「……なんだよ………しばらく他の人を待て、か。」
ヒューン………ドン!外で物音がした。
「い、今の音……何?」
ルイージが呟いた。マリオは首を傾げた。すると、ガチャ、と扉が開いた。
「ポヨ?」
ピンクの丸い物体……いや、生き物=カービィが入ってきた。
「……参加者か?」
マリオは唖然としながらも問いかけた。カービィはニッコリ笑うと頷いた。
「……えっと……君は?」
ルイージが問いかけるも、カービィは無視し、走り出した。
「お、おい!どこ行くんだよ!」
マリオとルイージはカービィを追いかけた。
「ポヨ、ポヨ!」
マリオとルイージが追いつくと、カービィは何か食べていた。
「…食べ物……用意周到だな………。」
マリオは呆れて言った。
「見て!それぞれ名前が書いてある!」
ルイージはマリオのセリフは気にせず、自分の発見を伝えた。マリオは手に取って食べる。
「おいしいよね!」
「え!?」
マリオは思わず手にした食べ物を取り落とした。
“ピンク玉の言うことが分かるようになっている………?”
「兄さん?どうしたの?」
ルイージがマリオを心配そうに覗きこんだ。
「……ルイージ…食え。」
「え?」
ルイージは困惑しながらも、マリオに従った。
「キミ、ルイージっていうんだ。ボクはカービィ。よろしくね!」
「え…よ、よろしく…。」
“言葉が……分かる!?”
ルイージはかろうじて言葉を返した。カービィは気にせずにマリオに声をかける。
「そっちの赤い人は?」
「俺か?俺はマリオだ。よろしくな。」
マリオが言い終わったとき、扉が開いた。
「あれ?先客がいたみたいだね。」
1人の少年と人ではない生き物が5体入ってきた。
「ピッカ、ピカピィカ?」
「ゼニィ、ゼニゼェニィ!」
「うん。ゼニガメ、僕もそう思うよ。」
少年と生き物=ポケモンは話している。勇気を振り絞ってルイージが話しかけた。
「えっと…あなたはそれの言ってることが…」
「大体は分かるよ。僕はポケモントレーナーだから。」
ルイージの問を察してポケモントレーナー(長いので以下トレーナー)は人なつっこい笑顔で答えた。
「ポケモントレーナー!?じゃあ、そっちの5匹はポケモンか?」
「プリュ!」
マリオの質問にカービィより薄いピンクの可愛らしいポケモン=プリンが答えた。が……マリオ達には分からない。
「キミ達全員、早く何か食べて。何言ってるか全然分かんない。」
カービィが言った。が……
「………えっと……?」
逆にトレーナー達にはカービィが言ったことが分からない。見かねたルイージが多少(?)言い換えて言った。
「そこに食べ物があるでしょ。名前が書いてあるはずだから、それ、食べてよ。」
「ピッカァ……ピカッ?」
「いいけど……何で?って言ってるよ。」
トレーナーは最も有名なポケモン=ピカチュウの通訳をした。
「それを食べると、お互いの言ってることが分かるようになる。」
マリオが説明した。トレーナーとポケモン達は食べた。
「…何か変わったか?」
大きな赤いドラゴンのようなポケモン=リザードンが言った。それに背中に蕾を乗せたポケモン=フシギソウが答える。
「変わってるよ!」
「……僕にしてみれば、あまり変わってないんだけど……。」
困ったようにトレーナーが呟いた。それを聞いたカービィが声を出す。
「ボクが話したら、違いは分かる?」
「…………あ!」
トレーナーは納得したらしく、頷いた。カービィは満足げに頷き返した。
「…ところで…そっちの5匹は?」
ルイージが聞いた。すると、それぞれが思い思いに答える。
「僕、ピカチュウ!」
「私、プリン。」
「ゼニガメだよ!」
「フシギソウっていうんだ。」
「………リザードンだ。」
「逆に聞くけど、君たちは?」
「俺はマリオ。緑のはルイージで、そっちのはカービィ。詳しい自己紹介は後でな。貼り紙、見ただろ?」
トレーナーの質問にマリオが一気に答えた。トレーナー達は頷いた。
しばらくすると、再び扉が開いた。金髪碧眼で全身緑の青年=リンクが入ってきた。
「君も参加者?」
ルイージが話しかけた。が、リンクは首を傾げた。困ったような顔をしている。
「首を傾げられてもなぁ………。」
マリオが呟いた。
「もしかして、言葉が分からない、とか。」
「……そのような気がするな。」
カービィにリザードンが同調した。それを聞いて、トレーナーは食べ物の方に歩み寄った。
「これ………」
トレーナーはよく解らない文字の書かれたものを指さした。
「君………?」
そして、リンクを指さし、首を傾げた。リンクは頷いた。
「えい!」
ピカチュウが掛け声とともに机に飛び乗った。解らない文字のところから1つ取り、リンクに差し出した。リンクは受け取った。食べ物だと分かったらしく、それを食べる。
「……何だ…コレ……違う言葉が…一気に…頭の中に…………!」
リンクはうずくまってしまった。
「だ……大丈夫?」
フシギソウが心配そうに覗きこんだ。リンクは頷いて、しばらくしてから立ち上がった。
「もう…僕達が何を言ってるのか、分かる?」
トレーナーが話しかけた。リンクは1つ頷いて答える。
「うん……何か、一気にたくさん、勉強させられた気分だよ………。」
「僕が食べた時はそんな感じしなかったけど……。」
ルイージが呟いた。それを聞いたマリオは自分もルイージと同意見だと感じ、カービィに尋ねた。
「カービィはどうだ?」
「別に。少し前とは違う感じするけど、話してる言葉、同じだし。」
「で、お前も参加するのか?」
カービィの答に納得したのか、マリオはリンクに話しかけた。
「参加はするけど……こんなにのんびりしていていいの?」
「……大会、始まってないし、人も来てないからいいと思うけど?」
ルイージが答えた。リンクは驚いて、
「…………大会?」
とだけ返した。
「ところで、君の名前は?」
ピカチュウが最もなことを聞いた。
「え?……あぁ、オレはリンク。……そっちは?」
それぞれが名前を言った。
「ところで、皆はポケモン、持ってないの?」
トレーナーが聞いた。それにカービィが答える。
「持ってるわけないよ。あ!ボク、ポケモンの代わりとかじゃないからね!」
「おかしいなぁ……じゃあ、これ見てよ。」
トレーナーは招待状を取り出した。その場にいた人達は招待状を覗きこんだ。
『ポケモントレーナーの君へ
君はポケモントレーナーの代表に選ばれた。普段と違う、ちょっと変わった大会に出てみないか?もし、来てくれるのなら、ポケモンを3匹連れて、これに同封した地図に印した場所に来て欲しい。君の出場を希望する。
主催者より』
「…俺らは世界の人と手合わせしないか?だったが。ルイージ、そうだろ?」
驚いたマリオはルイージに確認した。
「うん。…兄さんの言う通りだよ。」
トレーナーの招待状を食い入るようにして見ていたリンクが顔を上げた。そして口を開く。
「…なら…これは……単なる、お遊び………?」
「そういうことになるね。」
当り前、というようにフシギソウが答えた。
「ハハハ……じゃあオレは、のせられてここに来ただけ………?」
「どういう意味?」
ゼニガメが聞いた。
「…オレは大会とか、そういうのに呼ばれて来たんじゃないんだ………。」
「じゃあ、何で来たの?」
今度はカービィが聞いた。
「……言えないよ。あまりにかけ離れた理由で呼ばれてたから………。」
「じゃあ、見せてよ。」
ルイージは大胆にも強行手段に出た。が、
「……見せたところで解らないと思う。」
と返されてしまった。
「なぜ?」
不満げにプリンが聞いた。
「じゃあそれ、読める?」
リンクは自分の名前が書かれたものを指さした。
リンクの質問にリンク以外は首を振った。
「全然分からない。本当なら、リンクって書いてあるんだよね?」
トレーナーの問にリンクは頷いた。
「じゃあ、これは何て書いてあるの?」
言いながらゼニガメは、リンクと書かれているはずのものとは別のものを指さした。それを見たリンクの顔が一瞬で変わった。
「それは………!」
「ゼルダです。」
答えたのはリンクではなく、女性の声だった。扉の方を見ると、ドレスに身を包んだ女性が2人立っていた。
「ゼルダ!何で!?」
「ピーチ!お前も来たのか!?」
リンクとマリオの声がはもった。あまりの大きさにリザードンは思わず耳を塞いだ。驚くマリオとリンクを見て、お姫様2人=ピーチとゼルダは困ったように顔を見合せた。
「私達が来ちゃいけない理由があるの?」
ピーチが少し不満げに言った。
「だってここ…トレーナー達はポケモンだけど、戦闘メインの大会だよ。」
ルイージの説明にリンク以外が頷いた。が、ゼルダがやんわりと言い返す。
「そのことならば、心配いりません。私達は観戦者として招かれていますから。」
「参戦は可能だと小さく書いてあったけどね!」
茶目っ気たっぷりにピーチが付け足した。それに、ゼルダが不思議そうに返す。
「……小さく、ですか?」
「あら、私だけ?……主催者さんの気遣いかもしれないわ。うちはキノじいがうるさいから。」
2人の会話が一段落したところで、リンクがゼルダに聞いた。
「ところで…ゼルダ。言葉………どうして?」
ゼルダは少し笑った。
「そのことは、私の方が驚いていたの。リンクの方こそ、どうして?私の場合、一国の王女として共通語を話せることは、必要不可欠なんだけど。」
「それ」
リンクは食べ物を指さした。
「……食べたら、一気に勉強させられたかのように、話せるようになった。」
「あら、美味しそうじゃない。私達もいただきましょう。」
ピーチにゼルダも同意し、2人は食べ物を口にした。それを見て、今まで黙っていたカービィは口を開いた。
「ボクの言ってること、分かるようになった?」
ゼルダはしばらくカービィを見ながら考えこんだ。
「……そうですか。この食べ物を食べることで、参加者はお互いの言っていることが分かるようになるのですね。」
「あぁ、そういうことだ。」
マリオが頷いた。
「ところで、この家、探検しない?これだけ大きいと、どこがどうなのか…。」
トレーナーが提案した。ピーチがそれに乗る。他の人達も同意していく。が、
