これが僕らのありがとう
「おい開けろよ。」
オレが作業をしていると外から声がした。何かと思って開けてみると、そこには大量の書類を持ったファルコがいた。
「出来たぜ、俺の分。ペッピーのやろうに送っといてくれや。」
「あぁ、ありがとな。」
俺はファルコから書類を受けとった。が、ファルコはなぜか帰ろうとしない。
「? どうかしたのか?」
俺が疑問符を飛ばしながら聞くと、チッと舌打ちする音が聞こえた。無意識か、なんて言っている。……なんのことやらさっぱり分からない。俺はファルコを訝しんで見た。すると、今度はため息つきやがった。
「なんなんだよ。」
仕事のことがチラリと脳裏をかすめたが、俺はファルコの意味不明な言動のわけを追究することにした。ファルコはやれやれと首を振ってから、口を開いた。
「フォックス、お前、また何かためこんでるだろ。」
「う……」
そう言われるとぐうの音も出ない。実は、最近絶不調だった。仕事は思うように進まない、乱闘は負け続き、何をやっても単純なミスをする、挙句の果てにはロイ達の罠にひっかかる……。俺はため息をついた。それにしても、なんでばれた。俺としては、普段とあまり変化はないと思うのだが。
「俺でよかったら聞くぜ?ま、話聞くくらいしかできないがな。」
「…なんでもねぇよ。」
俺がムスッとした顔で言うと、ファルコはまたため息をついた。
「そういう風に見えないから言ってんだ。伊達にお前の相棒やってないぜ?」
俺は頭をかいた。弱ったなぁ……。こいつは昔から妙に勘が鋭いんだ。
「じゃあ、聞いてくれるか?実はさ――」
俺は、絶不調なこと、困ってること、心配なこと、不安なことなど、普段は言えない負の感情や思いを全てファルコにぶちまけた。ファルコは真摯に俺の目を見て聞いて……いるわけはなく、そっぽを向きながらも時折相槌を打ったりしていた。他の人が見れば、ファルコの態度は癪に障るかもしれない。だが、俺にとって―そして、おそらく聞いているファルコにとってもそうだが―それくらいが丁度いいのだ。この微妙なカンジが俺達に見事にフィットするのだ。やがてすべてを吐き出した俺はフゥと一息ついた。それが終わりの合図であると察したのだろう。ファルコは顔をこっちに向けた。
「もういいのか?」
俺は頷いた。
「あぁ。……ファルコ、いつもありがとな。」
「……おうよ。」
いつも横柄で粗野なあいつ。だけど、ちゃんと俺のことを見ていてくれて、困った時には手を差し伸べてくれる。本当はすごく優しいあいつに伝えたい、ありがとう。
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オレが作業をしていると外から声がした。何かと思って開けてみると、そこには大量の書類を持ったファルコがいた。
「出来たぜ、俺の分。ペッピーのやろうに送っといてくれや。」
「あぁ、ありがとな。」
俺はファルコから書類を受けとった。が、ファルコはなぜか帰ろうとしない。
「? どうかしたのか?」
俺が疑問符を飛ばしながら聞くと、チッと舌打ちする音が聞こえた。無意識か、なんて言っている。……なんのことやらさっぱり分からない。俺はファルコを訝しんで見た。すると、今度はため息つきやがった。
「なんなんだよ。」
仕事のことがチラリと脳裏をかすめたが、俺はファルコの意味不明な言動のわけを追究することにした。ファルコはやれやれと首を振ってから、口を開いた。
「フォックス、お前、また何かためこんでるだろ。」
「う……」
そう言われるとぐうの音も出ない。実は、最近絶不調だった。仕事は思うように進まない、乱闘は負け続き、何をやっても単純なミスをする、挙句の果てにはロイ達の罠にひっかかる……。俺はため息をついた。それにしても、なんでばれた。俺としては、普段とあまり変化はないと思うのだが。
「俺でよかったら聞くぜ?ま、話聞くくらいしかできないがな。」
「…なんでもねぇよ。」
俺がムスッとした顔で言うと、ファルコはまたため息をついた。
「そういう風に見えないから言ってんだ。伊達にお前の相棒やってないぜ?」
俺は頭をかいた。弱ったなぁ……。こいつは昔から妙に勘が鋭いんだ。
「じゃあ、聞いてくれるか?実はさ――」
俺は、絶不調なこと、困ってること、心配なこと、不安なことなど、普段は言えない負の感情や思いを全てファルコにぶちまけた。ファルコは真摯に俺の目を見て聞いて……いるわけはなく、そっぽを向きながらも時折相槌を打ったりしていた。他の人が見れば、ファルコの態度は癪に障るかもしれない。だが、俺にとって―そして、おそらく聞いているファルコにとってもそうだが―それくらいが丁度いいのだ。この微妙なカンジが俺達に見事にフィットするのだ。やがてすべてを吐き出した俺はフゥと一息ついた。それが終わりの合図であると察したのだろう。ファルコは顔をこっちに向けた。
「もういいのか?」
俺は頷いた。
「あぁ。……ファルコ、いつもありがとな。」
「……おうよ。」
いつも横柄で粗野なあいつ。だけど、ちゃんと俺のことを見ていてくれて、困った時には手を差し伸べてくれる。本当はすごく優しいあいつに伝えたい、ありがとう。
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