集合&結成!?スマッシュブラザーズ!!

メインはおそらくリンクとトレーナー!説明じみたことが多いです(はじめのうちは)

アイクファンは閲覧注意。
―――――――――――――



あるひっそりした所にできた、巨大な建物……その場所に何人かが訪れる……。



Mと書かれた赤い帽子をかぶった男性、ご存知マリオが玄関と思われる扉を開けた。

「おーい、誰かいるのかぁー!」

マリオは叫びながら、中に入った。

「お、おじゃましまーす………。」

マリオの隣から、背の高いLと書かれた緑の帽子をかぶった男性、ルイージが顔を覗かせた。

「誰もいないな……ここで合っているのか?」

「兄さん!見て、あそこ!」

ルイージは目の前の壁を指さした。

「……貼り紙……?」

2人は貼り紙に近づいた。ルイージが読み上げる。

「えーと………『ようこそ、世界の戦士達よ。そして、ここに来てくれたことに感謝する。こちらで来ることの分かっている者達が揃い次第、使いの者をそちらに向かわせる。いろいろ気になることはあるだろうが、それまでは待っていてほしい。因みに、その者が行くまでは自由にしていてくれ。』……だって。」

「……なんだよ………しばらく他の人を待て、か。」

ヒューン………ドン!外で物音がした。

「い、今の音……何?」

ルイージが呟いた。マリオは首を傾げた。すると、ガチャ、と扉が開いた。

「ポヨ?」

ピンクの丸い物体……いや、生き物=カービィが入ってきた。

「……参加者か?」

マリオは唖然としながらも問いかけた。カービィはニッコリ笑うと頷いた。

「……えっと……君は?」

ルイージが問いかけるも、カービィは無視し、走り出した。

「お、おい!どこ行くんだよ!」

マリオとルイージはカービィを追いかけた。



「ポヨ、ポヨ!」

マリオとルイージが追いつくと、カービィは何か食べていた。

「…食べ物……用意周到だな………。」

マリオは呆れて言った。

「見て!それぞれ名前が書いてある!」

ルイージはマリオのセリフは気にせず、自分の発見を伝えた。マリオは手に取って食べる。

「おいしいよね!」

「え!?」

マリオは思わず手にした食べ物を取り落とした。

“ピンク玉の言うことが分かるようになっている………?”

「兄さん?どうしたの?」

ルイージがマリオを心配そうに覗きこんだ。

「……ルイージ…食え。」

「え?」

ルイージは困惑しながらも、マリオに従った。

「キミ、ルイージっていうんだ。ボクはカービィ。よろしくね!」

「え…よ、よろしく…。」

“言葉が……分かる!?”

