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短編の短編

今日は12月24日。クリスマスイヴです。今年もクリスマスを祝おうと、みんなの部屋にクリスマスツリーを飾ったり、豪華な料理を作ったりとスマッシュブラザーズのメンバーは準備に勤しんでいました。準備も一段落し、みんなで休憩していたところ、タ―マスが例の赤い人を連れてやってきました。
―――――――――――――

「タ―マス!来るのが遅いよ!もう準備、ほとんど終わってるからね!」

タ―マスがやってきたのを一足先に見つけたカービィが叫んだ。カービィの叫びにつられ、みんなの部屋に集まっていたスマッシュブラザーズは、入り口の方を見た。

「あれ?後ろに誰かいる?」

クンクンと鼻をひくつかせ、ピカチュウが言った。

「ホントだ!」

「誰ー?新しい参加者!?」

ポポとナナが興味津々で聞いた。

「違いますよ。」

タ―マスは笑って答えると、わきにどき、その人を通した。

「あ!サンタさんだ!」

ゼニガメは喜び勇んで言うと、サンタに駆け寄ろうとした。が、それは叶わなかった。

「こらこら。」

ゼニガメはフシギソウに捕まっていたのだった。

「うぅ……。」

ゼニガメはしょんぼりとしていた。

「何々?ドッキリ?」

ネスはいぶかしげに聞いた。タ―マスは真剣な顔になった。

「そうであればよかったのですが……実はお願いがあってきたのです。」

タ―マスはサンタの方をみた。サンタは頷くと話し始めた。

「見ての通り、私はサンタだ。……そんな疑わしい目で見んでくだされ。この町担当のサンタは紛れもなく私だ。いつもなら、今頃、子供たちに配るプレゼントを包んでいるのじゃが……。」

「何かあったのか?」

サンタの歯切れの悪さに、何か感じ取ったらしいフォックスが聞くと、サンタは頷いた。

「実は――」




サンタとその仲間たちは毎年恒例のプレゼントの準備をしていた。必要なものを調べ、配るプレゼントを集め終え、さぁ包み始めようとしたところだった。

「ホーホッホッホ!」

変な掛け声とともに、半球体の宙に浮く乗り物に乗った、メタボのこれまた赤い服を着た人が工房に入り込んできた。

「ここか、サンタの工房というのは。」

「何用じゃ。私達は今、忙しいのじゃが。」

サンタが言うと、侵入者はフンと鼻を鳴らした。

「なぁーにがクリスマスだ。面白くない。ワシがプレゼントをもらっておこうぞ。」

「!? 何をする!!」

半球体の乗り物からアームが伸びてきて、プレゼントに網をかけた。プレゼントはそのまま包み込まれてしまう。慌てたサンタは声を荒げた。

「それは大事なプレゼントじゃ!今すぐ返せ!」

「返してやるものか!さぁワシの愛するメカ達よ!この工房をメチャクチャにしてしまえ!」

すると、どこからともなく、ロボットが5体現れて、工房を破壊し始めた……。




「……………。」

何かを考え込む青い影。

「暴れまわるロボットは何とか止めたのじゃが、プレゼントは奪われ、準備してあった包装紙などもぐちゃぐちゃ……。かろうじて、工房は破壊を逃れたものの、これではクリスマスプレゼントが配れない…。そこでタ―マスさんに相談してみたところ、皆さんに協力をあおいだらどうかと言われ、こうしてお願いに参ったというわけじゃ。」