「オレは残るよ。誰か来たとき、困るし。」
「私もここにいます。少し落ち着きたいので。」
とリンク、ゼルダは残ることになった。
「じゃあ、ここのことは2人に任せるね!」
ルイージの声を合図に皆は出ていった。しばらくして、リンクはゼルダに話しかけた。
「ねぇ、ゼルダ。君の招待状……見てもいい?」
「えぇ。構わないわ。どうぞ。」
ゼルダは招待状をリンクに差し出した。リンクは礼もそこそこにそれを受け取った。
『ゼルダ及びシーク様
○月×日にある特殊な大会を行う。都合がつくならば、大会に出場してもらいたい。もし、出場できないのならば、観戦者として顔を出していただきたい。場所については地図を同封する。あなたの参加を希望する。
主催者より』
読み終えたリンクはゼルダに返した。そして、無言で何かを考えこむ。
「ねぇ、リンク。あなたの心配は他の方とは違うみたいね。どうしたの?」
「オレは……世界が……ううん、やっぱりなんでもないよ。何か、あまりに違うことがオレのだけ書いてあったから、驚いてただけ。」
リンクははぐらかした。それに気付いているゼルダは追及しようと口を開いた。が、その時、扉が開き、青年が2人入ってきた。
「ゼルダ!君も参加者…いや、観戦者かな?」
青い髪をして、腰に剣をさげた優雅な雰囲気を漂わせる青年=マルスがゼルダに話しかけた。
「マルス……えぇ、私は観戦者、として来ました。場合によっては参加するかもしれませんが。」
「…どういう関係だ?」
大剣を背負った立派な体つきをした青年=アイクが割って入った。
「そうだね……国際的なお付き合いがある、というべきかな。」
慣れたように答えたマルスに、思わずリンクは聞いた。
「国際的な…というと、君はどこかの王?」
「いや。まだ王子、だよ。ところで…君は勇者、リンクだとお見受けするけれど?」
「え?そ、そうだけど……どうしてオレのことを?」
リンクはマルスの口から自分の名が出たことに驚き、たじろいだ。
「君のことはゼルダによく聞いていたからね。あ、そうそう。この人はアイクだ。」
マルスの紹介にアイクは会釈した。
「……お見知りおきを。」
「ふぅ、向こうは部屋ばっかりだったな。ざっと40くらいはあるか。」
マリオとルイージ、そしてカービィは先ほどの部屋を出て、少し歩き回った後、玄関のところへ戻ってきていた。その途中で部屋をたくさん見てきたらしい。
「40かぁ……それくらいの人が集まってくる、っていうことだね。」
ルイージが言った時、扉が開いた。
「こんにちは~!」
「だ、誰かいますかぁ………?」
少年が2人、1人は元気よく、もう1人はおどおどしながら入ってきた。1人目は赤い帽子をかぶってバットを背負っており、2人目は金髪でヘビを連れている。そんな2人にカービィが飛び出した。
「こんにちは!」
「う、うわぁ!」
金髪の少年は数歩下がった。
「……オーバーだな……。」
マリオは思わず呟いた。それに気付かずにカービィは2人に質問する。
「2人とも参加者?」
「そうだよ。ぼくはネス。よろしくね!」
帽子をかぶった少年=ネスが答えた。
「よろしく。僕はルイージ。そっちはマリオで、こっちはカービィ。…君は?」
「ぼ、僕はリュカ…。よ、よろしくね。」
ルイージの問に金髪の少年=リュカは緊張したように答えた。
「ところで、お前らはカービィの言ってることが分かるのか?」
マリオが聞いた。
「まぁね。」
ネスは短く答えた。すると、再び扉が開いた。ネクタイをしたゴリラと帽子をかぶったサルが入ってきた。ゴリラはマリオを見て、表情を緩めた。
「マリオじゃないか!久しぶりだな!」
「ドンキー!お前も参加するのか!」
マリオも嬉しそうにゴリラ=ドンキーに答えた。ドンキーは頷いた。
「ルイージもいるね!因みに、僕も参加するよ!」
「ディディ!久しぶり。」
ドンキーの隣から話しかけてきたサル=ディディにルイージが答えた。仲良く話しているのを見て、カービィはマリオの服を引っ張った。
「えっと……知り合い?」
「そうだ。……こいつらが来たら、あいつも来るかな…………。」
マリオはカービィへの答もそこそこに1人考えこんだ。そんなマリオにドンキーが質問を投げかける。
「オイ、マリオ!このピンクの言ってることが分かるのか!?」
「あぁ、そっか。ドンキー、ディディ、向こうの部屋き食べ物があるから、食べてきてよ。」
ルイージはそう言いながら、始めに入った部屋の方を指さした。それにディディが反応する。
「食べ物!?バナナあった?」
「忘れた。自分で見てこいよ。ネス、リュカ、お前らも食べに行ったらどうだ?休憩がてら。」
マリオはディディに気のない返事をしつつ、ネスとリュカに提案した。
「うん、そうするよ。行こう、リュカ。」
ネスはそう返すと、リュカと一緒に歩いていった。
「俺らも行くか。」
ドンキーが言うと、ディディもついていった。静かさが戻った頃、また扉が開いた。緑の恐竜が顔を覗かせた。
「こんにち……マリオにルイージ!」
恐竜は嬉しそうに1回跳ぶと、入ってきた。
「ヨッシー!君も呼ばれてたんだね!」
「やっぱり来たな!」
マリオとルイージが同時に叫んだ。恐竜=ヨッシーは丁寧にも2人にきちんと反応した。
「うん、呼ばれたよ!…マリオ、やっぱりって?」
「ドンキーやディディ、ピーチも来てる。だから、お前も来るんじゃないかと思ってな。」
マリオはにやけながら答えた。
「僕達も皆の所に行こう。ヨッシー、向こうに食べ物もあるよ。」
「食べ物!?わぁーい!」
ヨッシーとルイージは行ってしまった。今まで蚊帳の外だったカービィがつまらなそうに呟く。
「ボクは言葉が通じないからしゃべれない………。」
「まぁまぁ、カービィ。全員が何か食べるまでの辛抱だ。」
マリオとカービィはそんなことを言いながら、ルイージ達に続いた。
「……大きな広間にパソコンのある部屋、そことは別にコントロール室と会議室。残ったのは……この部屋、か。」
一方、トレーナーとポケモン達は2階を見て回っていた。そして現在は、最後に残された部屋の前で話し合っていた。
「なんだろう、この部屋。」
中の様子を少しでも探ろうと耳を扉につけながら、ピカチュウが言った。
「お風呂とか?」
ゼニガメが扉の前を忙しなく動きながら言った。
「そういうのは普通一階よ。面倒じゃない。」
トレーナーの隣からプリンが言った。
「……決まってないと思うけど……。」
プリンとは反対側に座っていたフシギソウがつっ込んだ。そんな一行に呆れたリザードンから一言。
「さっさと入った方が早いと思うが。」
そして彼らは中に入った。
中は広い空間が広がっているだけだった。
「…何?ここ。ここも何もないじゃない。」
プリンが膨れた。
「あそこに何かボタンがあるよ。」
ピカチュウは入り口近くの壁を指さした。すると、
「押しちゃえ!」
とゼニガメがボタンの方へ走って行く。
「おい待て!ゼニガメ!」
リザードンが制止するも、ゼニガメはジャンプしてボタンを押してしまった。
「…やっちゃった…。」
トレーナーは額に手をあてて、少しうつむいた。そんなトレーナーを慰めようとフシギソウは立ち上がって歩き出した。が、ふと目に入った物が気になって動きを止める。
「……!見て!上が開いていくよ!」
みんなは上を見る。
「なんか…飛んでない?」
ピカチュウが不安そうに呟いた。
「ホントだ!飛んでる飛んでるー!!」
相変わらずゼニガメははしゃいでいる。
“……こっちへ……向かって来てる?”
大儀そうに上を見上げたトレーナーだったが、ハッとすると叫んだ。
「みんな、こっちへ!!」
ポケモン達はわけがわかっていなかったが、トレーナーに従った。すると、二機の戦闘機が降りてきた。中から人(?)が出てきた。
「キツネに……トリ?」
プリンが呟いた。プリンの言う通り、降りて来たのは、二足歩行する動物だった。
「何言ってんだぁ?こいつ。」
青い鳥=ファルコが変な物を見るように(実際ファルコにとっては変な物だが)プリンを見た。
「…トリの癖に人間の言葉話してる……。」
プリンはまた、呟いた。
「プリプリうるせぇな……悪口言ってなきゃいいが。」
「……正解……。」
ファルコの言いぐさにフシギソウはぼそりと漏らした。が、幸か不幸か、ファルコはポケモンの言葉を解していないようだった。
「ファルコ、そうマイナスに考えるな。大方、こいつも出場者だろう。」
キツネ=フォックスがファルコをなだめた。その会話を聞いて、危険はないと判断したトレーナーは戦闘機の影から出た。
「そうだよ。その子はプリン。ちなみに僕は、ポケモントレーナー。」
「……ポケモン?あぁ、なるほど。こいつはお前のか?」
トレーナーの突然の登場に驚く事もなく、ファルコは応じた。
「違う。プリンとピカチュウ」
トレーナーはピカチュウを指した。
「は単独で出る。後の三匹は僕と一緒だけど。」
「そうか。俺はフォックス。こいつはファルコ。俺らは」
「ストップ。」
トレーナーは苦笑いしながら遮った。
「詳しい自己紹介は後で聞くよ。後何人くるのか分からないから。」
それにファルコは同調した。
「そうだな。何度も繰り返すのはごめんだ。」
そして、憎まれ口を叩く。それを無視してフォックスは聞いた。
「……現時点で何人来ているんだ?」
「僕の知っている限りでここにいる人を除くと…………六人。」
あぁ、意外と少ない。トレーナーは内心思った。
「……まだそんだけかよ……ったく、ホントに面白くなるんだろーな?」
「まだ分からないだろ?」
フォックスとファルコが言い合っていると、もう一台入ってきた。
「……ここは結局、何の部屋なんだろう……。」
トレーナーは呟いた。
「ハッチだろ、普通に考えて。」
「ファルコ、俺達にとっては普通でも、他の人にとっても普通とは限らないだろ?」
その時、人が降りてきた。
「何かすごい人だ……。」
「うん。よく分からないけど、すごい。」
ピカチュウとゼニガメは失礼な事を言っている。それを聞いたリザードンはやれやれと首を振った。
“お前らな……言葉が通じないままの方がいいんじゃないか?”