ルイージはかろうじて言葉を返した。カービィは気にせずにマリオに声をかける。

「そっちの赤い人は?」

「俺か?俺はマリオだ。よろしくな。」

マリオが言い終わったとき、扉が開いた。

「あれ?先客がいたみたいだね。」

1人の少年と人ではない生き物が5体入ってきた。

「ピッカ、ピカピィカ?」

「ゼニィ、ゼニゼェニィ!」

「うん。ゼニガメ、僕もそう思うよ。」

少年と生き物=ポケモンは話している。勇気を振り絞ってルイージが話しかけた。

「えっと…あなたはそれの言ってることが…」

「大体は分かるよ。僕はポケモントレーナーだから。」

ルイージの問を察してポケモントレーナー(長いので以下トレーナー)は人なつっこい笑顔で答えた。

「ポケモントレーナー!?じゃあ、そっちの5匹はポケモンか?」

「プリュ!」

マリオの質問にカービィより薄いピンクの可愛らしいポケモン=プリンが答えた。が……マリオ達には分からない。

「キミ達全員、早く何か食べて。何言ってるか全然分かんない。」

カービィが言った。が……

「………えっと……?」

逆にトレーナー達にはカービィが言ったことが分からない。見かねたルイージが多少(?)言い換えて言った。

「そこに食べ物があるでしょ。名前が書いてあるはずだから、それ、食べてよ。」

「ピッカァ……ピカッ?」

「いいけど……何で?って言ってるよ。」

トレーナーは最も有名なポケモン=ピカチュウの通訳をした。

「それを食べると、お互いの言ってることが分かるようになる。」

マリオが説明した。トレーナーとポケモン達は食べた。

「…何か変わったか?」

大きな赤いドラゴンのようなポケモン=リザードンが言った。それに背中に蕾を乗せたポケモン=フシギソウが答える。

「変わってるよ!」

「……僕にしてみれば、あまり変わってないんだけど……。」

困ったようにトレーナーが呟いた。それを聞いたカービィが声を出す。

「ボクが話したら、違いは分かる?」

「…………あ!」

トレーナーは納得したらしく、頷いた。カービィは満足げに頷き返した。

「…ところで…そっちの5匹は?」

ルイージが聞いた。すると、それぞれが思い思いに答える。

「僕、ピカチュウ!」

「私、プリン。」

「ゼニガメだよ!」

「フシギソウっていうんだ。」

「………リザードンだ。」

「逆に聞くけど、君たちは?」

「俺はマリオ。緑のはルイージで、そっちのはカービィ。詳しい自己紹介は後でな。貼り紙、見ただろ?」

トレーナーの質問にマリオが一気に答えた。トレーナー達は頷いた。



しばらくすると、再び扉が開いた。金髪碧眼で全身緑の青年=リンクが入ってきた。

「君も参加者?」

ルイージが話しかけた。が、リンクは首を傾げた。困ったような顔をしている。

「首を傾げられてもなぁ………。」

マリオが呟いた。

「もしかして、言葉が分からない、とか。」

「……そのような気がするな。」

カービィにリザードンが同調した。それを聞いて、トレーナーは食べ物の方に歩み寄った。

「これ………」

トレーナーはよく解らない文字の書かれたものを指さした。

「君………?」

そして、リンクを指さし、首を傾げた。リンクは頷いた。

「えい!」

ピカチュウが掛け声とともに机に飛び乗った。解らない文字のところから1つ取り、リンクに差し出した。リンクは受け取った。食べ物だと分かったらしく、それを食べる。

「……何だ…コレ……違う言葉が…一気に…頭の中に…………!」

リンクはうずくまってしまった。

「だ……大丈夫?」

フシギソウが心配そうに覗きこんだ。リンクは頷いて、しばらくしてから立ち上がった。

「もう…僕達が何を言ってるのか、分かる?」

トレーナーが話しかけた。リンクは1つ頷いて答える。

「うん……何か、一気にたくさん、勉強させられた気分だよ………。」

「僕が食べた時はそんな感じしなかったけど……。」

ルイージが呟いた。それを聞いたマリオは自分もルイージと同意見だと感じ、カービィに尋ねた。

「カービィはどうだ?」

「別に。少し前とは違う感じするけど、話してる言葉、同じだし。」

「で、お前も参加するのか?」

カービィの答に納得したのか、マリオはリンクに話しかけた。

「参加はするけど……こんなにのんびりしていていいの?」

「……大会、始まってないし、人も来てないからいいと思うけど?」

ルイージが答えた。リンクは驚いて、

「…………大会?」

とだけ返した。

「ところで、君の名前は?」

ピカチュウが最もなことを聞いた。

「え?……あぁ、オレはリンク。……そっちは?」

それぞれが名前を言った。

「ところで、皆はポケモン、持ってないの?」

トレーナーが聞いた。それにカービィが答える。

「持ってるわけないよ。あ!ボク、ポケモンの代わりとかじゃないからね!」

「おかしいなぁ……じゃあ、これ見てよ。」

トレーナーは招待状を取り出した。その場にいた人達は招待状を覗きこんだ。

『ポケモントレーナーの君へ
君はポケモントレーナーの代表に選ばれた。普段と違う、ちょっと変わった大会に出てみないか?もし、来てくれるのなら、ポケモンを3匹連れて、これに同封した地図に印した場所に来て欲しい。君の出場を希望する。
主催者より』