スマッシュブラザーズの面々は顔を見合わせた。頼むといわれても、これでは何を頼まれているのか分からない。

「あのさぁ、もう少し具体的に依頼内容を言ってくれないか?」

みんなを代表してマリオが言った。

「具体的に、とは?」

対してサンタは首を傾げた。

「そんなの簡単じゃん!」

カービィがじれったそうに言った。

「とりあえずプレゼント泥棒をフルボッコにして。」

「プレゼントを取り返す!」

「あ、あと……プレゼントを包むお手伝い、だよね?」

前言撤回。子供たちには明白だったようだ。

「タ―マスはそのつもりで来たの?」

「はい。」

リンクが聞くと、タ―マスはにっこり笑って答えた。

「じゃあ敵の情報とかも」

「いいえ、持っていません。そこも含めて皆さんにお願いしようかと。」

リンクはやれやれと首を振った。

「だけど、犯人を特定できないとどうしようもないね……。」

マルスが困ったようにつぶやいた。すると、青い影が立ち上がった。

「それには心当たりがある。」

ソニックだった。みんなは驚いてソニックを見る。ソニックはため息を吐いた。

「赤い服着た中年メタボ親父だろ。ホーホッホッホとか言いながら現れる。残念ながら、知り合いに当てはまるやつがいるんだよ。」

ソニックはうんざりしたように言った。

「あ、それって、Dr.エッグマンっていう君の宿敵?」

リンクが言うとソニックは頷いた。

「あぁ、お前には話したな。そうだよ。自己中な野郎さ。」

「じゃあ、そのDr.エッグマンっていうのを探せばいいんだね。どこにいるんだろう?」

トレーナーが言った時だった。

「出たぞ。」

突然スネークがつぶやいた。

「何がだ。」

ロイの突っ込みとともに、その他のメンバーはスネークを見た。スネークはいつの間にか、ノートパソコンを持ち出して何かをしていた。

「そのDr.エッグマンっていう奴の情報と目撃情報だ。こんな奴で、」

スネークはパソコンの画面をサンタの方に向けた。

「合っているな?」

そこには、ソニックが言ったとおりの人が映し出されていた。

「あぁ、そいつで間違いない。」

「どこにいるのか分かりますか?」

ゼルダが聞いた。

「港に変な赤い船が止まっているらしい。そこに入っていくのを見たというのが最後だ。」

「なら決まりね。行きましょうか。」

「お待ちください。」

サムスが言ったのを合図に出かけようとしたメンバーを、タ―マスが止めた。

「全員で行く必要は感じられません。プレゼント回収班と準備班に分かれた方がよいのでは?」

「そうだね……包装紙を買いに行ったり、包む準備をしたり……そっちのが人手はいりそうだよね。」

マルスがふむと顎に手をあてて言った。

「だったら、プレゼント回収班を決めて、残りの人は準備っていうのはどう?」

ルイージの提案に賛成といった声が上がったり、うなずいたりした。

「ソニックは行けよ。敵のことには詳しいはずだからな。」

マリオが言うと、ソニックは手をひらひらと振った。

「All right. あ、フォックスとファルコには来てもらいてーんだけど。」

「いいが……何でだ?」

「勝手に承諾するなよ……いいけどよ。」

フォックスが答えたのに対し、ファルコはしぶしぶといった感じだ。

「その港に停まっているっていう船、空飛ぶかもしれねぇーんだ。その時に、小回りの利くアーウィンがあったら対応できるってこと。」

「なるほどな……。アーウィンを呼び出せるように設定しとくよ。」

フォックスが言った隣で、ファルコは頷いて見せた。

「私も行くわ。たまには一暴れしたいの。」

サムスがにっこり笑って言った。

「乱闘で毎日暴れてないか……?」

ファルコンの呟きは、幸運にもサムスに届かなかった。

「ま、そっちはそのくらいで」

「何言ってんの。あなたは来るのよ。情報が違っていたら何を頼ればいいの。」

「わ、分かった……。」

スネークもプレゼント回収班に入った。そういえば、とソニックはターマスとサンタの方を見る。

「サンタの工房ってどこにあるんだ?」

すると、ターマスはどこからか地図を取り出し、ソニックに渡した。