が、何事もなかったかのようにフォックスが口を開いた。
「お前も出場するのか?」
“言葉分からないから普通にスルーできるんだろうけど……。”
トレーナーはポケモン達を見ながら苦笑するしかなかった。
「あぁ、そうだ。俺はキャプテン・ファルコン!お互い賞金目指して頑張ろうぜ!」
すごい人(笑)=ファルコンが言った。
「……何言ってんだぁ?賞金?」
ファルコが食ってかかった。すると、ファルコンは唖然とする。
「ん?違うのか?」
そこでトレーナーは、招待状の内容が何故か違っていた事を思い出した。
「……招待状に書いてあった事の細かい違いは気にしない方がいいよ。みんな違うみたいだから。」
“……細かくねぇだろ!”
口まで出かかったつっこみを、フォックスはかろうじて押しとどめた。その時、また一台入ってきた。
「……また来たね。」
フシギソウが言った。トレーナーは頷いた。
「そうだね。……今度はどんな人が降りてくるんだろう?」
「生き物じゃなかったりして。」
ピカチュウが冗談めかして言う。すると、リザードンは溜息を吐いた。
「……お前ら一度黙れ。」
トレーナーは再び苦笑した。その様子を見ていたファルコンがトレーナーに聞いた。
「お前……こいつらの言ってる事が分かるのか?」
「うん。僕は、ポケモントレーナーだから。」
「何て言ってるんだ?」
興味を持ったらしいフォックスが少し乗り出すように聞いた。
「……知らない方がいいと思う。」
それに反応したのはフォックスではなくファルコだった。
「! やっぱ俺の事悪く言ってんじゃないのか!?」
「……今のは、違う。」
「……なんか引っかかる言い方だな……。」
不満は残ったらしいが、ファルコはそれ以上、追求しなかった。そうこうしているうちに、何か(?)が降りてきた。
「……ここが大会の会場で……あなた達は出場者、であってるかしら?」
「女の人のロボットだぁ!」
プリンが歓喜の声を上げた。
「………黙れ。」
うんざりしたようにリザードンは言う。
「あぁそうだ。お前もだな?」
ファルコンが返した。
「えぇ。私はサムス・アラン。…ところで、着替える所はないかしら?スーツだと暑くって……。」
「え!それ、スーツなの!?」
「……スーツなのか?」
ゼニガメとファックスが言ったのはほぼ同時だった。
「あら、だったら何だと思ったの?」
「ロボットか何かだと……。」
プリンが答えたが、サムスには分からなかった。他の人は何も言おうとしなかった。
「まぁいいわ。それで?場所はあるの?」
「……二階は広い部屋しかなかったけど……一階に個室があるんじゃないかな?」
トレーナーが答えた。するとフォックスが提案する。
「なら、ひとまず一階に行こう。他の人とも顔合わせしたいしな。」
一行は移動した。
その頃、ピーチはマリオ達とは反対方向に来ていた。
「んんん……これ、何かしら?」
突き当たりには、大きな扉が1つあった。ピーチは入ろうと試みる。が、入れなかった。
「建設中って書いてはあるけど……見てみたいわ♪」
ピーチはもう一度試みる。が、今度は飛ばされた。
「……出来てからのお楽しみってこと?もう、しょうがないわねぇ………。」
ピーチはとぼとぼと来た道を引き返した。
ピーチが玄関にたどり着くと、また何人か来ていた。
「あなた達も参加者?」
ピーチは迷わずに話しかけた。すると、いかにも天使です、というような羽を生やした少年が答えた。
「うん、そうだよ。だけど………。」
「「なんか、内容が違うんだよねー。」」
天使を引き継いで、厚着をした男女の子供が言った。
「大体の奴は戦闘なんだがな。」
と、迷彩服を着た男性が続け、
「俺は競争だったんだぜ。」
と青いハリネズミがしめた。
「ところで……皆さん、どちら様ですか?」
宇宙服を着た小さめの男性が聞いた。自己紹介がまだだったらしい。それぞれが名前だけを言った。天使がピット、厚着した子供で、男の子がポポ、女の子がナナ、宇宙船を着た人がオリマー、残った人間がスネーク、ハリネズミがソニックだった。一通り名前を聞くと、ピーチは提案した。
「他の人奥にいるから、まずそっちに行かない?」
「……もっと早く言ってよ。行こう。」
ピットの声を合図に動き出した。
全員が部屋で食べ物を食べた後、1人の人が入ってきた。
「君も参加者?」
マルスが声をかけた。一見、どこにでもいそうな男性は首を横に振った。
「違いますよ。私は使いの者です。貼り紙に書いてあったでしょう?」
「貼り紙?そんなものあったかしら?」
パワードスーツを脱いで寛いでいたサムスが疑問の声を上げた。それを見たピカチュウはポン、と手をたたいた。
「あ、そっか。それ、玄関に貼ってあったから、ハッチから入った人は見てないんだ。」
「そんなものあったか?」
ドンキーがディディに聞いた。ディディは首を傾げた。それに同調するようにネスが続ける。
「ぼく達もさっさとこっちに来ちゃったから見てないや。」
そんな訳で、きちんと読んだ人が内容を伝えた。
「それで、これで全員集まってるんだな?」
マリオが確認した。
「いいえ。今日、都合のつかなかった方もいらっしゃるようですから。ただ、今日はもう来ませんよ。」
「じゃあ、自己紹介をしてもいい?全員集まるまで待ってたから……。」
トレーナーの言葉にそれぞれが頷いた。
「構いませんよ。どうぞ。」
使いの人はあっさりと許可した。
「じゃあ、俺からやるな。」
言いながら、マリオは立ち上がった。
「俺はマリオ。キノコ王国に住んでいる。元は配管工事が仕事だったんだが……今は冒険なんかが主だな。」
「マリオはよく、私を助けてくれるのよ。攫われるのがしょっちゅうだから。」
ピーチが横槍を入れた。サムスは少し眉をひそめた。
“……やっぱりお姫様ってそんなものね。”
「…まぁ、とにかく、よろしくな!」
マリオはピーチをスルーしてしめた。マリオが座るとルイージが話しだした。
「僕はルイージ。マリオの弟だよ。だから、キノコ王国出身なんだ。それで……僕も兄さんと一緒に配管工事をやってたりしたんだけど……やっぱり最近は出かける事が多いかなぁ…。取り敢えず、よろしく。」
すると、ピーチが立ち上がった。
「私はピーチ。キノコ王国のお姫様、って言ったら大体分かってくれるかしら?」
“分かるか!”
多くの人がこう思った。が、面倒なので口には出さない。
「詳しい事は追々ってことで。よろしくね♪」
ピーチはその場でクルリと回った。
“…なんて奴………。”
先が思いやられると一体何人思っただろうか。そんな中でも自己紹介は続いていく。
「僕はヨッシー!見て分かると思うけど、恐竜だよ!ヨッシーアイランドってところに住んでるんだ。仲間もいっぱいいるよ。色はみんな同じじゃないけど。よろしくね!」
「俺はドンキーゴング。コンゴジャングルからやってきた。俺はゴリラだ。サルじゃない。好物はバナナだ。よろしくな。」
「僕はディディゴングだよ。ドンキーと一緒に冒険するんだ。僕もバナナは大好き!よろしくね!」
「次はオレ……かな。オレはリンク。ハイラルってところから来た。オレは……勇者、ってことになってる。基本的には剣を使うけど、他にもいろいろな武器を使うよ。…よろしく…。」
リンクはぎこちなくお辞儀した。すると、ゼルダがリンクに向き直った。
「あらリンク、いくつか大事な事が抜けているわ。ハイラルを何度か救った事とか………。」
「お、大袈裟に言わないでよ……。」
「事実よ。……私はゼルダです。ハイラルの王女をしています。得意な事は魔法を使うことです。これから、よろしくお願いしますね。」
ゼルダはきれいに礼をした。
“…ゼルダこそ抜けてると思うんだけど………。”
リンクはため息を吐いた。
「俺はフォックス・マクラウド。スターフォックスっていう遊撃隊のリーダーをやっている。」
「まぁ、頼りにはならんがな。」
隣からファルコが野次を飛ばした。
“…今突っ込むな……!というより、変なこと言ってんじゃねぇ!”