「…俺らは世界の人と手合わせしないか?だったが。ルイージ、そうだろ?」

驚いたマリオはルイージに確認した。

「うん。…兄さんの言う通りだよ。」

トレーナーの招待状を食い入るようにして見ていたリンクが顔を上げた。そして口を開く。

「…なら…これは……単なる、お遊び………?」

「そういうことになるね。」

当り前、というようにフシギソウが答えた。

「ハハハ……じゃあオレは、のせられてここに来ただけ………?」

「どういう意味?」

ゼニガメが聞いた。

「…オレは大会とか、そういうのに呼ばれて来たんじゃないんだ………。」

「じゃあ、何で来たの?」

今度はカービィが聞いた。

「……言えないよ。あまりにかけ離れた理由で呼ばれてたから………。」

「じゃあ、見せてよ。」

ルイージは大胆にも強行手段に出た。が、

「……見せたところで解らないと思う。」

と返されてしまった。

「なぜ?」

不満げにプリンが聞いた。

「じゃあそれ、読める?」

リンクは自分の名前が書かれたものを指さした。

リンクの質問にリンク以外は首を振った。

「全然分からない。本当なら、リンクって書いてあるんだよね?」

トレーナーの問にリンクは頷いた。

「じゃあ、これは何て書いてあるの?」

言いながらゼニガメは、リンクと書かれているはずのものとは別のものを指さした。それを見たリンクの顔が一瞬で変わった。

「それは………!」

「ゼルダです。」

答えたのはリンクではなく、女性の声だった。扉の方を見ると、ドレスに身を包んだ女性が2人立っていた。

「ゼルダ!何で!?」

「ピーチ!お前も来たのか!?」

リンクとマリオの声がはもった。あまりの大きさにリザードンは思わず耳を塞いだ。驚くマリオとリンクを見て、お姫様2人=ピーチとゼルダは困ったように顔を見合せた。

「私達が来ちゃいけない理由があるの?」

ピーチが少し不満げに言った。

「だってここ…トレーナー達はポケモンだけど、戦闘メインの大会だよ。」

ルイージの説明にリンク以外が頷いた。が、ゼルダがやんわりと言い返す。

「そのことならば、心配いりません。私達は観戦者として招かれていますから。」

「参戦は可能だと小さく書いてあったけどね!」

茶目っ気たっぷりにピーチが付け足した。それに、ゼルダが不思議そうに返す。

「……小さく、ですか?」

「あら、私だけ?……主催者さんの気遣いかもしれないわ。うちはキノじいがうるさいから。」

2人の会話が一段落したところで、リンクがゼルダに聞いた。

「ところで…ゼルダ。言葉………どうして?」

ゼルダは少し笑った。

「そのことは、私の方が驚いていたの。リンクの方こそ、どうして?私の場合、一国の王女として共通語を話せることは、必要不可欠なんだけど。」

「それ」

リンクは食べ物を指さした。

「……食べたら、一気に勉強させられたかのように、話せるようになった。」

「あら、美味しそうじゃない。私達もいただきましょう。」

ピーチにゼルダも同意し、2人は食べ物を口にした。それを見て、今まで黙っていたカービィは口を開いた。

「ボクの言ってること、分かるようになった?」

ゼルダはしばらくカービィを見ながら考えこんだ。

「……そうですか。この食べ物を食べることで、参加者はお互いの言っていることが分かるようになるのですね。」

「あぁ、そういうことだ。」

マリオが頷いた。

「ところで、この家、探検しない?これだけ大きいと、どこがどうなのか…。」

トレーナーが提案した。ピーチがそれに乗る。他の人達も同意していく。が、

「オレは残るよ。誰か来たとき、困るし。」

「私もここにいます。少し落ち着きたいので。」

とリンク、ゼルダは残ることになった。

「じゃあ、ここのことは2人に任せるね!」

ルイージの声を合図に皆は出ていった。しばらくして、リンクはゼルダに話しかけた。

「ねぇ、ゼルダ。君の招待状……見てもいい?」

「えぇ。構わないわ。どうぞ。」

ゼルダは招待状をリンクに差し出した。リンクは礼もそこそこにそれを受け取った。

『ゼルダ及びシーク様
○月×日にある特殊な大会を行う。都合がつくならば、大会に出場してもらいたい。もし、出場できないのならば、観戦者として顔を出していただきたい。場所については地図を同封する。あなたの参加を希望する。
主催者より』

読み終えたリンクはゼルダに返した。そして、無言で何かを考えこむ。

「ねぇ、リンク。あなたの心配は他の方とは違うみたいね。どうしたの?」

「オレは……世界が……ううん、やっぱりなんでもないよ。何か、あまりに違うことがオレのだけ書いてあったから、驚いてただけ。」

リンクははぐらかした。それに気付いているゼルダは追及しようと口を開いた。が、その時、扉が開き、青年が2人入ってきた。

「ゼルダ!君も参加者…いや、観戦者かな?」

青い髪をして、腰に剣をさげた優雅な雰囲気を漂わせる青年=マルスがゼルダに話しかけた。

「マルス……えぇ、私は観戦者、として来ました。場合によっては参加するかもしれませんが。」

「…どういう関係だ?」

大剣を背負った立派な体つきをした青年=アイクが割って入った。

「そうだね……国際的なお付き合いがある、というべきかな。」

慣れたように答えたマルスに、思わずリンクは聞いた。

「国際的な…というと、君はどこかの王?」

「いや。まだ王子、だよ。ところで…君は勇者、リンクだとお見受けするけれど?」

「え?そ、そうだけど……どうしてオレのことを?」

リンクはマルスの口から自分の名が出たことに驚き、たじろいだ。

「君のことはゼルダによく聞いていたからね。あ、そうそう。この人はアイクだ。」

マルスの紹介にアイクは会釈した。

「……お見知りおきを。」



「ふぅ、向こうは部屋ばっかりだったな。ざっと40くらいはあるか。」

マリオとルイージ、そしてカービィは先ほどの部屋を出て、少し歩き回った後、玄関のところへ戻ってきていた。その途中で部屋をたくさん見てきたらしい。

「40かぁ……それくらいの人が集まってくる、っていうことだね。」

ルイージが言った時、扉が開いた。

「こんにちは~!」

「だ、誰かいますかぁ………?」

少年が2人、1人は元気よく、もう1人はおどおどしながら入ってきた。1人目は赤い帽子をかぶってバットを背負っており、2人目は金髪でヘビを連れている。そんな2人にカービィが飛び出した。