「さぁ、そろそろ時間がない。善は急げ、だ。行くぞ。」

フォックスが言ったのを合図に、プレゼント回収班は出発した。

「……我々も工房に行きましょうか。私が皆さんをワープさせます。」

ターマスは言うなり、パチンと指を鳴らした。次の瞬間、残りのメンバーは別の場所にいた。ところどころ黒焦げているが、綺麗に片付いている。別のサンタがやってきた。

「この方々は……?」

「助太刀にやってきてくれたのだ。準備はどこまで進んでおる?」

「材料の調達まで。今から、包むための大きさに切る作業だ。」

「手伝うよ。」

「みんな、がんばろー!」

準備班は、各自ハサミや定規を持って、リボンや包装紙をメモに従って切り始めた。




一方プレゼント回収班。港にたどり着いていた。港に来てみると、スネークの言った通り、巨大な赤い船らしきものが停まっていた。

「ホントにあったな……だが、どうやって入るんだ?」

ファルコが船を見上げながら言った。ソニックはニヤッと笑った。

「こんなのは……サムス、適当に撃って穴をあけてくれ。」

「おい待て!そんなことをしたら敵にばれるだろ!」

フォックスがたしなめる。が、ソニックは肩をすくめて言った。

「いいんだよ。どうせ侵入したらすぐばれるんだからさ。はでに頼むぜー、サムス。」

「了解。」

「プレゼントに傷でもついたら……って聞いちゃいないな。」

スネークの言う通り、サムスはすでにチャージを溜め終え、最大威力のチャージショットを撃った。

「No problem!」

スネークの呟きを聞き取っていたソニックが言う。

「どうせ、奥にしまってるぜ、アイツ。こんな手前に置いとかないって。」

「そ、そうか……。」

敵事情はソニックの方がよく知っている。これが勘だったとしてもソニックを信じないわけにはいかなかった。

「さぁ、行きましょう。」

船の方をみると見事に穴が開いていた。5人は中に入った。奥に向かう途中、ロボットが邪魔をしてきた。しかし、フォックス&ファルコのブラスター、サムスの軽いチャージショット、スネークの手榴弾のおかげで、ロボットは即座に鉄の塊へと変化した。ソニックなんか、

「俺の出番はあるのかねー?」

と悠々と歩いているだけである。そうこうしているうちに、最奥と思しきところにたどり着いた。プレゼントは網がかかったまま、隅に置かれていた。大量の画面は砂嵐だった。それを前にして、Dr.エッグマンと思われる人物がヒステリーを起こしていた。

「どういうことじゃ!メカが次々と壊され!隠しカメラも壊されて様子が分からず!」

Dr.エッグマンはドンドンと手元を叩いた。

「Hey, Dr.エッグマン。プレゼント、返してもらいに来たぜ。」

驚いたように、Dr.エッグマンは後ろを振り向いた。

「な、ソニック!もう来おったか!……と見知らぬ顔じゃの。隠しカメラを壊したのはお前らか。」

「あぁ。全く、あちこちにつけやがって。壊すの面倒だったぜ。」

ファルコが言うと、イライラとエッグマンは地団太を踏んだ。

「だったら!壊さんでもよかろうが!もうよいわ!ここまで来たことを後悔させてやる!いでよ、我が傑作中の傑作!メカZ!」

突然中央の床が開き始めた。Dr.エッグマンはそこに飛び込んだ。何かがウィーンという音とともに上がってくる。全身赤の巨大ロボットだった。人型でいかつい見かけをしている。額にZのマークがついていた。

「まぁーた新しいおもちゃを作ってくれたようだな。こんなの、すぐに壊してやるぜ!」

「いつものことなんだな。」

フォックスが呆れて言った。ロボットが口を開けた。

「何か来るぞ!」

スネークの声掛けに、各自頷く。その時、レーザーが口から出てきた。5人は散り散りになり、それをよける。

「って、何で俺ばっかり!」

レーザーはソニックばかりを追いかけていた。

「これはもともと対ソニック用に作ったものじゃ。お前を追いかけるに決まっておろうが。……他の4人は想定外だったがの。」

メカZは、ソニックが左に逃げれば左を向き、右に逃げれば右を向いた。体ごと向きを変えるので、巨大な腕が振り回されることになり、他の4人としても、とても危険極まりない。