フォックスは出てきかけた言葉をなんとか心の中に押し留めた。
「……見て分かると思うが俺は狐だ。特技は射撃。戦闘機もそれなりに乗れる。よろしくな。」
“こいつ、普通に流したぞ。……よく流せるよな……………。”
マリオは驚嘆の目でフォックスを見た。
「……俺はファルコ・ランバルディ。こいつのとこの戦闘員だ。暗いところは嫌いだ。一応トリだからな。戦闘方法は基本的にはこいつと変わらねぇ。ま、俺の方が強いけどな。」
「………さっきから黙って聞いていれば………!」
「やるか?」
フォックスが思わず出した声はファルコには聞こえたようだ。
「後にしなさい!……発言したついでに自己紹介するわ。私はサムス・アラン。宇宙では有名な方じゃないかしら?バウンティーハンターをしているの。普段はこの格好だけど、大会中は違うから。よろしく。」
「俺はキャプテン・ファルコン。レーサー兼バウンティハンターだ。力と足には自信がある。よろしくな。」
「ボクはカービィ。ポップスターから来たんだ。ボクの乗り物はワープスター!玄関から入った人は見たと思うけどね。一応星の戦士だから。よろしくね!」
「ぼくはネス。PSKっていう能力が使えるんだ。これを使って地球を助けたこともあるよ。後は…ヨーヨーや野球が得意かな。よろしくね!」
「ぼ、ぼくはリュカ。ぼくも、PSKっていうのが、使えるよ。……このヘビはぼくのペット。よ、よろしく…………。」
「僕は……ポケモントレーナーとか、ポケトレとか、トレーナーって呼んでよ。出身地はカントー地方のマサラタウン。ゼニガメ、フシギソウ、リザードンの3匹と今まで旅をしてたんだ。よろしくね。」
「それでぼくがさっき呼ばれたゼニガメ!水タイプでかめのこポケモン!よろしく!」
「僕がフシギソウだよ。草タイプのたねポケモン。よろしく。」
「…俺はリザードンだ。炎タイプでかえんポケモン。………よろしく。」
「次僕ね!僕はピカチュウ。電気タイプのねずみポケモン。足にも自信あるかな。僕のトレーナーはそこの人じゃないし、なぜか有名な さ のつく人じゃないよ。よろしくね!」
「私はプリン。ノーマルタイプよ。そして、ふうせんポケモン。寝ることが大好き。歌はもっと。私のトレーナーはお嬢様なの。よろしくね。」
「僕はアカネイア大陸にあるアリティア国の王子。名前はマルスというんだ。今まで戦争ばかりだったからね、戦いには慣れている。これからよろしく。」
「……俺はアイク。ある傭兵団の隊長をしている。こいつ」
アイクはマルスを指さした。
「とは訳あって知り合い、ここに連れてこられた。…………以後、よろしく。」
「僕はピット。見ての通り……なのかなぁ……天使だよ。武器はこの、パルテナの弓。よろしくね。」
「「僕/私 達はアイスクライマー。」」
「僕はポポ。」
「私はナナ。」
「山登りが大好きで」
「寒いのは平気。」
「僕達はいつも一緒にいるんだ。」
「私達、幼なじみなの。」
「「後、この服はポリシーだから。よろしくね!」」
“息がピッタリだな…。”
2人の素晴らしいコンビネーションに拍手した人もいた。
「私はホコタテ運送のオリマーと申します。結婚はしており、子供もおります。ここにいるのはピクミンと言いまして、私が遭難した際に助けてくれた生き物です。よろしくお願いします。」
「俺はソリッド・スネーク。普段は極秘任務などを遂行している。一応最新技術の物を使っている。遠距離は得意だな。よろしく。」
「俺はソニック!ソニック・ザ・ヘッジホッグ!冒険好きのただの青いハリネズミさ。ただ、足なら自信あるぜ。よろしくな!」
こうして、一通り自己紹介が終わった。
「全員終わりましたね。では………」
使いの人が立ち上がったときだった。
「質問タイムはー!?」
カービィから緊張感に欠ける声がとんだ。
「誰に対してだ?」
ファルコンは少々呆れたように聞いた。
「みんなに!だよね!?」
楽しげにゼニガメが答えると、カービィは大きく頷いた。
「他の奴への質問は後だ。まずは説明を聞こう。」
スネークが冷静に2人を静めた。フォックスも頷いて
「同感だな。」
と返した。すると、全員の目が使いの人に集まった。
「……まだ自己紹介は終わっていない。」
しばらく黙っていたリンクが静かに言った。優しげだった顔は険しいものになっている。そんなリンクにルイージはぽかんとしながら
「え?みんな終わったよ?」
と聞いた。それに答えたのはゼルダだった。
「いえ…1人だけやっておりません。」
そして、使いの人の方を見た。自然と全員の目が集まる。
「私は……ただの使い。何者でもございません。」
「……名前くらい教えてくれてもいいじゃないか。」
マルスが言った。
「名前……ですか。」
少しの間、使いの人は首をひねった。が、やがて、
「いいでしょう。私は……………ターマス、です。」
と少し不自然だったが、名前を明かした。
「ところで、この大会の主催者っていうのは何者なの?本人はどうして来ないわけ?」
サムスが聞いた。
“答えにくい質問ばかりをするなー!”
ターマスは顔には出さないものの、内心少々苛立っていた。
「主催者である方はご多忙でいらっしゃいます。そろそろ説明を始めさせてもらえませんか?」
それぞれが(喜んでか、渋々かは別として)頷いた。
「では。まず、ここにいらっしゃる皆さんは世界各地で――簡単に言えば――ヒーローをしている方々です。……口は挟まないでください。」
一部の人が何かを言いかけて止めた。
「皆さんに集まってもらった目的は、ここにスマッシュブラザーズを結成し、国際交流の架け橋となってもらうことです。そして……それぞれの力を試すことです。」
「……それだけ?」
リンクが低い声で聞いた。
「はい。それだけです。」
リンクの表情は益々険しくなった。そんなリンクを見ながら、ネスは首を傾げる。
“何でこの人はこんなに怒ってるんだろう……。………気持ちが核心に近づかないから分かんないや。”
「スマッシュブラザーズって何だ?」
マリオが最もなことを聞いた。が、ターマスは
「あなた方の事です。」
と当り前のように答えた。
「そうじゃなくて!!何のためのものだ?もとは何だ?」
イライラしながらも、フォックスが言葉を変えて聞いた。
「目的については先ほどお話しした通りです。もとについては何もありません。あなた方が集まってはじめて出来たのですから。ついでに言っておきますが、名前の由来なんていうのはないと思いますよ。」
“適当に決まってるだろ、そんなもん。”
ターマスは内心毒づいて、答えた。
“…なんて適当な……。”
マルスはこっそりため息をついた。
「大会についての説明に移ります。それは、一言で言えば、大乱闘です。」
「大乱闘!?戦うのか?ここにいるメンバーで!?」
リンクが声を荒げた。それにつられて、ヨッシーがヒステリックに叫ぶ。
「ちょ、ちょっと待ってよ!僕の招待状は早食い競争だったよ!?」
ターマスは驚きもせずに2人を見ながら、招待状の内容が違うのを思い出した。
「……そうでした。その事についてお詫びを言うのと説明が先でした。まず、現段階ではウソの書かれた招待状がございます。申し訳ありません。」
ターマスは深々と頭を下げた。
「オレは本当にのせられて来ただけなんだ……。」
「…現段階、というのはどういう意味だ?」
アイクが聞いた。
「いずれはそれも本当になる、ということです。しかし、今からは…それぞれの招待状の内容は他言しないよう、お願いします。因みにに、騙された等と思わないでください。」
ターマスは全員を一通り見た。
「じゃあ大乱闘について話してもらおうじゃないか。」
ファルコが言った。
「そうですね。……その前に移動しましょう。」
ターマスはパチンと指を鳴らした。みんながそれに気付いた時には場所が変わっていた。
「どこに移動させた!?」
ファルコンが怒鳴った。隣でトレーナーが周りを見ながら考え込んでいたが、やがて、
「……同じ家の中。確か………さっきのところの真上ぐらいだったと思う。」
と静かに答えた。すると、ゼニガメが納得したように跳ねる。
「あぁ!よく分からない大きなパソコンがあるだけの部屋!」
そして、そのままちょこまかと動き出した。迷惑がかかる前に、とリザードンはさっさとゼニガメを捕まえた。その時ついでに一発殴っておく。
「………おとなしくしていろ。」
が、ゼニガメは機嫌を損ねたようだった。
「いきなり殴るなんて酷いや!みず」
「戻れ!」
慌てたようなトレーナーの声と共に、ゼニガメ、リザードンはトレーナーの持つボールに入っていった。
“あらら………。”
フシギソウはその様子を見ながら呆れていた。
「……ごめん。気にせずに続けて。」
“つ、続けるの?いいの?それで?”
リュカは驚いてトレーナーを見上げた。けれど、トレーナーは目を伏せていて、それに気がつかなかった。ターマスは取り敢えず続けることにした。
「では。ここの位置はトレーナーの説明で理解していただけたと思います。ここはこの会場のメインルームです。」
「メインルーム?パソコンしかないけど?」
ディディが首を傾げながら尋ねた。
「このパソコンは高性能となっております。……コンピューター、応答せよ。」
ターマスが言うと、パソコンの画面が明るくなった。
「…はい、何でしょうか、マ」
「このように、このパソコンはこちらの話を理解し、返事をします。」
「すごいね!」
ピカチュウが感嘆の声を上げた。
“…今、あのコンピューターは何か言いかけてたような気が………。”
ピーチはコンピューターをじっと見つめていた。
「それで、さっきディディが言ってたように、一体どこがメインなのよ?」
サムスが憤慨して聞いた。
「このパソコンで大乱闘を行うのです。さて、コンピューター、ターマスめはここで待っていますので、大乱闘の説明を。」
「承知しました。では、ターマス様以外の方を認識します。少々お待ちください。」
パソコンの画面に認識中との表示が出た。それを見て、フォックスが警戒する。
「…何をする気だ?」
「完了しました。中に移ってもらいます。」
状況がイマイチ分からないまま、ターマス以外の全員が消えた。
.