「こんにちは!」

「う、うわぁ!」

金髪の少年は数歩下がった。

「……オーバーだな……。」

マリオは思わず呟いた。それに気付かずにカービィは2人に質問する。

「2人とも参加者?」

「そうだよ。ぼくはネス。よろしくね!」

帽子をかぶった少年=ネスが答えた。

「よろしく。僕はルイージ。そっちはマリオで、こっちはカービィ。…君は?」

「ぼ、僕はリュカ…。よ、よろしくね。」

ルイージの問に金髪の少年=リュカは緊張したように答えた。

「ところで、お前らはカービィの言ってることが分かるのか?」

マリオが聞いた。

「まぁね。」

ネスは短く答えた。すると、再び扉が開いた。ネクタイをしたゴリラと帽子をかぶったサルが入ってきた。ゴリラはマリオを見て、表情を緩めた。

「マリオじゃないか!久しぶりだな!」

「ドンキー!お前も参加するのか!」

マリオも嬉しそうにゴリラ=ドンキーに答えた。ドンキーは頷いた。

「ルイージもいるね!因みに、僕も参加するよ!」

「ディディ!久しぶり。」

ドンキーの隣から話しかけてきたサル=ディディにルイージが答えた。仲良く話しているのを見て、カービィはマリオの服を引っ張った。

「えっと……知り合い?」

「そうだ。……こいつらが来たら、あいつも来るかな…………。」

マリオはカービィへの答もそこそこに1人考えこんだ。そんなマリオにドンキーが質問を投げかける。

「オイ、マリオ!このピンクの言ってることが分かるのか!?」

「あぁ、そっか。ドンキー、ディディ、向こうの部屋き食べ物があるから、食べてきてよ。」

ルイージはそう言いながら、始めに入った部屋の方を指さした。それにディディが反応する。

「食べ物!?バナナあった?」

「忘れた。自分で見てこいよ。ネス、リュカ、お前らも食べに行ったらどうだ?休憩がてら。」

マリオはディディに気のない返事をしつつ、ネスとリュカに提案した。

「うん、そうするよ。行こう、リュカ。」

ネスはそう返すと、リュカと一緒に歩いていった。

「俺らも行くか。」

ドンキーが言うと、ディディもついていった。静かさが戻った頃、また扉が開いた。緑の恐竜が顔を覗かせた。

「こんにち……マリオにルイージ!」

恐竜は嬉しそうに1回跳ぶと、入ってきた。

「ヨッシー!君も呼ばれてたんだね!」

「やっぱり来たな!」

マリオとルイージが同時に叫んだ。恐竜=ヨッシーは丁寧にも2人にきちんと反応した。

「うん、呼ばれたよ!…マリオ、やっぱりって?」

「ドンキーやディディ、ピーチも来てる。だから、お前も来るんじゃないかと思ってな。」

マリオはにやけながら答えた。

「僕達も皆の所に行こう。ヨッシー、向こうに食べ物もあるよ。」

「食べ物!?わぁーい!」

ヨッシーとルイージは行ってしまった。今まで蚊帳の外だったカービィがつまらなそうに呟く。

「ボクは言葉が通じないからしゃべれない………。」

「まぁまぁ、カービィ。全員が何か食べるまでの辛抱だ。」

マリオとカービィはそんなことを言いながら、ルイージ達に続いた。



「……大きな広間にパソコンのある部屋、そことは別にコントロール室と会議室。残ったのは……この部屋、か。」

一方、トレーナーとポケモン達は2階を見て回っていた。そして現在は、最後に残された部屋の前で話し合っていた。

「なんだろう、この部屋。」

中の様子を少しでも探ろうと耳を扉につけながら、ピカチュウが言った。

「お風呂とか?」

ゼニガメが扉の前を忙しなく動きながら言った。

「そういうのは普通一階よ。面倒じゃない。」

トレーナーの隣からプリンが言った。

「……決まってないと思うけど……。」

プリンとは反対側に座っていたフシギソウがつっ込んだ。そんな一行に呆れたリザードンから一言。

「さっさと入った方が早いと思うが。」

そして彼らは中に入った。

中は広い空間が広がっているだけだった。

「…何?ここ。ここも何もないじゃない。」

プリンが膨れた。

「あそこに何かボタンがあるよ。」

ピカチュウは入り口近くの壁を指さした。すると、

「押しちゃえ!」

とゼニガメがボタンの方へ走って行く。

「おい待て!ゼニガメ!」

リザードンが制止するも、ゼニガメはジャンプしてボタンを押してしまった。

「…やっちゃった…。」

トレーナーは額に手をあてて、少しうつむいた。そんなトレーナーを慰めようとフシギソウは立ち上がって歩き出した。が、ふと目に入った物が気になって動きを止める。

「……!見て!上が開いていくよ!」

みんなは上を見る。

「なんか…飛んでない?」

ピカチュウが不安そうに呟いた。

「ホントだ!飛んでる飛んでるー!!」

相変わらずゼニガメははしゃいでいる。

“……こっちへ……向かって来てる?”

