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短編の短編

山のふもとで合流したレッド達。
一件落着と思いきや、フシギソウはあることを思い出し、街に走っていきました。
―――――――――――――

レッド達と別れ、せっせと走って街に帰ってきたフシギソウは、図書館の前にいた。が、フシギソウが到着した時にはすでに閉館時間を迎えていた。あー、やっぱり遅かった、と入口でたたずんでいると、中から係りの人が出てきた。

「どうしたのかな?今日はもうおしまいよ?」

フシギソウは重い口を開いた。

「あのー…言いづらいんですけど、今日、図鑑をそのままに飛びだしちゃって……。」

「あぁ、そういえばそうだったわね。」

どうやらこの女性は一連の出来事を見ていたらしい。

「すみません。」

フシギソウは謝るしかない。

「いえいえ、大丈夫よ。あの坊や、ほっとけないものね。」

対して女性はにっこりとほほ笑んだ。

「本当にすみません…片づけてもらったみたいで…。」

「私じゃないわ。」

「え?」

てっきりその女性が片してくれたのかと思っていたフシギソウは目を丸くした。

「近くにいた青い髪の人が片づけてくれたの。今度会ったら、お礼を言いなさいね?」

「……青い髪の人?」

青い髪と言えば、フシギソウの知り合いは二人しかいない。

「その人、剣士でした?」

「あら、知り合い?えぇ、剣を携えていたわ。頭にバンダナを巻いてね。」

”アイクの方だ……!”

フシギソウの驚きは更に大きくなった。

「ありがとうございます。」

フシギソウはぺこりと頭を下げて、走り去った。




フシギソウは会場にたどりつき、みんなの部屋に向かった。そこにアイクはいた。フシギソウは歩み寄る。

「ねぇ。」

フシギソウが声をかけると、アイクは目だけをフシギソウに向けた。

「今日は、ありがとう。」

「……何のことだろうな。」

「……分かってるでしょ。」

「さぁな。」

なおもとぼけるアイクを、フシギソウはじっと見つめた。アイクはため息を吐いた。

「………目当ての物は見つかったのか。」

フシギソウは微笑んだ。

「なんとかね。たぶん部屋に飾ってあると思うよ。」

「…そうか。」

アイクはフシギソウを無造作になでると行ってしまった。

「…ありがとう。」

もう一度、こっそりフシギソウはつぶやいた。





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