アイクファンは閲覧注意。
―――――――――――――
あるひっそりした所にできた、巨大な建物……その場所に何人かが訪れる……。
Mと書かれた赤い帽子をかぶった男性、ご存知マリオが玄関と思われる扉を開けた。
「おーい、誰かいるのかぁー!」
マリオは叫びながら、中に入った。
「お、おじゃましまーす………。」
マリオの隣から、背の高いLと書かれた緑の帽子をかぶった男性、ルイージが顔を覗かせた。
「誰もいないな……ここで合っているのか?」
「兄さん!見て、あそこ!」
ルイージは目の前の壁を指さした。
「……貼り紙……?」
2人は貼り紙に近づいた。ルイージが読み上げる。
「えーと………『ようこそ、世界の戦士達よ。そして、ここに来てくれたことに感謝する。こちらで来ることの分かっている者達が揃い次第、使いの者をそちらに向かわせる。いろいろ気になることはあるだろうが、それまでは待っていてほしい。因みに、その者が行くまでは自由にしていてくれ。』……だって。」
「……なんだよ………しばらく他の人を待て、か。」
ヒューン………ドン!外で物音がした。
「い、今の音……何?」
ルイージが呟いた。マリオは首を傾げた。すると、ガチャ、と扉が開いた。
「ポヨ?」
ピンクの丸い物体……いや、生き物=カービィが入ってきた。
「……参加者か?」
マリオは唖然としながらも問いかけた。カービィはニッコリ笑うと頷いた。
「……えっと……君は?」
ルイージが問いかけるも、カービィは無視し、走り出した。
「お、おい!どこ行くんだよ!」
マリオとルイージはカービィを追いかけた。
「ポヨ、ポヨ!」
マリオとルイージが追いつくと、カービィは何か食べていた。
「…食べ物……用意周到だな………。」
マリオは呆れて言った。
「見て!それぞれ名前が書いてある!」
ルイージはマリオのセリフは気にせず、自分の発見を伝えた。マリオは手に取って食べる。
「おいしいよね!」
「え!?」
マリオは思わず手にした食べ物を取り落とした。
“ピンク玉の言うことが分かるようになっている………?”
「兄さん?どうしたの?」
ルイージがマリオを心配そうに覗きこんだ。
「……ルイージ…食え。」
「え?」
ルイージは困惑しながらも、マリオに従った。
「キミ、ルイージっていうんだ。ボクはカービィ。よろしくね!」
「え…よ、よろしく…。」
“言葉が……分かる!?”
ルイージはかろうじて言葉を返した。カービィは気にせずにマリオに声をかける。
「そっちの赤い人は?」
「俺か?俺はマリオだ。よろしくな。」
マリオが言い終わったとき、扉が開いた。
「あれ?先客がいたみたいだね。」
1人の少年と人ではない生き物が5体入ってきた。
「ピッカ、ピカピィカ?」
「ゼニィ、ゼニゼェニィ!」
「うん。ゼニガメ、僕もそう思うよ。」
少年と生き物=ポケモンは話している。勇気を振り絞ってルイージが話しかけた。
「えっと…あなたはそれの言ってることが…」
「大体は分かるよ。僕はポケモントレーナーだから。」
ルイージの問を察してポケモントレーナー(長いので以下トレーナー)は人なつっこい笑顔で答えた。
「ポケモントレーナー!?じゃあ、そっちの5匹はポケモンか?」
「プリュ!」
マリオの質問にカービィより薄いピンクの可愛らしいポケモン=プリンが答えた。が……マリオ達には分からない。
「キミ達全員、早く何か食べて。何言ってるか全然分かんない。」
カービィが言った。が……
「………えっと……?」
逆にトレーナー達にはカービィが言ったことが分からない。見かねたルイージが多少(?)言い換えて言った。
「そこに食べ物があるでしょ。名前が書いてあるはずだから、それ、食べてよ。」
「ピッカァ……ピカッ?」
「いいけど……何で?って言ってるよ。」
トレーナーは最も有名なポケモン=ピカチュウの通訳をした。
「それを食べると、お互いの言ってることが分かるようになる。」
マリオが説明した。トレーナーとポケモン達は食べた。
「…何か変わったか?」
大きな赤いドラゴンのようなポケモン=リザードンが言った。それに背中に蕾を乗せたポケモン=フシギソウが答える。
「変わってるよ!」
「……僕にしてみれば、あまり変わってないんだけど……。」
困ったようにトレーナーが呟いた。それを聞いたカービィが声を出す。
「ボクが話したら、違いは分かる?」
「…………あ!」
トレーナーは納得したらしく、頷いた。カービィは満足げに頷き返した。
「…ところで…そっちの5匹は?」
ルイージが聞いた。すると、それぞれが思い思いに答える。
「僕、ピカチュウ!」
「私、プリン。」
「ゼニガメだよ!」
「フシギソウっていうんだ。」
「………リザードンだ。」
「逆に聞くけど、君たちは?」
「俺はマリオ。緑のはルイージで、そっちのはカービィ。詳しい自己紹介は後でな。貼り紙、見ただろ?」
トレーナーの質問にマリオが一気に答えた。トレーナー達は頷いた。
しばらくすると、再び扉が開いた。金髪碧眼で全身緑の青年=リンクが入ってきた。
「君も参加者?」
ルイージが話しかけた。が、リンクは首を傾げた。困ったような顔をしている。
「首を傾げられてもなぁ………。」
マリオが呟いた。
「もしかして、言葉が分からない、とか。」
「……そのような気がするな。」
カービィにリザードンが同調した。それを聞いて、トレーナーは食べ物の方に歩み寄った。
「これ………」
トレーナーはよく解らない文字の書かれたものを指さした。
「君………?」
そして、リンクを指さし、首を傾げた。リンクは頷いた。
「えい!」
ピカチュウが掛け声とともに机に飛び乗った。解らない文字のところから1つ取り、リンクに差し出した。リンクは受け取った。食べ物だと分かったらしく、それを食べる。
「……何だ…コレ……違う言葉が…一気に…頭の中に…………!」
リンクはうずくまってしまった。
「だ……大丈夫?」
フシギソウが心配そうに覗きこんだ。リンクは頷いて、しばらくしてから立ち上がった。
「もう…僕達が何を言ってるのか、分かる?」
トレーナーが話しかけた。リンクは1つ頷いて答える。
「うん……何か、一気にたくさん、勉強させられた気分だよ………。」
「僕が食べた時はそんな感じしなかったけど……。」
ルイージが呟いた。それを聞いたマリオは自分もルイージと同意見だと感じ、カービィに尋ねた。
「カービィはどうだ?」
「別に。少し前とは違う感じするけど、話してる言葉、同じだし。」
「で、お前も参加するのか?」
カービィの答に納得したのか、マリオはリンクに話しかけた。
「参加はするけど……こんなにのんびりしていていいの?」
「……大会、始まってないし、人も来てないからいいと思うけど?」
ルイージが答えた。リンクは驚いて、
「…………大会?」
とだけ返した。
「ところで、君の名前は?」
ピカチュウが最もなことを聞いた。
「え?……あぁ、オレはリンク。……そっちは?」
それぞれが名前を言った。
「ところで、皆はポケモン、持ってないの?」
トレーナーが聞いた。それにカービィが答える。
「持ってるわけないよ。あ!ボク、ポケモンの代わりとかじゃないからね!」
「おかしいなぁ……じゃあ、これ見てよ。」
トレーナーは招待状を取り出した。その場にいた人達は招待状を覗きこんだ。
『ポケモントレーナーの君へ
君はポケモントレーナーの代表に選ばれた。普段と違う、ちょっと変わった大会に出てみないか?もし、来てくれるのなら、ポケモンを3匹連れて、これに同封した地図に印した場所に来て欲しい。君の出場を希望する。
主催者より』
「…俺らは世界の人と手合わせしないか?だったが。ルイージ、そうだろ?」
驚いたマリオはルイージに確認した。
「うん。…兄さんの言う通りだよ。」
トレーナーの招待状を食い入るようにして見ていたリンクが顔を上げた。そして口を開く。
「…なら…これは……単なる、お遊び………?」
「そういうことになるね。」
当り前、というようにフシギソウが答えた。
「ハハハ……じゃあオレは、のせられてここに来ただけ………?」
「どういう意味?」
ゼニガメが聞いた。
「…オレは大会とか、そういうのに呼ばれて来たんじゃないんだ………。」
「じゃあ、何で来たの?」
今度はカービィが聞いた。
「……言えないよ。あまりにかけ離れた理由で呼ばれてたから………。」
「じゃあ、見せてよ。」
ルイージは大胆にも強行手段に出た。が、
「……見せたところで解らないと思う。」
と返されてしまった。
「なぜ?」
不満げにプリンが聞いた。
「じゃあそれ、読める?」
リンクは自分の名前が書かれたものを指さした。
リンクの質問にリンク以外は首を振った。
「全然分からない。本当なら、リンクって書いてあるんだよね?」
トレーナーの問にリンクは頷いた。
「じゃあ、これは何て書いてあるの?」
言いながらゼニガメは、リンクと書かれているはずのものとは別のものを指さした。それを見たリンクの顔が一瞬で変わった。
「それは………!」
「ゼルダです。」
答えたのはリンクではなく、女性の声だった。扉の方を見ると、ドレスに身を包んだ女性が2人立っていた。
「ゼルダ!何で!?」
「ピーチ!お前も来たのか!?」
リンクとマリオの声がはもった。あまりの大きさにリザードンは思わず耳を塞いだ。驚くマリオとリンクを見て、お姫様2人=ピーチとゼルダは困ったように顔を見合せた。