大儀そうに上を見上げたトレーナーだったが、ハッとすると叫んだ。

「みんな、こっちへ!!」

ポケモン達はわけがわかっていなかったが、トレーナーに従った。すると、二機の戦闘機が降りてきた。中から人(?)が出てきた。

「キツネに……トリ?」

プリンが呟いた。プリンの言う通り、降りて来たのは、二足歩行する動物だった。

「何言ってんだぁ?こいつ。」

青い鳥=ファルコが変な物を見るように(実際ファルコにとっては変な物だが)プリンを見た。

「…トリの癖に人間の言葉話してる……。」

プリンはまた、呟いた。

「プリプリうるせぇな……悪口言ってなきゃいいが。」

「……正解……。」

ファルコの言いぐさにフシギソウはぼそりと漏らした。が、幸か不幸か、ファルコはポケモンの言葉を解していないようだった。

「ファルコ、そうマイナスに考えるな。大方、こいつも出場者だろう。」

キツネ=フォックスがファルコをなだめた。その会話を聞いて、危険はないと判断したトレーナーは戦闘機の影から出た。

「そうだよ。その子はプリン。ちなみに僕は、ポケモントレーナー。」

「……ポケモン?あぁ、なるほど。こいつはお前のか?」

トレーナーの突然の登場に驚く事もなく、ファルコは応じた。

「違う。プリンとピカチュウ」

トレーナーはピカチュウを指した。

「は単独で出る。後の三匹は僕と一緒だけど。」

「そうか。俺はフォックス。こいつはファルコ。俺らは」

「ストップ。」

トレーナーは苦笑いしながら遮った。

「詳しい自己紹介は後で聞くよ。後何人くるのか分からないから。」

それにファルコは同調した。

「そうだな。何度も繰り返すのはごめんだ。」

そして、憎まれ口を叩く。それを無視してフォックスは聞いた。

「……現時点で何人来ているんだ?」

「僕の知っている限りでここにいる人を除くと…………六人。」

あぁ、意外と少ない。トレーナーは内心思った。

「……まだそんだけかよ……ったく、ホントに面白くなるんだろーな?」

「まだ分からないだろ?」

フォックスとファルコが言い合っていると、もう一台入ってきた。

「……ここは結局、何の部屋なんだろう……。」

トレーナーは呟いた。

「ハッチだろ、普通に考えて。」

「ファルコ、俺達にとっては普通でも、他の人にとっても普通とは限らないだろ?」

その時、人が降りてきた。

「何かすごい人だ……。」

「うん。よく分からないけど、すごい。」

ピカチュウとゼニガメは失礼な事を言っている。それを聞いたリザードンはやれやれと首を振った。

“お前らな……言葉が通じないままの方がいいんじゃないか?”

が、何事もなかったかのようにフォックスが口を開いた。

「お前も出場するのか?」

“言葉分からないから普通にスルーできるんだろうけど……。”

トレーナーはポケモン達を見ながら苦笑するしかなかった。

「あぁ、そうだ。俺はキャプテン・ファルコン!お互い賞金目指して頑張ろうぜ!」

すごい人(笑)=ファルコンが言った。

「……何言ってんだぁ?賞金?」

ファルコが食ってかかった。すると、ファルコンは唖然とする。

「ん?違うのか?」

そこでトレーナーは、招待状の内容が何故か違っていた事を思い出した。

「……招待状に書いてあった事の細かい違いは気にしない方がいいよ。みんな違うみたいだから。」

“……細かくねぇだろ!”