「ちょっと!もう少し規則性をもって逃げられないの!?」

「無茶言うなよ!」

「少なくともプレゼントの方には逃げるなよ……ってあぁ。」

スネークがプレゼントの方を見ると、いつの間にかフォックスとファルコがプレゼントの前に陣取っていた。

「プレゼントの心配はいらないわね……問題はこのロボットをどうするか、ね。」

「とりあえず……これでどうだっ!」

スネークは手榴弾を投げつけた。だが、強靭らしいボディにはじかれた。

「やわな攻撃は効かないってわけね。じゃあ、これでどうよ!」

サムスは最大まで溜めたチャージショットを撃つ。メカZが揺れた。

「揺れただけ……か?」

「何悠長なことしてんだよ!俺だって体力がいつまでもつかわかんねぇ!後ろは!?こういうメカって大概どっかに弱点あるんだ!」

図らずしておとりをやることになってしまっているソニックが喚いた。

「ええい、ソニック!余計なことを言わんでよいわ!」

「うわっ!」

レーザーの動きが速くなった。スネークとサムスは顔を見合わせると、後ろに回り込もうとした。

「行かせるか!ポチっとな。」

エッグマンが何かのボタンを押した。すると、メカZは両腕をあげ、手をまっすぐに伸ばした。指先がパカッと開き、ミサイルが乱射される。

「げっ、こっちも追従機能つきか!」

ソニックがうなった。更に悪いことに、5人を2発づつが追った。……とはいえ、困ったのはソニックくらいで、ソニック以外の4人は手持ちの武器でミサイルを撃ち落とした。残ったソニックも、後ろから来たミサイルをジャンプでかわした。ミサイルはそのまま飛んでいき、壁に衝突した。壁に穴が2つあいた。

「ミサイルはそう次々と撃てるもんじゃない!今のうちに弱点を見つけて倒してくれ!」

フォックスの言葉に、スネークとサムスは頷くと、今度こそ後ろへ回り込んだ。

「あれね。」

メカZの後ろには、弱点ですと言っているような赤い点が5カ所あった。

「俺がミサイルで1カ所ずつ撃つ。サムス、その間援護を。」

「分かったわ。」

サムスがスネークを守っているうちに、スネークは5カ所をミサイルで撃った。バン。最後の1カ所が破壊された。

「なんと!メカZがもうやられてしまうとは!……ん?」

メカZが光りだした。バーン!大爆発を起こす。

「のぉわぁぁああ!!」

Dr.エッグマンは屋根を突き破り、吹っ飛んでいった。ソニック、サムス、スネークは身の危険を感知し、即座に離れたので無事だった。問題は―

「危なかったぜ。」

爆発の後の砂埃が収まるころ、ファルコの声が聞こえた。無事なようだ。視界が開けると、フォックスも立っており、プレゼントにも傷がついていなかった。二人はニヤッと笑ってリフレクターを見せた。プレゼントのもとに5人は集まった。

「さて、問題は、こいつをどうやって運ぶかだな。」

スネークはあごに手をあてて考え込んだ。

「二機のアーウィンでぶら下げて」

「却下。」

「そんな器用なことできっかよ!」

ソニックの提案は、フォックスとファルコに即座に否定された。

「そういえば、」

考えていたスネークはソニックを見た。

「この船、飛ぶんだったな?」

「……いつもなら飛ばせるようにしてると思うけど。俺は分かんねーぜ?」

「大丈夫だ。パイロットが二人もいる。」

「げ、俺らかよ。」

「ま、そのために来たんだしな。アーウィンじゃないが。」

スネークの提案に、パイロットの二人は正反対ともいえる反応をした。5人は大量の画面の方へ移動した。砂嵐の画面も、スネークやサムスのおかげで船内の地図へと変貌した。

「コックピットがあるな。俺とファルコはそっちに行くから、ここのことは任せた。」

フォックスは歩き出した。ファルコはソニックに手を出す。

「おい、地図。」

「え?あぁ。」

ソニックはサンタの工房への地図を渡した。ファルコも行ってしまう。
そんなこんなで、エッグマンの船は飛び、サンタの工房に向かった。サンタの工房には広い運動場みたいな場所があったので、そこへ着陸する。




それからは大忙しだった。切る作業がまだだったので、切る班とプレゼント移動班に分かれ、せっせと作業した。誰が何をしていたのか、それはご想像にお任せする。そして、両方の準備ができると、包み始めた。12時に配り始めないと間に合わないと言われた11時、疲労もピークだったが、みんなは気を引き締め、手早く、しかし丁寧にプレゼントを包んでいった。そして、12時になった。

「お、終わった……。」

プリンがつぶやいた。

「間に合った?」

ルイージが聞く。

「なんとか間に合いそうじゃ。それじゃ、私らは配りに行ってくる。皆の者、ありがとう!」

サンタとその仲間たちは出かけて行った。

「……もう動けん。」

「修業とは……また違う体力を消耗した気分だ……。」

アイク、メタナイトが珍しく弱音を吐いた。バタリ。一人が倒れこんだ。それを合図にバタバタと倒れこみ……

「こんな疲れで倒れてたらダメだけど……もう無理。」

全員が眠りについた。




翌日クリスマス。スマッシュブラザーズが目を覚ますと、ちゃんと布団をかぶせられ、頭の近くにはプレゼントが置いてあった。こう書いたメモつきで。

「メリークリスマス!!」




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