「私達が来ちゃいけない理由があるの?」
ピーチが少し不満げに言った。
「だってここ…トレーナー達はポケモンだけど、戦闘メインの大会だよ。」
ルイージの説明にリンク以外が頷いた。が、ゼルダがやんわりと言い返す。
「そのことならば、心配いりません。私達は観戦者として招かれていますから。」
「参戦は可能だと小さく書いてあったけどね!」
茶目っ気たっぷりにピーチが付け足した。それに、ゼルダが不思議そうに返す。
「……小さく、ですか?」
「あら、私だけ?……主催者さんの気遣いかもしれないわ。うちはキノじいがうるさいから。」
2人の会話が一段落したところで、リンクがゼルダに聞いた。
「ところで…ゼルダ。言葉………どうして?」
ゼルダは少し笑った。
「そのことは、私の方が驚いていたの。リンクの方こそ、どうして?私の場合、一国の王女として共通語を話せることは、必要不可欠なんだけど。」
「それ」
リンクは食べ物を指さした。
「……食べたら、一気に勉強させられたかのように、話せるようになった。」
「あら、美味しそうじゃない。私達もいただきましょう。」
ピーチにゼルダも同意し、2人は食べ物を口にした。それを見て、今まで黙っていたカービィは口を開いた。
「ボクの言ってること、分かるようになった?」
ゼルダはしばらくカービィを見ながら考えこんだ。
「……そうですか。この食べ物を食べることで、参加者はお互いの言っていることが分かるようになるのですね。」
「あぁ、そういうことだ。」
マリオが頷いた。
「ところで、この家、探検しない?これだけ大きいと、どこがどうなのか…。」
トレーナーが提案した。ピーチがそれに乗る。他の人達も同意していく。が、
「オレは残るよ。誰か来たとき、困るし。」
「私もここにいます。少し落ち着きたいので。」
とリンク、ゼルダは残ることになった。
「じゃあ、ここのことは2人に任せるね!」
ルイージの声を合図に皆は出ていった。しばらくして、リンクはゼルダに話しかけた。
「ねぇ、ゼルダ。君の招待状……見てもいい?」
「えぇ。構わないわ。どうぞ。」
ゼルダは招待状をリンクに差し出した。リンクは礼もそこそこにそれを受け取った。
『ゼルダ及びシーク様
○月×日にある特殊な大会を行う。都合がつくならば、大会に出場してもらいたい。もし、出場できないのならば、観戦者として顔を出していただきたい。場所については地図を同封する。あなたの参加を希望する。
主催者より』
読み終えたリンクはゼルダに返した。そして、無言で何かを考えこむ。
「ねぇ、リンク。あなたの心配は他の方とは違うみたいね。どうしたの?」
「オレは……世界が……ううん、やっぱりなんでもないよ。何か、あまりに違うことがオレのだけ書いてあったから、驚いてただけ。」
リンクははぐらかした。それに気付いているゼルダは追及しようと口を開いた。が、その時、扉が開き、青年が2人入ってきた。
「ゼルダ!君も参加者…いや、観戦者かな?」
青い髪をして、腰に剣をさげた優雅な雰囲気を漂わせる青年=マルスがゼルダに話しかけた。
「マルス……えぇ、私は観戦者、として来ました。場合によっては参加するかもしれませんが。」
「…どういう関係だ?」
大剣を背負った立派な体つきをした青年=アイクが割って入った。
「そうだね……国際的なお付き合いがある、というべきかな。」
慣れたように答えたマルスに、思わずリンクは聞いた。
「国際的な…というと、君はどこかの王?」
「いや。まだ王子、だよ。ところで…君は勇者、リンクだとお見受けするけれど?」
「え?そ、そうだけど……どうしてオレのことを?」
リンクはマルスの口から自分の名が出たことに驚き、たじろいだ。
「君のことはゼルダによく聞いていたからね。あ、そうそう。この人はアイクだ。」
マルスの紹介にアイクは会釈した。
「……お見知りおきを。」
「ふぅ、向こうは部屋ばっかりだったな。ざっと40くらいはあるか。」
マリオとルイージ、そしてカービィは先ほどの部屋を出て、少し歩き回った後、玄関のところへ戻ってきていた。その途中で部屋をたくさん見てきたらしい。
「40かぁ……それくらいの人が集まってくる、っていうことだね。」
ルイージが言った時、扉が開いた。
「こんにちは~!」
「だ、誰かいますかぁ………?」
少年が2人、1人は元気よく、もう1人はおどおどしながら入ってきた。1人目は赤い帽子をかぶってバットを背負っており、2人目は金髪でヘビを連れている。そんな2人にカービィが飛び出した。
「こんにちは!」
「う、うわぁ!」
金髪の少年は数歩下がった。
「……オーバーだな……。」
マリオは思わず呟いた。それに気付かずにカービィは2人に質問する。
「2人とも参加者?」
「そうだよ。ぼくはネス。よろしくね!」
帽子をかぶった少年=ネスが答えた。
「よろしく。僕はルイージ。そっちはマリオで、こっちはカービィ。…君は?」
「ぼ、僕はリュカ…。よ、よろしくね。」
ルイージの問に金髪の少年=リュカは緊張したように答えた。
「ところで、お前らはカービィの言ってることが分かるのか?」
マリオが聞いた。
「まぁね。」
ネスは短く答えた。すると、再び扉が開いた。ネクタイをしたゴリラと帽子をかぶったサルが入ってきた。ゴリラはマリオを見て、表情を緩めた。
「マリオじゃないか!久しぶりだな!」
「ドンキー!お前も参加するのか!」
マリオも嬉しそうにゴリラ=ドンキーに答えた。ドンキーは頷いた。
「ルイージもいるね!因みに、僕も参加するよ!」
「ディディ!久しぶり。」
ドンキーの隣から話しかけてきたサル=ディディにルイージが答えた。仲良く話しているのを見て、カービィはマリオの服を引っ張った。
「えっと……知り合い?」
「そうだ。……こいつらが来たら、あいつも来るかな…………。」
マリオはカービィへの答もそこそこに1人考えこんだ。そんなマリオにドンキーが質問を投げかける。
「オイ、マリオ!このピンクの言ってることが分かるのか!?」
「あぁ、そっか。ドンキー、ディディ、向こうの部屋き食べ物があるから、食べてきてよ。」
ルイージはそう言いながら、始めに入った部屋の方を指さした。それにディディが反応する。
「食べ物!?バナナあった?」
「忘れた。自分で見てこいよ。ネス、リュカ、お前らも食べに行ったらどうだ?休憩がてら。」
マリオはディディに気のない返事をしつつ、ネスとリュカに提案した。
「うん、そうするよ。行こう、リュカ。」
ネスはそう返すと、リュカと一緒に歩いていった。
「俺らも行くか。」
ドンキーが言うと、ディディもついていった。静かさが戻った頃、また扉が開いた。緑の恐竜が顔を覗かせた。
「こんにち……マリオにルイージ!」
恐竜は嬉しそうに1回跳ぶと、入ってきた。
「ヨッシー!君も呼ばれてたんだね!」
「やっぱり来たな!」
マリオとルイージが同時に叫んだ。恐竜=ヨッシーは丁寧にも2人にきちんと反応した。
「うん、呼ばれたよ!…マリオ、やっぱりって?」
「ドンキーやディディ、ピーチも来てる。だから、お前も来るんじゃないかと思ってな。」
マリオはにやけながら答えた。
「僕達も皆の所に行こう。ヨッシー、向こうに食べ物もあるよ。」
「食べ物!?わぁーい!」
ヨッシーとルイージは行ってしまった。今まで蚊帳の外だったカービィがつまらなそうに呟く。
「ボクは言葉が通じないからしゃべれない………。」
「まぁまぁ、カービィ。全員が何か食べるまでの辛抱だ。」
マリオとカービィはそんなことを言いながら、ルイージ達に続いた。
「……大きな広間にパソコンのある部屋、そことは別にコントロール室と会議室。残ったのは……この部屋、か。」
一方、トレーナーとポケモン達は2階を見て回っていた。そして現在は、最後に残された部屋の前で話し合っていた。
「なんだろう、この部屋。」
中の様子を少しでも探ろうと耳を扉につけながら、ピカチュウが言った。
「お風呂とか?」
ゼニガメが扉の前を忙しなく動きながら言った。
「そういうのは普通一階よ。面倒じゃない。」
トレーナーの隣からプリンが言った。
「……決まってないと思うけど……。」
プリンとは反対側に座っていたフシギソウがつっ込んだ。そんな一行に呆れたリザードンから一言。
「さっさと入った方が早いと思うが。」
そして彼らは中に入った。
中は広い空間が広がっているだけだった。
「…何?ここ。ここも何もないじゃない。」
プリンが膨れた。
「あそこに何かボタンがあるよ。」
ピカチュウは入り口近くの壁を指さした。すると、
「押しちゃえ!」
とゼニガメがボタンの方へ走って行く。
「おい待て!ゼニガメ!」
リザードンが制止するも、ゼニガメはジャンプしてボタンを押してしまった。
「…やっちゃった…。」
トレーナーは額に手をあてて、少しうつむいた。そんなトレーナーを慰めようとフシギソウは立ち上がって歩き出した。が、ふと目に入った物が気になって動きを止める。
「……!見て!上が開いていくよ!」
みんなは上を見る。
「なんか…飛んでない?」
ピカチュウが不安そうに呟いた。
「ホントだ!飛んでる飛んでるー!!」
相変わらずゼニガメははしゃいでいる。
“……こっちへ……向かって来てる?”