口まで出かかったつっこみを、フォックスはかろうじて押しとどめた。その時、また一台入ってきた。

「……また来たね。」

フシギソウが言った。トレーナーは頷いた。

「そうだね。……今度はどんな人が降りてくるんだろう?」

「生き物じゃなかったりして。」

ピカチュウが冗談めかして言う。すると、リザードンは溜息を吐いた。

「……お前ら一度黙れ。」

トレーナーは再び苦笑した。その様子を見ていたファルコンがトレーナーに聞いた。

「お前……こいつらの言ってる事が分かるのか?」

「うん。僕は、ポケモントレーナーだから。」

「何て言ってるんだ?」

興味を持ったらしいフォックスが少し乗り出すように聞いた。

「……知らない方がいいと思う。」

それに反応したのはフォックスではなくファルコだった。

「! やっぱ俺の事悪く言ってんじゃないのか!?」

「……今のは、違う。」

「……なんか引っかかる言い方だな……。」

不満は残ったらしいが、ファルコはそれ以上、追求しなかった。そうこうしているうちに、何か(?)が降りてきた。

「……ここが大会の会場で……あなた達は出場者、であってるかしら?」

「女の人のロボットだぁ!」

プリンが歓喜の声を上げた。

「………黙れ。」

うんざりしたようにリザードンは言う。

「あぁそうだ。お前もだな?」

ファルコンが返した。

「えぇ。私はサムス・アラン。…ところで、着替える所はないかしら?スーツだと暑くって……。」

「え!それ、スーツなの!?」

「……スーツなのか?」

ゼニガメとファックスが言ったのはほぼ同時だった。

「あら、だったら何だと思ったの?」

「ロボットか何かだと……。」

プリンが答えたが、サムスには分からなかった。他の人は何も言おうとしなかった。

「まぁいいわ。それで?場所はあるの?」

「……二階は広い部屋しかなかったけど……一階に個室があるんじゃないかな?」

トレーナーが答えた。するとフォックスが提案する。

「なら、ひとまず一階に行こう。他の人とも顔合わせしたいしな。」

一行は移動した。



その頃、ピーチはマリオ達とは反対方向に来ていた。

「んんん……これ、何かしら?」

突き当たりには、大きな扉が1つあった。ピーチは入ろうと試みる。が、入れなかった。

「建設中って書いてはあるけど……見てみたいわ♪」

ピーチはもう一度試みる。が、今度は飛ばされた。

「……出来てからのお楽しみってこと?もう、しょうがないわねぇ………。」

ピーチはとぼとぼと来た道を引き返した。



ピーチが玄関にたどり着くと、また何人か来ていた。

「あなた達も参加者?」

ピーチは迷わずに話しかけた。すると、いかにも天使です、というような羽を生やした少年が答えた。

「うん、そうだよ。だけど………。」

「「なんか、内容が違うんだよねー。」」

天使を引き継いで、厚着をした男女の子供が言った。

「大体の奴は戦闘なんだがな。」

と、迷彩服を着た男性が続け、

「俺は競争だったんだぜ。」

と青いハリネズミがしめた。

「ところで……皆さん、どちら様ですか?」

宇宙服を着た小さめの男性が聞いた。自己紹介がまだだったらしい。それぞれが名前だけを言った。天使がピット、厚着した子供で、男の子がポポ、女の子がナナ、宇宙船を着た人がオリマー、残った人間がスネーク、ハリネズミがソニックだった。一通り名前を聞くと、ピーチは提案した。

「他の人奥にいるから、まずそっちに行かない?」

「……もっと早く言ってよ。行こう。」

ピットの声を合図に動き出した。



全員が部屋で食べ物を食べた後、1人の人が入ってきた。

「君も参加者?」

マルスが声をかけた。一見、どこにでもいそうな男性は首を横に振った。

「違いますよ。私は使いの者です。貼り紙に書いてあったでしょう?」

「貼り紙?そんなものあったかしら?」

パワードスーツを脱いで寛いでいたサムスが疑問の声を上げた。それを見たピカチュウはポン、と手をたたいた。

「あ、そっか。それ、玄関に貼ってあったから、ハッチから入った人は見てないんだ。」

「そんなものあったか?」

ドンキーがディディに聞いた。ディディは首を傾げた。それに同調するようにネスが続ける。

「ぼく達もさっさとこっちに来ちゃったから見てないや。」

そんな訳で、きちんと読んだ人が内容を伝えた。

「それで、これで全員集まってるんだな?」

マリオが確認した。

「いいえ。今日、都合のつかなかった方もいらっしゃるようですから。ただ、今日はもう来ませんよ。」

「じゃあ、自己紹介をしてもいい?全員集まるまで待ってたから……。」

トレーナーの言葉にそれぞれが頷いた。

「構いませんよ。どうぞ。」

使いの人はあっさりと許可した。

「じゃあ、俺からやるな。」

言いながら、マリオは立ち上がった。

「俺はマリオ。キノコ王国に住んでいる。元は配管工事が仕事だったんだが……今は冒険なんかが主だな。」

「マリオはよく、私を助けてくれるのよ。攫われるのがしょっちゅうだから。」

ピーチが横槍を入れた。サムスは少し眉をひそめた。

“……やっぱりお姫様ってそんなものね。”

「…まぁ、とにかく、よろしくな!」

マリオはピーチをスルーしてしめた。マリオが座るとルイージが話しだした。

「僕はルイージ。マリオの弟だよ。だから、キノコ王国出身なんだ。それで……僕も兄さんと一緒に配管工事をやってたりしたんだけど……やっぱり最近は出かける事が多いかなぁ…。取り敢えず、よろしく。」

すると、ピーチが立ち上がった。

「私はピーチ。キノコ王国のお姫様、って言ったら大体分かってくれるかしら?」

“分かるか!”

多くの人がこう思った。が、面倒なので口には出さない。

「詳しい事は追々ってことで。よろしくね♪」

ピーチはその場でクルリと回った。

“…なんて奴………。”

先が思いやられると一体何人思っただろうか。そんな中でも自己紹介は続いていく。

「僕はヨッシー!見て分かると思うけど、恐竜だよ!ヨッシーアイランドってところに住んでるんだ。仲間もいっぱいいるよ。色はみんな同じじゃないけど。よろしくね!」

「俺はドンキーゴング。コンゴジャングルからやってきた。俺はゴリラだ。サルじゃない。好物はバナナだ。よろしくな。」

「僕はディディゴングだよ。ドンキーと一緒に冒険するんだ。僕もバナナは大好き!よろしくね!」

「次はオレ……かな。オレはリンク。ハイラルってところから来た。オレは……勇者、ってことになってる。基本的には剣を使うけど、他にもいろいろな武器を使うよ。…よろしく…。」

リンクはぎこちなくお辞儀した。すると、ゼルダがリンクに向き直った。

「あらリンク、いくつか大事な事が抜けているわ。ハイラルを何度か救った事とか………。」

「お、大袈裟に言わないでよ……。」

「事実よ。……私はゼルダです。ハイラルの王女をしています。得意な事は魔法を使うことです。これから、よろしくお願いしますね。」

ゼルダはきれいに礼をした。

“…ゼルダこそ抜けてると思うんだけど………。”

リンクはため息を吐いた。

「俺はフォックス・マクラウド。スターフォックスっていう遊撃隊のリーダーをやっている。」

「まぁ、頼りにはならんがな。」

隣からファルコが野次を飛ばした。

“…今突っ込むな……!というより、変なこと言ってんじゃねぇ!”

