これが僕らのありがとう
「リンク!」
レッドが森にやってくると、探し人であるリンクが目を瞑って寝そべっていた。しかし、眠ってはいなさそうだったので、レッドは声をかけてみる。すると案の定、リンクは目を開け、レッドの方を見た。レッドはニコニコ笑いながら手を振ると、リンクに駆け寄った。
「どうしたの?」
起き上がりながらリンクは問う。レッドはリンクの隣に腰を下ろした。
「別に。用があったわけじゃないよ。ただ、なんとなく、リンクどこかなぁ、って。」
「そう。」
それだけ言うと、リンクは再び寝転んだ。が、意識だけはレッドから離さない。それを分かっているレッドは、取り留めもない話を始めた。昨日の乱闘はギリギリだけど勝った、とか。さっきまたゼニガメが悪さして、謝って来たんだ、とか。
“……違う。僕はこんなことを言いに来たんじゃない。”
たわいのない話をしながら、レッドは心の中でため息を吐いた。それを知ってか知らずか、リンクは静かに耳を傾けている。やがて、一通り話終えると、レッドは息を吐いた。話し続けていたレッドが口を閉じたため、辺りに静寂が訪れた。通り抜けて行く風が気持ち良い。
“ま、また今度でもいっか。”
そんなことをレッドが思っていると、突然リンクが切り出した。
「今日はいい天気だね。」
唐突なリンクのセリフに目を丸くするも、レッドは頷いた。
「ホント。昼寝日和だよ。」
レッドがちょっとリンクをちゃかしてみると、リンクは苦笑した。
「でも、昼寝に最適ってだけじゃないんだよね。」
言いざま、リンクは起き上がった。そして、レッドに目を向ける。
「気分がよくなる。そして幸せだなぁって思うんだ。」
“これはまた……。”
レッドはあまりに突拍子もない話に必死でついていこうとした。
「でも、何故幸せなんだろう?」
リンクの問いかけにレッドは一瞬動きを止める。
“…どうしよう。本格的に何が言いたいのか判らなくなってきた……。”
レッドは真剣に考えてみる。が、皆目、見当もつかない。そこで素直に問い返してみることにする。
「なんで?」
「それはね。」
リンクはとても柔らかい笑みを見せている。あぁ、このままずっと時が止まってもかまわない。なんて、レッドは勝手なことを考えてみる。
「みんながいるから。毎日が楽しいから。もちろん、そこには君も含まれている。だから、」
そこでリンクは、とびきりの笑顔を浮かべた。
「いつもありがとう。」
あぁ、先を越された。本当はそれを僕が言いに来たのに。と、思いながらも、レッドもまた、知らず知らずのうちに笑顔を浮かべていた。言われたままでは釈然としないので、レッドも言葉を口に乗せた。
「僕も君に感謝してる。いつもありがとう。」
そして、二人で笑いあった。
当たり前の日常だけど。当たり前の日常だから。なんとなく、言いたくなった。この日常が続くことを喜び、そして願う、ありがとう。
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レッドが森にやってくると、探し人であるリンクが目を瞑って寝そべっていた。しかし、眠ってはいなさそうだったので、レッドは声をかけてみる。すると案の定、リンクは目を開け、レッドの方を見た。レッドはニコニコ笑いながら手を振ると、リンクに駆け寄った。
「どうしたの?」
起き上がりながらリンクは問う。レッドはリンクの隣に腰を下ろした。
「別に。用があったわけじゃないよ。ただ、なんとなく、リンクどこかなぁ、って。」
「そう。」
それだけ言うと、リンクは再び寝転んだ。が、意識だけはレッドから離さない。それを分かっているレッドは、取り留めもない話を始めた。昨日の乱闘はギリギリだけど勝った、とか。さっきまたゼニガメが悪さして、謝って来たんだ、とか。
“……違う。僕はこんなことを言いに来たんじゃない。”
たわいのない話をしながら、レッドは心の中でため息を吐いた。それを知ってか知らずか、リンクは静かに耳を傾けている。やがて、一通り話終えると、レッドは息を吐いた。話し続けていたレッドが口を閉じたため、辺りに静寂が訪れた。通り抜けて行く風が気持ち良い。
“ま、また今度でもいっか。”
そんなことをレッドが思っていると、突然リンクが切り出した。
「今日はいい天気だね。」
唐突なリンクのセリフに目を丸くするも、レッドは頷いた。
「ホント。昼寝日和だよ。」
レッドがちょっとリンクをちゃかしてみると、リンクは苦笑した。
「でも、昼寝に最適ってだけじゃないんだよね。」
言いざま、リンクは起き上がった。そして、レッドに目を向ける。
「気分がよくなる。そして幸せだなぁって思うんだ。」
“これはまた……。”
レッドはあまりに突拍子もない話に必死でついていこうとした。
「でも、何故幸せなんだろう?」
リンクの問いかけにレッドは一瞬動きを止める。
“…どうしよう。本格的に何が言いたいのか判らなくなってきた……。”
レッドは真剣に考えてみる。が、皆目、見当もつかない。そこで素直に問い返してみることにする。
「なんで?」
「それはね。」
リンクはとても柔らかい笑みを見せている。あぁ、このままずっと時が止まってもかまわない。なんて、レッドは勝手なことを考えてみる。
「みんながいるから。毎日が楽しいから。もちろん、そこには君も含まれている。だから、」
そこでリンクは、とびきりの笑顔を浮かべた。
「いつもありがとう。」
あぁ、先を越された。本当はそれを僕が言いに来たのに。と、思いながらも、レッドもまた、知らず知らずのうちに笑顔を浮かべていた。言われたままでは釈然としないので、レッドも言葉を口に乗せた。
「僕も君に感謝してる。いつもありがとう。」
そして、二人で笑いあった。
当たり前の日常だけど。当たり前の日常だから。なんとなく、言いたくなった。この日常が続くことを喜び、そして願う、ありがとう。
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