大儀そうに上を見上げたトレーナーだったが、ハッとすると叫んだ。
「みんな、こっちへ!!」
ポケモン達はわけがわかっていなかったが、トレーナーに従った。すると、二機の戦闘機が降りてきた。中から人(?)が出てきた。
「キツネに……トリ?」
プリンが呟いた。プリンの言う通り、降りて来たのは、二足歩行する動物だった。
「何言ってんだぁ?こいつ。」
青い鳥=ファルコが変な物を見るように(実際ファルコにとっては変な物だが)プリンを見た。
「…トリの癖に人間の言葉話してる……。」
プリンはまた、呟いた。
「プリプリうるせぇな……悪口言ってなきゃいいが。」
「……正解……。」
ファルコの言いぐさにフシギソウはぼそりと漏らした。が、幸か不幸か、ファルコはポケモンの言葉を解していないようだった。
「ファルコ、そうマイナスに考えるな。大方、こいつも出場者だろう。」
キツネ=フォックスがファルコをなだめた。その会話を聞いて、危険はないと判断したトレーナーは戦闘機の影から出た。
「そうだよ。その子はプリン。ちなみに僕は、ポケモントレーナー。」
「……ポケモン?あぁ、なるほど。こいつはお前のか?」
トレーナーの突然の登場に驚く事もなく、ファルコは応じた。
「違う。プリンとピカチュウ」
トレーナーはピカチュウを指した。
「は単独で出る。後の三匹は僕と一緒だけど。」
「そうか。俺はフォックス。こいつはファルコ。俺らは」
「ストップ。」
トレーナーは苦笑いしながら遮った。
「詳しい自己紹介は後で聞くよ。後何人くるのか分からないから。」
それにファルコは同調した。
「そうだな。何度も繰り返すのはごめんだ。」
そして、憎まれ口を叩く。それを無視してフォックスは聞いた。
「……現時点で何人来ているんだ?」
「僕の知っている限りでここにいる人を除くと…………六人。」
あぁ、意外と少ない。トレーナーは内心思った。
「……まだそんだけかよ……ったく、ホントに面白くなるんだろーな?」
「まだ分からないだろ?」
フォックスとファルコが言い合っていると、もう一台入ってきた。
「……ここは結局、何の部屋なんだろう……。」
トレーナーは呟いた。
「ハッチだろ、普通に考えて。」
「ファルコ、俺達にとっては普通でも、他の人にとっても普通とは限らないだろ?」
その時、人が降りてきた。
「何かすごい人だ……。」
「うん。よく分からないけど、すごい。」
ピカチュウとゼニガメは失礼な事を言っている。それを聞いたリザードンはやれやれと首を振った。
“お前らな……言葉が通じないままの方がいいんじゃないか?”
が、何事もなかったかのようにフォックスが口を開いた。
「お前も出場するのか?」
“言葉分からないから普通にスルーできるんだろうけど……。”
トレーナーはポケモン達を見ながら苦笑するしかなかった。
「あぁ、そうだ。俺はキャプテン・ファルコン!お互い賞金目指して頑張ろうぜ!」
すごい人(笑)=ファルコンが言った。
「……何言ってんだぁ?賞金?」
ファルコが食ってかかった。すると、ファルコンは唖然とする。
「ん?違うのか?」
そこでトレーナーは、招待状の内容が何故か違っていた事を思い出した。
「……招待状に書いてあった事の細かい違いは気にしない方がいいよ。みんな違うみたいだから。」
“……細かくねぇだろ!”
口まで出かかったつっこみを、フォックスはかろうじて押しとどめた。その時、また一台入ってきた。
「……また来たね。」
フシギソウが言った。トレーナーは頷いた。
「そうだね。……今度はどんな人が降りてくるんだろう?」
「生き物じゃなかったりして。」
ピカチュウが冗談めかして言う。すると、リザードンは溜息を吐いた。
「……お前ら一度黙れ。」
トレーナーは再び苦笑した。その様子を見ていたファルコンがトレーナーに聞いた。
「お前……こいつらの言ってる事が分かるのか?」
「うん。僕は、ポケモントレーナーだから。」
「何て言ってるんだ?」
興味を持ったらしいフォックスが少し乗り出すように聞いた。
「……知らない方がいいと思う。」
それに反応したのはフォックスではなくファルコだった。
「! やっぱ俺の事悪く言ってんじゃないのか!?」
「……今のは、違う。」
「……なんか引っかかる言い方だな……。」
不満は残ったらしいが、ファルコはそれ以上、追求しなかった。そうこうしているうちに、何か(?)が降りてきた。
「……ここが大会の会場で……あなた達は出場者、であってるかしら?」
「女の人のロボットだぁ!」
プリンが歓喜の声を上げた。
「………黙れ。」
うんざりしたようにリザードンは言う。
「あぁそうだ。お前もだな?」
ファルコンが返した。
「えぇ。私はサムス・アラン。…ところで、着替える所はないかしら?スーツだと暑くって……。」
「え!それ、スーツなの!?」
「……スーツなのか?」
ゼニガメとファックスが言ったのはほぼ同時だった。
「あら、だったら何だと思ったの?」
「ロボットか何かだと……。」
プリンが答えたが、サムスには分からなかった。他の人は何も言おうとしなかった。
「まぁいいわ。それで?場所はあるの?」
「……二階は広い部屋しかなかったけど……一階に個室があるんじゃないかな?」
トレーナーが答えた。するとフォックスが提案する。
「なら、ひとまず一階に行こう。他の人とも顔合わせしたいしな。」
一行は移動した。
その頃、ピーチはマリオ達とは反対方向に来ていた。
「んんん……これ、何かしら?」
突き当たりには、大きな扉が1つあった。ピーチは入ろうと試みる。が、入れなかった。
「建設中って書いてはあるけど……見てみたいわ♪」
ピーチはもう一度試みる。が、今度は飛ばされた。
「……出来てからのお楽しみってこと?もう、しょうがないわねぇ………。」
ピーチはとぼとぼと来た道を引き返した。
ピーチが玄関にたどり着くと、また何人か来ていた。
「あなた達も参加者?」
ピーチは迷わずに話しかけた。すると、いかにも天使です、というような羽を生やした少年が答えた。
「うん、そうだよ。だけど………。」
「「なんか、内容が違うんだよねー。」」
天使を引き継いで、厚着をした男女の子供が言った。
「大体の奴は戦闘なんだがな。」
と、迷彩服を着た男性が続け、
「俺は競争だったんだぜ。」
と青いハリネズミがしめた。
「ところで……皆さん、どちら様ですか?」
宇宙服を着た小さめの男性が聞いた。自己紹介がまだだったらしい。それぞれが名前だけを言った。天使がピット、厚着した子供で、男の子がポポ、女の子がナナ、宇宙船を着た人がオリマー、残った人間がスネーク、ハリネズミがソニックだった。一通り名前を聞くと、ピーチは提案した。
「他の人奥にいるから、まずそっちに行かない?」
「……もっと早く言ってよ。行こう。」
ピットの声を合図に動き出した。
全員が部屋で食べ物を食べた後、1人の人が入ってきた。
「君も参加者?」
マルスが声をかけた。一見、どこにでもいそうな男性は首を横に振った。
「違いますよ。私は使いの者です。貼り紙に書いてあったでしょう?」
「貼り紙?そんなものあったかしら?」
パワードスーツを脱いで寛いでいたサムスが疑問の声を上げた。それを見たピカチュウはポン、と手をたたいた。
「あ、そっか。それ、玄関に貼ってあったから、ハッチから入った人は見てないんだ。」
「そんなものあったか?」
ドンキーがディディに聞いた。ディディは首を傾げた。それに同調するようにネスが続ける。
「ぼく達もさっさとこっちに来ちゃったから見てないや。」
そんな訳で、きちんと読んだ人が内容を伝えた。
「それで、これで全員集まってるんだな?」
マリオが確認した。
「いいえ。今日、都合のつかなかった方もいらっしゃるようですから。ただ、今日はもう来ませんよ。」
「じゃあ、自己紹介をしてもいい?全員集まるまで待ってたから……。」
トレーナーの言葉にそれぞれが頷いた。
「構いませんよ。どうぞ。」
使いの人はあっさりと許可した。
「じゃあ、俺からやるな。」
言いながら、マリオは立ち上がった。
「俺はマリオ。キノコ王国に住んでいる。元は配管工事が仕事だったんだが……今は冒険なんかが主だな。」
「マリオはよく、私を助けてくれるのよ。攫われるのがしょっちゅうだから。」
ピーチが横槍を入れた。サムスは少し眉をひそめた。
“……やっぱりお姫様ってそんなものね。”
「…まぁ、とにかく、よろしくな!」
マリオはピーチをスルーしてしめた。マリオが座るとルイージが話しだした。
「僕はルイージ。マリオの弟だよ。だから、キノコ王国出身なんだ。それで……僕も兄さんと一緒に配管工事をやってたりしたんだけど……やっぱり最近は出かける事が多いかなぁ…。取り敢えず、よろしく。」
すると、ピーチが立ち上がった。
「私はピーチ。キノコ王国のお姫様、って言ったら大体分かってくれるかしら?」
“分かるか!”
多くの人がこう思った。が、面倒なので口には出さない。
「詳しい事は追々ってことで。よろしくね♪」
ピーチはその場でクルリと回った。
“…なんて奴………。”
先が思いやられると一体何人思っただろうか。そんな中でも自己紹介は続いていく。
「僕はヨッシー!見て分かると思うけど、恐竜だよ!ヨッシーアイランドってところに住んでるんだ。仲間もいっぱいいるよ。色はみんな同じじゃないけど。よろしくね!」
「俺はドンキーゴング。コンゴジャングルからやってきた。俺はゴリラだ。サルじゃない。好物はバナナだ。よろしくな。」
「僕はディディゴングだよ。ドンキーと一緒に冒険するんだ。僕もバナナは大好き!よろしくね!」
「次はオレ……かな。オレはリンク。ハイラルってところから来た。オレは……勇者、ってことになってる。基本的には剣を使うけど、他にもいろいろな武器を使うよ。…よろしく…。」
リンクはぎこちなくお辞儀した。すると、ゼルダがリンクに向き直った。
「あらリンク、いくつか大事な事が抜けているわ。ハイラルを何度か救った事とか………。」
「お、大袈裟に言わないでよ……。」
「事実よ。……私はゼルダです。ハイラルの王女をしています。得意な事は魔法を使うことです。これから、よろしくお願いしますね。」
ゼルダはきれいに礼をした。
“…ゼルダこそ抜けてると思うんだけど………。”
リンクはため息を吐いた。
「俺はフォックス・マクラウド。スターフォックスっていう遊撃隊のリーダーをやっている。」
「まぁ、頼りにはならんがな。」
隣からファルコが野次を飛ばした。
“…今突っ込むな……!というより、変なこと言ってんじゃねぇ!”