フォックスは出てきかけた言葉をなんとか心の中に押し留めた。

「……見て分かると思うが俺は狐だ。特技は射撃。戦闘機もそれなりに乗れる。よろしくな。」

“こいつ、普通に流したぞ。……よく流せるよな……………。”

マリオは驚嘆の目でフォックスを見た。

「……俺はファルコ・ランバルディ。こいつのとこの戦闘員だ。暗いところは嫌いだ。一応トリだからな。戦闘方法は基本的にはこいつと変わらねぇ。ま、俺の方が強いけどな。」

「………さっきから黙って聞いていれば………!」

「やるか?」

フォックスが思わず出した声はファルコには聞こえたようだ。

「後にしなさい!……発言したついでに自己紹介するわ。私はサムス・アラン。宇宙では有名な方じゃないかしら?バウンティーハンターをしているの。普段はこの格好だけど、大会中は違うから。よろしく。」

「俺はキャプテン・ファルコン。レーサー兼バウンティハンターだ。力と足には自信がある。よろしくな。」

「ボクはカービィ。ポップスターから来たんだ。ボクの乗り物はワープスター!玄関から入った人は見たと思うけどね。一応星の戦士だから。よろしくね!」

「ぼくはネス。PSKっていう能力が使えるんだ。これを使って地球を助けたこともあるよ。後は…ヨーヨーや野球が得意かな。よろしくね!」

「ぼ、ぼくはリュカ。ぼくも、PSKっていうのが、使えるよ。……このヘビはぼくのペット。よ、よろしく…………。」

「僕は……ポケモントレーナーとか、ポケトレとか、トレーナーって呼んでよ。出身地はカントー地方のマサラタウン。ゼニガメ、フシギソウ、リザードンの3匹と今まで旅をしてたんだ。よろしくね。」

「それでぼくがさっき呼ばれたゼニガメ!水タイプでかめのこポケモン!よろしく!」

「僕がフシギソウだよ。草タイプのたねポケモン。よろしく。」

「…俺はリザードンだ。炎タイプでかえんポケモン。………よろしく。」

「次僕ね!僕はピカチュウ。電気タイプのねずみポケモン。足にも自信あるかな。僕のトレーナーはそこの人じゃないし、なぜか有名な さ のつく人じゃないよ。よろしくね!」

「私はプリン。ノーマルタイプよ。そして、ふうせんポケモン。寝ることが大好き。歌はもっと。私のトレーナーはお嬢様なの。よろしくね。」

「僕はアカネイア大陸にあるアリティア国の王子。名前はマルスというんだ。今まで戦争ばかりだったからね、戦いには慣れている。これからよろしく。」

「……俺はアイク。ある傭兵団の隊長をしている。こいつ」

アイクはマルスを指さした。

「とは訳あって知り合い、ここに連れてこられた。…………以後、よろしく。」

「僕はピット。見ての通り……なのかなぁ……天使だよ。武器はこの、パルテナの弓。よろしくね。」

「「僕/私 達はアイスクライマー。」」

「僕はポポ。」

「私はナナ。」

「山登りが大好きで」

「寒いのは平気。」

「僕達はいつも一緒にいるんだ。」

「私達、幼なじみなの。」

「「後、この服はポリシーだから。よろしくね!」」

“息がピッタリだな…。”

2人の素晴らしいコンビネーションに拍手した人もいた。

「私はホコタテ運送のオリマーと申します。結婚はしており、子供もおります。ここにいるのはピクミンと言いまして、私が遭難した際に助けてくれた生き物です。よろしくお願いします。」

「俺はソリッド・スネーク。普段は極秘任務などを遂行している。一応最新技術の物を使っている。遠距離は得意だな。よろしく。」

「俺はソニック!ソニック・ザ・ヘッジホッグ!冒険好きのただの青いハリネズミさ。ただ、足なら自信あるぜ。よろしくな!」

こうして、一通り自己紹介が終わった。

「全員終わりましたね。では………」

使いの人が立ち上がったときだった。

「質問タイムはー!?」

カービィから緊張感に欠ける声がとんだ。

「誰に対してだ?」

ファルコンは少々呆れたように聞いた。

「みんなに!だよね!?」

楽しげにゼニガメが答えると、カービィは大きく頷いた。

「他の奴への質問は後だ。まずは説明を聞こう。」

スネークが冷静に2人を静めた。フォックスも頷いて

「同感だな。」

と返した。すると、全員の目が使いの人に集まった。

「……まだ自己紹介は終わっていない。」

しばらく黙っていたリンクが静かに言った。優しげだった顔は険しいものになっている。そんなリンクにルイージはぽかんとしながら

「え?みんな終わったよ?」

と聞いた。それに答えたのはゼルダだった。

「いえ…1人だけやっておりません。」

そして、使いの人の方を見た。自然と全員の目が集まる。

「私は……ただの使い。何者でもございません。」

「……名前くらい教えてくれてもいいじゃないか。」

マルスが言った。

「名前……ですか。」

少しの間、使いの人は首をひねった。が、やがて、

「いいでしょう。私は……………ターマス、です。」

と少し不自然だったが、名前を明かした。

「ところで、この大会の主催者っていうのは何者なの?本人はどうして来ないわけ?」

サムスが聞いた。

“答えにくい質問ばかりをするなー!”

ターマスは顔には出さないものの、内心少々苛立っていた。

「主催者である方はご多忙でいらっしゃいます。そろそろ説明を始めさせてもらえませんか?」

それぞれが(喜んでか、渋々かは別として)頷いた。

「では。まず、ここにいらっしゃる皆さんは世界各地で――簡単に言えば――ヒーローをしている方々です。……口は挟まないでください。」

一部の人が何かを言いかけて止めた。

「皆さんに集まってもらった目的は、ここにスマッシュブラザーズを結成し、国際交流の架け橋となってもらうことです。そして……それぞれの力を試すことです。」

「……それだけ?」

リンクが低い声で聞いた。

「はい。それだけです。」

リンクの表情は益々険しくなった。そんなリンクを見ながら、ネスは首を傾げる。

“何でこの人はこんなに怒ってるんだろう……。………気持ちが核心に近づかないから分かんないや。”

「スマッシュブラザーズって何だ?」

マリオが最もなことを聞いた。が、ターマスは

「あなた方の事です。」

と当り前のように答えた。

「そうじゃなくて!!何のためのものだ?もとは何だ?」

イライラしながらも、フォックスが言葉を変えて聞いた。

「目的については先ほどお話しした通りです。もとについては何もありません。あなた方が集まってはじめて出来たのですから。ついでに言っておきますが、名前の由来なんていうのはないと思いますよ。」

“適当に決まってるだろ、そんなもん。”

ターマスは内心毒づいて、答えた。

“…なんて適当な……。”

マルスはこっそりため息をついた。

「大会についての説明に移ります。それは、一言で言えば、大乱闘です。」

「大乱闘!?戦うのか?ここにいるメンバーで!?」

リンクが声を荒げた。それにつられて、ヨッシーがヒステリックに叫ぶ。

「ちょ、ちょっと待ってよ!僕の招待状は早食い競争だったよ!?」

ターマスは驚きもせずに2人を見ながら、招待状の内容が違うのを思い出した。

「……そうでした。その事についてお詫びを言うのと説明が先でした。まず、現段階ではウソの書かれた招待状がございます。申し訳ありません。」

ターマスは深々と頭を下げた。

「オレは本当にのせられて来ただけなんだ……。」

「…現段階、というのはどういう意味だ?」

アイクが聞いた。

「いずれはそれも本当になる、ということです。しかし、今からは…それぞれの招待状の内容は他言しないよう、お願いします。因みにに、騙された等と思わないでください。」

ターマスは全員を一通り見た。

「じゃあ大乱闘について話してもらおうじゃないか。」

ファルコが言った。

「そうですね。……その前に移動しましょう。」

ターマスはパチンと指を鳴らした。みんながそれに気付いた時には場所が変わっていた。

「どこに移動させた!?」

ファルコンが怒鳴った。隣でトレーナーが周りを見ながら考え込んでいたが、やがて、

「……同じ家の中。確か………さっきのところの真上ぐらいだったと思う。」

と静かに答えた。すると、ゼニガメが納得したように跳ねる。

「あぁ!よく分からない大きなパソコンがあるだけの部屋!」

そして、そのままちょこまかと動き出した。迷惑がかかる前に、とリザードンはさっさとゼニガメを捕まえた。その時ついでに一発殴っておく。

「………おとなしくしていろ。」

が、ゼニガメは機嫌を損ねたようだった。

「いきなり殴るなんて酷いや!みず」

「戻れ!」

慌てたようなトレーナーの声と共に、ゼニガメ、リザードンはトレーナーの持つボールに入っていった。

“あらら………。”

フシギソウはその様子を見ながら呆れていた。

「……ごめん。気にせずに続けて。」

“つ、続けるの?いいの?それで?”

リュカは驚いてトレーナーを見上げた。けれど、トレーナーは目を伏せていて、それに気がつかなかった。ターマスは取り敢えず続けることにした。

「では。ここの位置はトレーナーの説明で理解していただけたと思います。ここはこの会場のメインルームです。」

「メインルーム?パソコンしかないけど?」

ディディが首を傾げながら尋ねた。

「このパソコンは高性能となっております。……コンピューター、応答せよ。」

ターマスが言うと、パソコンの画面が明るくなった。

「…はい、何でしょうか、マ」

「このように、このパソコンはこちらの話を理解し、返事をします。」

「すごいね!」

ピカチュウが感嘆の声を上げた。

“…今、あのコンピューターは何か言いかけてたような気が………。”

ピーチはコンピューターをじっと見つめていた。

「それで、さっきディディが言ってたように、一体どこがメインなのよ?」

サムスが憤慨して聞いた。

「このパソコンで大乱闘を行うのです。さて、コンピューター、ターマスめはここで待っていますので、大乱闘の説明を。」

「承知しました。では、ターマス様以外の方を認識します。少々お待ちください。」

パソコンの画面に認識中との表示が出た。それを見て、フォックスが警戒する。

「…何をする気だ?」

「完了しました。中に移ってもらいます。」

状況がイマイチ分からないまま、ターマス以外の全員が消えた。



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