フォックスは出てきかけた言葉をなんとか心の中に押し留めた。
「……見て分かると思うが俺は狐だ。特技は射撃。戦闘機もそれなりに乗れる。よろしくな。」
“こいつ、普通に流したぞ。……よく流せるよな……………。”
マリオは驚嘆の目でフォックスを見た。
「……俺はファルコ・ランバルディ。こいつのとこの戦闘員だ。暗いところは嫌いだ。一応トリだからな。戦闘方法は基本的にはこいつと変わらねぇ。ま、俺の方が強いけどな。」
「………さっきから黙って聞いていれば………!」
「やるか?」
フォックスが思わず出した声はファルコには聞こえたようだ。
「後にしなさい!……発言したついでに自己紹介するわ。私はサムス・アラン。宇宙では有名な方じゃないかしら?バウンティーハンターをしているの。普段はこの格好だけど、大会中は違うから。よろしく。」
「俺はキャプテン・ファルコン。レーサー兼バウンティハンターだ。力と足には自信がある。よろしくな。」
「ボクはカービィ。ポップスターから来たんだ。ボクの乗り物はワープスター!玄関から入った人は見たと思うけどね。一応星の戦士だから。よろしくね!」
「ぼくはネス。PSKっていう能力が使えるんだ。これを使って地球を助けたこともあるよ。後は…ヨーヨーや野球が得意かな。よろしくね!」
「ぼ、ぼくはリュカ。ぼくも、PSKっていうのが、使えるよ。……このヘビはぼくのペット。よ、よろしく…………。」
「僕は……ポケモントレーナーとか、ポケトレとか、トレーナーって呼んでよ。出身地はカントー地方のマサラタウン。ゼニガメ、フシギソウ、リザードンの3匹と今まで旅をしてたんだ。よろしくね。」
「それでぼくがさっき呼ばれたゼニガメ!水タイプでかめのこポケモン!よろしく!」
「僕がフシギソウだよ。草タイプのたねポケモン。よろしく。」
「…俺はリザードンだ。炎タイプでかえんポケモン。………よろしく。」
「次僕ね!僕はピカチュウ。電気タイプのねずみポケモン。足にも自信あるかな。僕のトレーナーはそこの人じゃないし、なぜか有名な さ のつく人じゃないよ。よろしくね!」
「私はプリン。ノーマルタイプよ。そして、ふうせんポケモン。寝ることが大好き。歌はもっと。私のトレーナーはお嬢様なの。よろしくね。」
「僕はアカネイア大陸にあるアリティア国の王子。名前はマルスというんだ。今まで戦争ばかりだったからね、戦いには慣れている。これからよろしく。」
「……俺はアイク。ある傭兵団の隊長をしている。こいつ」
アイクはマルスを指さした。
「とは訳あって知り合い、ここに連れてこられた。…………以後、よろしく。」
「僕はピット。見ての通り……なのかなぁ……天使だよ。武器はこの、パルテナの弓。よろしくね。」
「「僕/私 達はアイスクライマー。」」
「僕はポポ。」
「私はナナ。」
「山登りが大好きで」
「寒いのは平気。」
「僕達はいつも一緒にいるんだ。」
「私達、幼なじみなの。」
「「後、この服はポリシーだから。よろしくね!」」
“息がピッタリだな…。”
2人の素晴らしいコンビネーションに拍手した人もいた。
「私はホコタテ運送のオリマーと申します。結婚はしており、子供もおります。ここにいるのはピクミンと言いまして、私が遭難した際に助けてくれた生き物です。よろしくお願いします。」
「俺はソリッド・スネーク。普段は極秘任務などを遂行している。一応最新技術の物を使っている。遠距離は得意だな。よろしく。」
「俺はソニック!ソニック・ザ・ヘッジホッグ!冒険好きのただの青いハリネズミさ。ただ、足なら自信あるぜ。よろしくな!」
こうして、一通り自己紹介が終わった。
「全員終わりましたね。では………」
使いの人が立ち上がったときだった。
「質問タイムはー!?」
カービィから緊張感に欠ける声がとんだ。
「誰に対してだ?」
ファルコンは少々呆れたように聞いた。
「みんなに!だよね!?」
楽しげにゼニガメが答えると、カービィは大きく頷いた。
「他の奴への質問は後だ。まずは説明を聞こう。」
スネークが冷静に2人を静めた。フォックスも頷いて
「同感だな。」
と返した。すると、全員の目が使いの人に集まった。
「……まだ自己紹介は終わっていない。」
しばらく黙っていたリンクが静かに言った。優しげだった顔は険しいものになっている。そんなリンクにルイージはぽかんとしながら
「え?みんな終わったよ?」
と聞いた。それに答えたのはゼルダだった。
「いえ…1人だけやっておりません。」
そして、使いの人の方を見た。自然と全員の目が集まる。
「私は……ただの使い。何者でもございません。」
「……名前くらい教えてくれてもいいじゃないか。」
マルスが言った。
「名前……ですか。」
少しの間、使いの人は首をひねった。が、やがて、
「いいでしょう。私は……………ターマス、です。」
と少し不自然だったが、名前を明かした。
「ところで、この大会の主催者っていうのは何者なの?本人はどうして来ないわけ?」
サムスが聞いた。
“答えにくい質問ばかりをするなー!”
ターマスは顔には出さないものの、内心少々苛立っていた。
「主催者である方はご多忙でいらっしゃいます。そろそろ説明を始めさせてもらえませんか?」
それぞれが(喜んでか、渋々かは別として)頷いた。
「では。まず、ここにいらっしゃる皆さんは世界各地で――簡単に言えば――ヒーローをしている方々です。……口は挟まないでください。」
一部の人が何かを言いかけて止めた。
「皆さんに集まってもらった目的は、ここにスマッシュブラザーズを結成し、国際交流の架け橋となってもらうことです。そして……それぞれの力を試すことです。」
「……それだけ?」
リンクが低い声で聞いた。
「はい。それだけです。」
リンクの表情は益々険しくなった。そんなリンクを見ながら、ネスは首を傾げる。
“何でこの人はこんなに怒ってるんだろう……。………気持ちが核心に近づかないから分かんないや。”
「スマッシュブラザーズって何だ?」
マリオが最もなことを聞いた。が、ターマスは
「あなた方の事です。」
と当り前のように答えた。
「そうじゃなくて!!何のためのものだ?もとは何だ?」
イライラしながらも、フォックスが言葉を変えて聞いた。
「目的については先ほどお話しした通りです。もとについては何もありません。あなた方が集まってはじめて出来たのですから。ついでに言っておきますが、名前の由来なんていうのはないと思いますよ。」
“適当に決まってるだろ、そんなもん。”
ターマスは内心毒づいて、答えた。
“…なんて適当な……。”
マルスはこっそりため息をついた。
「大会についての説明に移ります。それは、一言で言えば、大乱闘です。」
「大乱闘!?戦うのか?ここにいるメンバーで!?」
リンクが声を荒げた。それにつられて、ヨッシーがヒステリックに叫ぶ。
「ちょ、ちょっと待ってよ!僕の招待状は早食い競争だったよ!?」
ターマスは驚きもせずに2人を見ながら、招待状の内容が違うのを思い出した。
「……そうでした。その事についてお詫びを言うのと説明が先でした。まず、現段階ではウソの書かれた招待状がございます。申し訳ありません。」
ターマスは深々と頭を下げた。
「オレは本当にのせられて来ただけなんだ……。」
「…現段階、というのはどういう意味だ?」
アイクが聞いた。
「いずれはそれも本当になる、ということです。しかし、今からは…それぞれの招待状の内容は他言しないよう、お願いします。因みにに、騙された等と思わないでください。」
ターマスは全員を一通り見た。
「じゃあ大乱闘について話してもらおうじゃないか。」
ファルコが言った。
「そうですね。……その前に移動しましょう。」
ターマスはパチンと指を鳴らした。みんながそれに気付いた時には場所が変わっていた。
「どこに移動させた!?」
ファルコンが怒鳴った。隣でトレーナーが周りを見ながら考え込んでいたが、やがて、
「……同じ家の中。確か………さっきのところの真上ぐらいだったと思う。」
と静かに答えた。すると、ゼニガメが納得したように跳ねる。
「あぁ!よく分からない大きなパソコンがあるだけの部屋!」
そして、そのままちょこまかと動き出した。迷惑がかかる前に、とリザードンはさっさとゼニガメを捕まえた。その時ついでに一発殴っておく。
「………おとなしくしていろ。」
が、ゼニガメは機嫌を損ねたようだった。
「いきなり殴るなんて酷いや!みず」
「戻れ!」
慌てたようなトレーナーの声と共に、ゼニガメ、リザードンはトレーナーの持つボールに入っていった。
“あらら………。”
フシギソウはその様子を見ながら呆れていた。
「……ごめん。気にせずに続けて。」
“つ、続けるの?いいの?それで?”
リュカは驚いてトレーナーを見上げた。けれど、トレーナーは目を伏せていて、それに気がつかなかった。ターマスは取り敢えず続けることにした。
「では。ここの位置はトレーナーの説明で理解していただけたと思います。ここはこの会場のメインルームです。」
「メインルーム?パソコンしかないけど?」
ディディが首を傾げながら尋ねた。
「このパソコンは高性能となっております。……コンピューター、応答せよ。」
ターマスが言うと、パソコンの画面が明るくなった。
「…はい、何でしょうか、マ」
「このように、このパソコンはこちらの話を理解し、返事をします。」
「すごいね!」
ピカチュウが感嘆の声を上げた。
“…今、あのコンピューターは何か言いかけてたような気が………。”
ピーチはコンピューターをじっと見つめていた。
「それで、さっきディディが言ってたように、一体どこがメインなのよ?」
サムスが憤慨して聞いた。
「このパソコンで大乱闘を行うのです。さて、コンピューター、ターマスめはここで待っていますので、大乱闘の説明を。」
「承知しました。では、ターマス様以外の方を認識します。少々お待ちください。」
パソコンの画面に認識中との表示が出た。それを見て、フォックスが警戒する。
「…何をする気だ?」
「完了しました。中に移ってもらいます。」
状況がイマイチ分からないまま、ターマス以外の全員が消えた。
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